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  • 集団における望ましい人間関係づくりに関する調査研究報告書
    ~児童生徒の意識の特徴と望ましい人間関係を構築するための手だて~

    (平成19年度調査研究事業)
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  •  A小学校の平成18年度の学校評価から見えてきた課題は、「話すこと」、「書くこと」を含めた表現力の育成であった。この結果を受けて、表現力を高めるための指導の工夫を考え、実践を始めた。表現力を高めるためには、聞く力を身に付けることが大切であると考え、「聞くこと」の指導に力を入れた。教員が、機会を捉えて意図的に、「聞くこと」の大切さを指導したため、児童は「話を聞くことはためになる」という意識を持つようになった。授業中の集中力が増し、集会活動では、教員や代表児童の話を静かに聞くことができるようになってきた。
     A小学校では、各教科、領域の授業に、気軽に意見交換をできるよう様々な話し合い活動の場を設定している。たとえば、高学年では「バディ」と称して、ペア学習を意図的に取り入れている。二人で意見交換してから発表することにより、自信を持って発表することができる。時には、ペアを組んだ相手の意見を発表する機会も設けている。児童は、相手の思いを理解しようとして聞き、相手の意見をみんなに分かるように発表しようとする。この活動により、学級内に互いの意見を認め合う雰囲気ができてきた。
     中学年では、考える活動や書く活動の際に、「取材タイム」と称して、聞きたい相手に、自由に意見を聞いてくる場を設けている。友達の思いや考えのよさに触れ、自分の考えを広げ、深めることに役立っている。
    特別活動でも、意図的に伝え合う場を設定している。年度末に行われるクラブ説明会では、5年児童の提案をもとに、児童が次年度開設するクラブを決定する。5年児童が、「私たちは、○○クラブを立ち上げたい!」と3~5年児童全員に提案する。ある程度人数が集まらないとクラブは発足できないため、提案者は、クラブの魅力を伝えるために工夫する。聞き手は、自分の入りたいクラブを選択するために、真剣に聞く。目的意識が明確であるため、意欲が高まり、「話すこと・聞くこと」の力が身に付く。クラブの発足、計画立案、実際の活動を通して、自己決定の機会が与えられ、児童は、互いの考えを尊重することができるようになり、集団への帰属意識も高まっている。
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