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  • 集団における望ましい人間関係づくりに関する調査研究報告書
    ~児童生徒の意識の特徴と望ましい人間関係を構築するための手だて~

    (平成19年度調査研究事業)
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  •  E中学校では、悩みを誰に相談するか生徒にアンケートをとったところ、「教員」よりも「友達」という回答が多い事実が明らかになり、このことから生徒相互で相談し合える、よりよい人間関係づくりの核になる生徒の育成を目指し、ピア・サポート活動を行うようになった。この中学校で取り組んでいるピア・サポート活動のねらいには、この他に、いじめ問題の早期発見や解決、不登校予防、教育相談活動の充実、仲間相互のケア、スクールカウンセラー(以下SC)の効果的活用等がある。
     ピア・サポーターは、各クラスの学級委員を中心に組織され、計画的に育成される。第1ステージのプログラムは、仲間を支援するためのスキル習得トレーニング、第2ステージは、仲間を支援するための個人プランニング、第3ステージは、仲間への支援活動である。スキル習得トレーニングは、一泊二日の合宿を通して行われ、資質を集中的に高めるプログラムが組まれている。
     学級担任は、職員研修で「Q-U」や構成的グループエンカウンター(以下SGE)を学び、各学級で実施している。SGEを実践するときは、すでにトレーニングを受けたピア・サポーターが活動の核となって雰囲気をつくる。実践の成果を「Q-U」を活用して評価している。
     このように、E中学校のピア・サポート活動は、生徒相互の相談活動という枠組みを超えて、生徒のリーダー育成、生徒理解と学級経営で学級担任を支えるもの、SEの支援の機会を増やすものなどとして機能し、教員・生徒・SC相互の学校規模のコミュニケーションを促進する役割を果たしている。予防的生徒指導がE中学校で正常に機能していることの大きな理由は、学校全体の取組として、ピア・サポート活動を位置付け実践していることが挙げられる。
     教員からは、「このような生徒指導が、教員の心を開き、教員同士が仲が良くなっている。」「みんなでやっていこうという意識が強くなった。自分のクラスというより、学年全体を見る先生が多くなった。」「職員同士は馴れ合いではなく、厳しさもある。チャイムと同時に授業が始まらないことはない。」などの声が聞かれた。
     「教員も生徒もオープンで、個性を出していけるような環境をつくっていくことが生徒指導の条件整備だ。」という生徒指導主事の言葉が印象的であった。
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