わたしたちは、保護者や地域の人々と連携を深め、家庭や地域とともに児童生徒を育てていくという視点に立ち、様々な教育活動を実践しています。また、活動を自己評価して改善にも取り組んでいます。学校の自己評価がよりよい学校づくりに資するために行われているように、これからは、授業についても他の教育活動と同様、ねらいを明確に示し、実践を積み重ね、評価を行い、その結果や問題点、改善策を内外に明らかにすることで、改善を進めていくことが大切です。
栃木県教育委員会では、平成18年4月に、「栃木県の子どもたちの学力向上のために」と題した提言を出しました。その中で、毎時間の学習のねらいを明確にすること、ねらいを実現するための手だてを明らかにすること、ねらいの実現状況を適切に評価して授業改善に生かすことの大切さを述べています。このことは、児童生徒の「確かな学力」を育成するためには、授業づくりに際して、いわゆる「指導と評価の一体化」を実現させることが重要であることを示したものです。
授業評価もまた、「よりよい授業づくり」を目指して行われ、その結果が次の計画や授業実践に生かされるとともに、子どもたちの「確かな学力」をはぐくむための一つの方法だと考えられます。
授業評価には、「児童生徒による授業評価」、「教員相互による授業評価」、「保護者、地域住民、学校評議員による授業評価」等が考えられますが、本冊子では、主に児童生徒による授業評価と、授業研究を通した教員相互による授業評価に関する実践を紹介しています。そこには、一人一人の教師が自らの授業を振り返り、授業を改善していく中で、「授業力」の向上を図っている事例や、授業評価を実施する際のポイントが示されています。各学校においては、よりよい授業を創造し、一層信頼される学校づくりを進めるために、本冊子をご活用ください。
終わりに、本冊子の作成にあたり、調査にご協力をいただいた宇都宮大学教育学部教授 松本 敏先生、調査研究協力校の研究協力委員をはじめ職員の方々、そして関係機関の方々に深く感謝申し上げます。
平成19年3月
栃木県総合教育センター所長
五味田 謙一
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