集団学習体験を通して、自己発見による行動の変容と人間的な自己成長をねらい、本音と本音の交流や感情交流ができる親密な人間関係づくりを援助するための手法です。学習活動で取り扱う課題(エクササイズ)には、自己理解、他者理解、自己主張、自己受容、信頼体験、感受性の促進の6つのねらいが組み込まれています。 |
- 2. 情報モラルの指導と構成的グループエンカウンター
情報モラルの指導で難しい点は、授業で習ったことを実際の生活で実行できるようにすることでしょう。ネット社会でトラブルの加害者や被害者にならないために、ルールやマナーを教えることはもちろん大切ですが、それだけにとどまらずに実際に行動できる態度の育成が必要不可欠です。
例えば、自分では人に迷惑がかかるとは気付かずにやってしまうといったことや、逆に、人に気付かれなければこっそりやってしまってもかまわないといったことが問題になります。これは「ジョハリの窓」でいうところの、「盲目の窓」や「隠された窓」を小さくし、「明るい窓」を広げていくことが、情報モラルを指導する上で大切になることを示しています。
そのためには、情報モラルを指導する中で、構成的グループエンカウンターを取り入れて、他人にありのままの自分を知ってもらう自己開示のエクササイズや自分を再発見するためのフィードバックを通して、自己理解を深めていくことが効果があります。 |
「ジョハリの窓」
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自分が知っている自分 |
自分が気付いていない自分 |
周囲の人が知っている自分
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A:【明るい窓】
自分も他人も知っている自分 |
B:【盲目の窓】
自分は気付いていないが他人は知っている自分 |
周囲の人が気付いていない自分 |
C:【隠された窓】
自分は知っているが他人は気付いていない自分 |
D:【未知の窓】
自分も他人も気付いていない自分 |
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- 自分は知っているが、他人は気付いていないCの窓を小さくすることで、Aの窓は大きくなります。(自己開示)
- Bの窓を小さくし、Aを大きくしていくことで、自分というものが再発見できます。(フィードバック)
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構成的グループエンカウンターは、次の3つの活動から構成されています。
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展開 |
教師の役割 |
〈インストラクション〉
導入・説明 |
・活動の趣旨を説明
・エクササイズの内容や方法について説明する
・ルールについての説明 |
〈エクササイズ〉
ねらいを達成するための活動 |
・ルールに沿って進行しているかの確認する
・活動の援助 |
〈シェアリング〉
活動の振り返り
まとめ |
・気付いたことや感想を振り返りシートに書かせたり発表させたりする
・定着、理解させるためのコメント |
ねらい |
育つ力 |
自己理解 |
自分自身の本心をよく理解すること |
他者理解 |
友達の考えや行動を理解すること |
自己主張 |
必要なことを相手の気持ちを考えて表現すること |
自己受容 |
自分で自分のことを肯定的に受け入れること |
信頼体験 |
友達の考えや行動を信じて生活できること |
感受性の促進 |
心の苦しさや喜びを共感的に受けとめること |
- 6. 本資料に掲載したエクササイズの内容及び背景となる理論
エクササイズ |
活動形態 |
背景となる理論や技法 |
1 |
あなたが望むネットコミュニケーション |
2人組 |
反復質問法、内観法 |
2 |
ネット利用!あなたならどうする? |
5~6人組 |
自己主張 |
3 |
ネットワーク利用者のマナー |
5~6人組 |
自己主張、他者理解 |
4 |
著作権!これでいいの? |
5~6人組 |
自己主張 |
5 |
脱法ドラッグって何ですか? |
2人組 |
ロールプレイ |
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