学習指導要領では、事象を数理的に考察し表現する能力を高めること、数学的活動の楽しさや数学のよさを実感すること、活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てることなどが、特に強調されています。それを受けて、本部会では、まず「数学授業における言語活動に関する研究」、「アクティブ・ラーニング型授業の実践と工夫」の発表が行われました。次に、これらの発表をもとに小グループをつくり、研究協議を行いました。まとめとして、県教委事務局学校教育課の松本秀則指導主事より指導助言をいただきました。
発表1 数学授業における言語活動に関する研究
-思考過程や判断の根拠を数学的に表現し、解釈する活動に焦点をあてて-
全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた授業アイディア例を活用した授業を実施して、生徒の発話記録を分析し、生徒がどんな言語活動を行っているか、どんな活動を取り入れたらよいかを追究した実践例の報告がありました。実験授業、およびその詳細な分析、授業形態やワークシートの工夫など、言語活動の充実を目指した授業の提案がなされました。
発表2 アクティブ・ラーニング型授業の実践と工夫
-能動的な学びを引き出すために-
生徒の学習に対する積極的な学びを引き出すための学び合いを多く取り入れたアクティブ・ラーニング型授業の実践について、その工夫や生徒の反応とともに、実践上の問題点や今後への課題について報告がありました。成果として、生徒に自ら学習しようとする姿勢や、生徒同士で周りと協力して解決しようとする姿勢をはぐくむことができたこと、数学に対する意識に変化を与えることができたこと、授業者自身も新たな生徒の見方や授業観をもつことができたことが挙げられました。
研究協議
発表1、2の内容を踏まえ、「生徒の思考力等の育成を目指した、学校の取組や自身の実践」「生徒の思考力等を育成していくためのアイディア」について活発な議論がなされました。協議の中で、生徒の思考力を育成していくためには、「発表する場を工夫する」、「ペア、グループ学習を必要なときに適切に実施する」、「調査問題等を組み込んだ単元指導計画を作成する」「普段の授業の中で『活用』の場を意識させる」「『なぜ?』『どうして?』と問い返しながら生徒とやりとりする」「授業改善が学校改革につながる」などの意見がありました。
指導助言
松本秀則指導主事からは、発表1、2の講評のほかに、目指すべき数学教育の方向性の助言をいただきました。昨年の12月に高大接続システム改革会議で公表された大学入学希望者学力評価テストの問題を基に、これから生徒につけさせなければならない5点を確認しました。
1.課題解決のための基礎的・基本的な知識や技能
2.問題場面を的確に把握する力
3.活用すべき学習内容を自ら選択できる判断力
4.課題解決のためにすべき構想を立てる力
5.初見の問題でもあきらめずに結果を予想し解決に向け主体的に取り組もうとする態度
授業でこれらのために必要なのは、数学的活動や言語活動の充実であり、二つの活動を取り入れた授業スタイルとして浸透しつつあるのがアクティブ・ラーニングであることに言及がありました。そして、子どもたちが考えを進めるためには、「思考の可視化」を通して学ばせることが大切であるということを助言いただきました。