釣天井
釣天井(つりてんじょう)〔宇都宮市(うつのみやし)〕

三百年もの昔、宇都宮城に本多上野介正純(ほんだこうずけのすけまさずみ)という知恵の優れた殿様がいました。

ときの将軍、徳川家光(とくがわいえみつ)公を快く思っていなかった正純は、家光の弟の忠長(ただなが)を将軍にしたいと思っていました。

忠長の家来、親吉(ちかよし)と組んで家光を殺す計略を巡らすようになりました。

そのチャンスがやってきました。

家光が、東照宮(とうしょうぐう)のお参りのために下野(しもつけ)の国を通ることに決まったのです。

正純は、家来に命令して釣天井の湯殿を大工に作らせました。

その大工の中に与四郎(よしろう)という正直者がいました。

城から抜け出した与四郎は、釣天井の話をしました。

その後、秘密を守るために大工たちは、殺されてしまいました。

そのことを知ったものが、将軍に訴え家光公は危うく命をとりとめました。