万葉集
万葉集(まんようしゅう)  三毳山(みかもやま)の歌

『万葉集』は、奈良時代(ならじだい)末期(8世紀)にできた歌集です。
天皇から農民までの人々の歌4500首が集められています。
巻14の「東歌(あずまうた)」に、下野国(しもつけのくに)の歌が2首あります。


三毳山

下野の三毳の山の小楢(こなら)のすまぐはし児ろは誰が笥(たがけ)か持たむ
〔下野の三毳山のコナラの木のようにかわいらしい娘は、だれのお椀を持つのかな(だれと結婚するのかな)〕


秋山川

下野の安蘇(あそ)の河原よ石踏まず空ゆと来ぬよ汝(な)が心の告れ(のれ)
(下野の安蘇の河原から、私は石を踏まずに空を飛んで来ましたよ。だからあなたの心を言ってください。)


石碑

三毳山は佐野市(さのし)と岩舟町(いわふねまち)の堺にあります。
安蘇の河原は、旧田沼町(たぬままち)(現在の佐野市)の秋山川(あきやまがわ)と考えられています。

九州(きゅうしゅう)の防備にあたった防人(さきもり)の歌に、下野国出身の防人の歌11首が収められています。
次の歌は、寒川郡(さむかわぐん)〔現在の小山市(おやまし)寒川(さむかわ)〕の川上老(かわかみのおゆ)が詠んだ歌です。

旅行きに行くと知らずて 母父(あもしし)に言(こと)申さずて 今ぞくやしけ
(二度と会えない旅に行くと知らずに、両親に別れの言葉も言わなかった。今はそれがくやしいことよ。)