今日、いじめ、不登校、青少年犯罪の凶悪化・低年齢化などの問題に加え、学力や体力の低下、学習や運動への意欲や能力の二極化なども課題となっています。さらには、幼い子どもたちをねらった卑劣な犯罪も多発しており、学校の安全をいかに確保するかが、喫緊の課題としてクローズアップされていることは悲しいことです。
栃木県教育委員会では、重点施策の一つに「心の教育」を位置付け、その機会をとらえて推進を図ってきました。栃木県総合教育センターにおいても、子どもたちの生活の現状と問題点の把握に努め、子どもたちの心を健全に成長させるための糸口を探ってきました。平成16、17年度には、子どもたち一人一人の生活に着目した「児童生徒の生活状況調査」を行い、その結果の報告とともに、大人が子どもとどうかかわるべきかについて7つの提言をしたところです。
今年度は、子どもたちの規範意識に着目して調査を行い、その中で、子どもたちの意識や行動に最も大きな影響を与える保護者の意識および家庭でのしつけの状況についても調査をしました。保護者から寄せられた回答内容の多くからは、子どもたちの健全な成長とよりよい社会の構築への期待を感じとることができました。この一人一人の思いを、多くの人の思いにして行動に移していくことができれば、子どもたちを社会全体で育てていく推進力になるでしょう。
この調査結果を、家庭・地域・学校、そして教育行政・一般行政機関を含めた子どもたちにかかわるすべての方々に、子どもたちのよりよき成長と健全な規範意識の涵養に向けて、役立てていただけることを期待します。
平成18年3月
栃木県総合教育センター所長
佐 藤 信 勝
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