近年、高齢社会、情報化社会の到来を背景に、生涯学習の重要性が叫ばれて
います。一方で、急激な社会変化に伴う人々の価値観の多様化や核家族化、地
域の人間関係の希薄化等による、家庭や地域の教育力の低下が指摘されていま
す。この度改正されました教育基本法では、第3 条で生涯学習の理念が示され、
あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適正
に生かすことのできる社会の実現を図ることが明示されました。また、第1 3
条では、学校、家庭及び地域住民の相互連携協力の必要性がうたわれています。
こうした状況をうけて、学校教育と社会教育の両方の知識を持ち合わせた社会
教育主事有資格教員の活躍の重要性が増大してきました。平成1 0 年9 月に出
されました生涯学習審議会答申では、社会教育主事有資格教員の学校と地域と
の連携における役割への期待が示されています。
栃木県においても、平成6 年度から学社連携推進事業を実施し、各学校への生
涯学習係の設置を働きかけると共に、地域の教育力を高め、子どもたちを豊か
にはぐくみ、生涯学習社会の構築に向け、学校・家庭・地域社会が連携協力し、
地域における教育活動を総合的に推進するために、社会教育主事有資格教員の
1 校1 名配置を目指し、計画的養成を行っているところです。
現在、各学校や地域社会において様々な活動をしている社会教育主事有資格
教員がいる一方で、様々な事情から必ずしも社会教育主事有資格教員であるこ
とが生かされていない等の問題点も指摘されています。このような現状に鑑み、
学校や地域社会における社会教育主事有資格教員の活動状況について調査し、
先進事例を紹介することによってその活動のさらなる充実・促進を図るために
本書を作成しました。
各学校や地域におきまして、それぞれの実情に応じながら、社会教育主事有
資格教員の活動の充実・促進のために本書をお役立ていただければ幸いです。
最後になりますが、今年度の調査研究を進めるにあたり、共同研究いただき
ました宇都宮大学生涯学習教育研究センター廣瀬隆人教授をはじめ、調査に御
協力いただきました関係機関の方々に深く感謝申し上げます。
平成19年3月
栃木県総合教育センター所長
五味田 謙一
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