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校長からのメッセージ(2021.9.30)

【宇高の生徒諸君へ】
 緊急事態宣言が明け、明日から本校も通常登校を再開することとなりました。まだ、感染リスクの高い教育活動、宿泊を伴う活動や校外での活動等は、原則として実施できないという制約はありますが、通常登校による50分授業、土日・祝日の部活動および自修館利用も再開します。通常登校による教育活動を安心して再開できるよう、諸君は今日まで、計画的で自覚的な日々を送ってくれました。感謝します。「マスクの着用、黙食の徹底、手指の消毒、密の回避」等の継続的な実践を徹底し、高校生が最も伸びる、この10月の時期からの更なる飛躍を期待します。

 この間、9月3日には、「宇高祭ステージ発表」も開催できました。コロナ禍第5波により栃木県にも緊急事態宣言が発令され、実施が危ぶまれましたが、実行委員の諸君等が中心となり、万全な感染予防対策を講じてくれたことから、プログラムの一部見直しはありましたが、立派な宇高祭ステージ発表が実現できました。その陰で尽力してくれた諸氏と実施運営に協力してくれた全ての宇高生に敬意を表します。
 ステージ発表では、「常に表現者たれ」ということを諸君に求めました。演技者として、演奏者として、司会者として、運営者として、そして観客者として、それぞれが「確固たる表現者」になってほしいという意味でした。人は原始の時代に言葉を使い始めました。原始の言葉はどのようなものだったでしょうか。ある言語学者は、言葉の始まりは歌だったと言います。真偽は分かりませんが、数学や哲学のような難解なものではなかったかもしれません。他人を魅きつけたくて単調な音を紡ぎ、リズムにして歌として表現したのかもしれません。その歌を聞いて、相手の心も揺れたかもしれない。人間のコミュニケーションの始まりについて、そんな想像をします。そして、そのお互いの心の共振が、いわゆる文化を作ったのかもしれません。当日は、諸君の互いの心が揺れる、最後に笑みのこぼれる素晴らしい宇高祭ステージ発表になりました。
 そして、その後に続く校内模試、オンライン土曜講座、オンライン中学生一日体験学習、滝の原教養講座、そして、課題研究校内発表会と、時間的な制約の中にあっても、諸君は可能な限りの準備をし、立派な成果を積み重ねてきてくれました。諸君は、この宇高の日々で着実に成長していると感じる場面ばかりで、嬉しく思っています。

 通常登校再開は、諸君にとっては「魅力ある宇高の友と俱に磨き合う日々」の再開を意味します。諸君には優れた仲間と切磋琢磨し、心豊かで活力のある人間、総合力のあるバランスの良い人間として、一層この滝の原で成長していって欲しいと望んでいます。
 ところで、人は、「自分が本気になればすぐに成果がでる」と高を括っている節があります。しかし、本気ではじめて見ると、そう簡単には成果が出ず、苦しむことも多いものです。しかし、「これだけ頑張ったのに……」と言えるようになってはじめて、成果は出始めるものだということを忘れてはいけません。結果が出ずとも、それでも自分を信じて謙虚に努力を積み重ねた人が、納得のいく経験を積めるものなのです。そして、一旦その成果が出始めると飛躍的に伸び始めるものなのだと、私たち教職員の経験は教えてくれます。
 郷土の偉人、二宮尊徳翁は、「この秋は雨か嵐か知らねども今日のつとめに田草とるなり」という歌を残しています。秋になると雨が降ったり、嵐が来たり、稲はどうなるか分からないが、今はとにかく目の前の雑草を取り除くことが大切だという意味です。たとえば、何かしら大きな問題等に対峙したとき、人は不安に駆られます。他人にはたいしたことではないように映っても、自分にとっては、自分を押しつぶすように感じられることもあります。そんなとき、今、足下にあることに全力でぶつかってみることも、大切だというのでしょう。本校の先生方は、今、諸君がやるべきことについて、様々な場面でヒントを与えよう、いや、与えたいと、日々腐心してくれています。今、自分は何をすべきなのか迷ったときには、是非、相談して、参考にしてみるのも悪くないと思います。