栃木の郷土料理
しもつかれ

しもつかれは、栃木県(とちぎけん)を代表する郷土料理です。

近年は一年中店頭に並べられていますが、もともとは旧暦の2月初午(はつうま)という特定の行事と結びつけた食べ物です。


一般的なしもつかれ


(1)しもつかれはどこで作られているか

栃木県を中心とした北関東一帯と福島県の南西部に残っています。


(2)しもつかれにはどのような由来があるのか

しもつかれは、「下野ばかり」あるいは「下野家例」がなまったものと言われる説があります。

土地により、「しみつかり」「しみつかれ」「すみつかれ」などと呼ぶこともあります。

語源は、「しみつかる」つまり「味がしみこんだ料理」「冷たい料理の意」からなったと考えられています。

また、2月の初午と強く結びついた料理で、「初午前には作るな」とか「二の午に作る際には、初午に作ったしもつかれを少し残しておき、それを種として作るものだ」という言い伝えもあります。

江戸時代(えどじだい)中期、天明の飢饉(ききん)の頃(1781~1789)、稲荷神社(いなりじんじゃ)に供えたのが始まりと伝えられています。

冷蔵庫もなければ、促成栽培といった野菜の栽培法も未発達な時代で、二月の初午の頃は、最も食料が乏しくなる頃です。

稲荷神社の祭りである初午とはいえ、生きのよいごちそうを作るのが困難です。そこで、考え出されたのが残り物を巧みに利用したしもつかれであるとされました。

稲荷神社への供物としての価値を高め、初午以外に作ることを禁ずる考えもありました。

しもつかれを「7軒食べ歩くと中風にならない」という言い伝えもあります。


(3)しもつかれにはどんな材料が使われているか

鬼おろしという木製のおろし道具で大根・にんじんをおろし、塩引きの鮭の頭・大豆・油揚げ・酒粕を使うことが最も一般的です。

大豆は、節分に煎った福豆の残りです。
塩引きの頭も正月期間に食べた残りを使います。


(4)しもつかれはどうやって作るのだろう

鬼おろしでおろした野菜や鮭の頭、大豆、油揚げなどを大きな釜や鍋で柔らかくなるまで煮て、酒粕を入れてさらに煮ます。

特別に味付けをせずに塩引きの塩味と酒粕の味を生かし、その他の材料から出るうま味で独特の味わいがでます。

家庭によっては、みりんやしょうゆなどで味を調えるため、それぞれの家庭で味に違いがあり、「俺ん所のしもつかれ」といって食べ比べる地域もあります。(地域によって中に入れるものも味も違い、かなり地域差があります。)