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国際理解だより 29

ウィーンのオペラ③

 ウィーンで、このような虚構と真実との壮大華麗なパラドックスであるオペラが育ち、愛好されるには、それだけの理由があると思います。虚構と真実、あるいは見せかけとその裏に隠されたメッセージとのパラドックスのうちに成り立っているのが、バロック精神なのです。
 バロックという概念は狭い意味では、一定の特徴を持った芸術や建築の様式を指し、また、その様式が栄えた時代を指します。その特徴として、装飾性、演劇性、寓意性をあげることができます。精神運動として捉えた場合、宗教改革に対抗するカトリック側の反宗教改革運動といえるでしょう(興味のある人は、この時期の西洋史をひも解いてみてください)。ウィーンは、まさにバロック文化の都市として、バロック精神が長い時間をかけて都市の隅々まで、人々の感性や趣味にまで浸透していくのです。
 ウィーンは、ハプスブルク王朝の都としてバロック文化が結実した都市であります。そういう訳で、バロック文化はウィーンのオペラを理解する鍵なのです。