かんぴょう農家
現在、栃木県(とちぎけん)のかんぴょう農家の人たちはどのような取り組みをしているのか、下野市(しもつけし)在住の池田栄さんの取り組みを見てみましょう


現在のかんぴょうむき作業の様子


(1)現在のかんぴょう栽培はどのようになっているのか
①価格の低迷
現在、中国でかんぴょう栽培が盛んになってきており、日本産よりも安い値段のかんぴょうが日本に輸入されてきています。
そのため、価格が低迷しており、かんぴょう栽培をやめてしまう農家も増えてきています。
その一方で日本の進んだ漂白技術を中国へ伝え、中国の栽培普及に努めている現状があります。

②かんぴょう農家の高齢化
かんぴょう栽培はかんぴょうふくべ栽培に始まり、かんぴょうむき、かんぴょう干し、漂白など多くの重労働があります。
特に漂白の技術は高度であり、習得することが難しいです。
この技術を持っているかんぴょう農家の人たちの高齢化が進み、栽培をやめてしまう人が多くなってきています。
また、新たにその技術を学ぼうとしている農家の人たちも多くはありません。


(2)高い質のかんぴょう生産をめざした栽培方法とはどのようなものか
①土つくり
畜産農家と協力して稲わらとたい肥を交換し、そのたい肥にコーヒーかすを混ぜて1年ねかせたものを肥料として用います。
自然に優しい肥料を用いています。

②栽培方法
・1年ごとにごぼうとかんぴょうを生産しています。
ごぼうは長い作物のため、耕す土地の深さが大変に深くなります。つまり、土地を深くまで耕すことによって化学肥料の蓄積が分解でき、土地改良が進みます。
このことによって必要以外の水を取り除く排水の役目も兼ねることができます。
・土の中にたまったガスをぬくなど土の消毒を行います。
・マルチ(黒いビニールシート)をかんぴょう畑にしき、雑草が生えるのを防ぎます。
・実がなるためには受粉が必要であるが一つ一つの花に対して手作業でていねいに受粉を行っています。

③保管方法
収穫したかんぴょうふくべは栃木県特産の大谷石(おおやいし)を用いた石造りの納屋(なや)へ入れて、温度の変化が生じないように心がけて保管し、皮むきに備えます。

④乾燥調整
以前かんぴょうは漂白が必要でした。漂白をすることで常温で貯蔵することができるのです。
しかし、現在では消費者のニーズにあわせて無漂白のかんぴょうも生産し、余冷庫で保管しながら出荷しています。


(3)かんぴょう農家はどのように労働しているか
①労働時間
・皮むきと乾燥は朝の3時から7時頃までに行います。
・かんぴょうふくべの収穫は8時から10時くらいのあいだに行います。
・かんぴょうの他にお米や野菜を作っているため、午後も作業を行っています。

②健康管理
かんぴょうシーズン中は昼食後に昼寝をとり、疲労回復と健康維持に努めています。


(4)かんぴょうをみんなに知ってもらうためにどのような取り組みをしているか
①直売所開設
むらづくり農産物直売所を開設し、新鮮で安全なかんぴょうを販売します。

②かんぴょうむき実演
平成(へいせい)8年には高根沢(たかねざわ)御料牧場(ごりょうぼくじょう)において天皇(てんのう)・皇后(こうごう)両陛下の前でかんぴょうむきを実演しました。

③マスコミへの出演
テレビや週刊誌に出演し、かんぴょうづくりの様子を伝えることでかんぴょうの消費拡大を図ります。