大谷石細工
大谷石の知識

栃木県(とちぎけん)宇都宮市(うつのみやし)大谷地区(おおやちく)で採掘される大谷石は、東西に約8km、南北に約37km、地下200~300mの深さに分布しています。

石材として採掘され、すでに姿を消した岩山もありますが、大谷町では今も薄緑色の凝灰岩(ぎょうかいがん)の石山をあちこちで見ることができます。


一般に「大谷石」と呼ばれていますが、地質岩石学上の正式名称は「流紋岩質溶結凝灰岩(りゅうもんがんしつぎょうかいがん)」です。

世界中で大谷だけでしか産出されないとても珍しい石です。


この大谷石は、今から2,000万年前、まだ日本列島のほとんどが海中に沈んでいた時代に、火山の爆発によって噴出した火山灰などが海水中に堆積し凝固してできたといわれています。

繰り返す噴火のたびにその火山灰の質に変化があり、大谷石の層(*1)にその違いが現れています。


用語解説

(*1)大谷石の層

石材に適している層、くずれやすく石材としての価値が低い層、褐色の「みそ」が密集していて石材には適さない層など、いくつかの層があります。


大谷石は、何でできているの?

大谷石は、浮石質ガラス、石英、長石類、黒雲母、輝石などで構成されています。

褐色の「みそ」と呼ばれる部分には、含水量の多い「蛋白石鉄塩鉱物(たんぱくせきてつえんこうぶつ)」などの不純物が含まれています。


大谷石の特徴

・耐震性・耐火性にすぐれている。

・温度・湿度も一定に保つ(多孔質で多くの空気を含むため、自然の断熱材の役割を果たしている)。

・脱臭効果がある。

・防音性にすぐれている。

・石質がやわらかいため、加工しやすい。

・石の重量が軽い。

・他の石材に比べ、見た感じがあたたかく、しかも、やわらかさと優しさがある。