栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 51 スイジガイ

               栃高博物館 51 スイジガイ(水字貝)

      分類 軟体動物 盤足目 スイショウガイ科
      学名 Lambis chiragra
      英名 Chiragura Spider Conch
      大きさ 殻長24cm 幅16cmに達する
      分布 太平洋とインド洋の熱帯域、日本では紀伊半島以南
  
     巻き貝の仲間で、6本の尖った角状の突起ができます。この形が漢字の「水」の字に似ている
    のでこの名前になりました。この写真の右側の長い3つの突起が上になるように見てください。
    「水」の字が見えますか? 食用にもなり、殻は固くて丈夫なため、装飾品や貝細工の材料と
    して利用されているそうです。この標本は22cmですから、大きい方ですね。貝の内部は、薄い
    ピンク色で、ツルツルぴかぴか。とても美しいです。 
  

栃高博物館 50 フジツボとカメノテ

                  栃高博物館 50 フジツボとカメノテ

     分類 節足動物門 甲殻亜門 蔓脚下綱(フジツボ亜綱)       
     学名 フジツボBalanomorpha、カメノテPollicipes 
     英名 両方ともbarnacle
     大きさ 数cm
     分布 沿岸から深海まで(深海の熱水噴出口付近にもいます)
 
   「富士壺」、「亀の手」と書けばわかりますよね。見たままの名前です。船底や岩に頑丈に付着する
 生物で、barnacleには、物事にかじりついて離れない人という意味もあります。進化論のチャールズ・
 ダーウインがフジツボの研究をしたことは世界的には有名ですが、日本ではテレビのクイズ番組に出題
 されていました。エビやカニの仲間とは思えないような形状ですが、食べると同じ味がします。
  

栃高博物館 49 マボヤ 

                        栃高博物館 49 マボヤ(真海鞘) 

    分類 脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱
    学名 Ascidiacea 
    英名 ascidian,sea squirt
    大きさ 単体のホヤは ~30cm、群体ホヤは広く大きく増殖し、船底の汚損生物
    分布 世界中の海 淡水にはいない

  英語の(squirt)は液体が噴出するという意味で、捕まえると、文字通り海水を噴出します。
 この標本の大きさは10cm。上部には2つの突起があります。+は入水口、-は出水口です。
 写真では左側に+の入水口が見えます。「ホヤ」はランプのシェード(透明なガラス製で優雅な
 カーブを持つ)のことです。海水を大量に飲み込んで、浮遊している有機物を鰓でとらえて食べ
 ます。英語で(filter feeder)といいます。
  

栃高博物館 48 クモヒトデ

                                      栃高博物館 48 クモヒトデ

         分類 棘皮動物門 クモヒトデ綱
    学名 Ophiuroidea
    英名 brittle star
    大きさ 足は最長60cm
    分布 沿岸から深海まで、熱帯から極地方まで。
        海水が中心で淡水には生息しない。まれに汽水。

 ニホンクモヒトデと、もう1種類、足に毛の量が多いもの「トゲクモヒトデ」が入っています。
英名の(brittle)は「壊れやすい、もろい」の意味です。実際捕まえてみると、足が簡単に
折れてしまいます。でも再生能力が強く、もとの足に戻ります。この写真の縦は約10cm
です。写真右側の円盤の中央が口です。おもな餌は腐肉か、さらに分解が進んだ懸濁物
(通称マリンスノー)で、深海の泥海底では生息密度が400匹/1㎡という高密度の場所
があります。
  

栃高博物館 47 ウミシダ

         栃高博物館 47 ウミシダ

     分類 棘皮動物門 ウミユリ綱 ウミシダ科
     学名 Comaturida
     英名 feather-stars
     大きさ ニッポンウミシダは10~20cm
     分布 日本沿岸部 サンゴ礁では数も色も大きさも豊富

 ウミユリ(海百合)、ウミシダ(海羊歯)ともに植物ではありません。ウミユリは葛生の石灰岩中に化石として
たくさん出ます。壊れやすい体なので、化石は小さい円筒型になっています。深海には生きているウミユリも
います。ニッポンウミシダは日本の沿岸部に普通ですが、別名「コマチ」といいます。学名のComatusからき
ていて、ラテン語で「毛状の」という意味を持っています。とても動物には見えませんが、実に優雅に泳ぎます。
毛のような、シダの葉のような体を、360度に大きく広げて、海水に含まれる細かい有機物を集めて食べます。
  

栃高博物館 46 ウミケムシ

                       栃高博物館 46 ウミケムシ(海毛虫)

         分類 環形動物門多毛綱ウミケムシ科
         学名 Chloeia flava
         大きさ 5~10cm
         分布 日本では中部以南
 
    その名のとおり海の毛虫、おまけに毒があります。標本液がなくなったため、Vの字に曲がって乾燥標本
    になってしまいましたが、伸ばせば6cmあります。体には節があり、体側からたくさんの長い毛が生えて
    います。釣り針にかかることもあるそうです。絶対にさわらないように。
   

   

栃高博物館 45 タツノオトシゴ

                 栃高博物館 45 タツノオトシゴ

     分類 トゲウオ目 ヨウジウオ亜目 タツノオトシゴ属
     学名 Hippocampus
     英名 Seahorse
     大きさ 1.4cm~35cm(標本は3cm)
     分布 熱帯から温帯の浅い海

   ヨウジウオの時にタツノオトシゴも紹介しました。同じ仲間です。体は鱗が変化した環状の硬い
  甲板に覆われて、凹凸があります。写真ではその様子がよくわかると思います。この仲間は体を
  直立させて、頭を前に向ける姿勢をとるので竜や馬に見えます。そのため「竜の落とし子」「海馬」
  「竜宮の駒」「Seahorse」などの名前がつきました。大型種は漢方薬として珍重され、乱獲の末に
  ワシントン条約の(輸出入に許可証が必要)のレベルになっています。
   

栃高博物館 44 ハコフグ 

                栃高博物館 44 ハコフグ

     分類 フグ目 ハコフグ科
     学名 Ostracion immaculatus
     大きさ 20~40cm(この標本は6cmで幼魚)
     分布 日本中部以南 

     大きな目に2本の角、おちょぼ口。愛らしい姿。体全体が箱形なのでこの名前になりました。
    皮膚には六角形の骨板が発達しています。サッカーボール模様ですね。さかなくんの帽子は
    ハコフグの仲間だそうです。
    

栃高博物館 43 サソリ

                     栃高博物館 43 サソリ(蝎、蠍)

     分類 節足動物門 クモ綱サソリ目
     学名 Scorpiones
     大きさ 数センチからダイオウサソリの30cm 

  瓶の大きさは6cm×3.2cm。この小さな標本瓶の周りには、細かい文字がびっしり書き込まれていました。
 紙の縦は4.5cmで、中央の「蝎」の字の大きさは3mmです。では読んでみましょう。( )の部分はよく読め
 ませんでした。写真中央の行から左へ「ニテ居リマス蝎デアリマス此虫ニササレマスト (?3大)ラスシテ死亡
 スル為メ恐レラ レテ蛇蝎視スルトノ語ガ生ジタと云ハレテ居 リマス(改行) 此虫ハ宇都宮出身ニテ遼陽ニ
 活動セラレテ」。 この文章の別なところに「第十四師団駐満」「渡満シタオリ」「寄贈」という記述もあります。
 日付は見つかりませんでした。調べてみると、かつて宇都宮に第十四師団があり、満州に行っていることが
 わかりました。右の写真は、ちょっと壊れていますがサソリです。手前に毒針が見えます。このサイズの小さな
 サソリが強い毒性を持っています。この恐ろしいサソリを生徒にも是非知ってほしいという教育的な気持ちから
 学校に寄贈されたと思われます。
      

栃高博物館 42 象牙

                    栃高博物館 42 象牙

      分類 哺乳綱ゾウ目ゾウ科
      学名 Elephantidae
      英名 elephant 象牙はivory
      大きさ  分布 アフリカ アジア

    ゾウの最大に発達した門歯です。先も元も割れていて、ちょっと傷んでいますが紛れもない象牙です。
   重さは3.5kgあり、ずっしり重いです。エボニー(黒檀の木 ebony)とアイボリー(ivory)はピアノの
   鍵盤として使われ、隣同士です。そういえば、ポールマッカートニーとスティービーワンダーが歌って
   いました。(ebony and ivory) 今では象の保護のため、象牙を取ってもいけないし、取引もでき
   ません。