校内散歩

2010年11月の記事一覧

校内散歩30 「秋の欅」

校内散歩30「秋の欅」 真女高の秋は金色である。
 校庭の三本の大欅が広げた?の天蓋が、端から少しずつ黄色みを帯び、ふと気づくと金色に輝いている。と思う間もなく、天蓋の金色の布は、風によってはらはらと少しずつほどけていく。あとはグランドに茶色がかった敷物として広がっていくばかりだ。
 清掃の時間になると、敷き延べられた秋の贈り物を生徒たちが片付けていく。箒とちり取りと60リットル用の大きなゴミ袋を使って落ち葉を片付ける合間に、嘆声が上がる。「きれいだねー。」「すごいよねー。」と、大欅を見上げる、その生徒達の素直なまなざしが私は好きだ。落ち葉掃きを嬉々として楽しんでいる姿がいいなあと思う。
  生徒達の欅を、未来を見上げる顔を見たくて、今日も「落ち葉掃き部隊、出動!」と、声をかける。箒を握る手の上にも、またはらはらと金色の光が降りかかる。

校内散歩29 「ランチボックス」

校内散歩29「ランチボックス」 生徒のお弁当をさりげなく見ることがある。男子高校生の弁当箱は「ご飯とおかずの二段重ね、カロリー十分、おやつのおにぎり付き」という栄養満点愛情満点のものが多かったように思う。女子高校生の、つまり本校生のものは「可愛いランチボックス、彩り美しくカロリー抑えめ、果物付き」であろうか。変わらないのは愛情満点というところ。写真のランチボックスの持ち主は三年生だが、親御さんの心配りが十分に伝わってくる。風邪ひくな、今日も頑張れ、そんな願いをこめて作っておられるのだろうと想像する。「自分で作っています。」という生徒も結構いて、それにも感心させられる。
 三年生は受験までの日にちも迫ってきたところだが、しっかり栄養を摂って自分の精一杯の力を発揮せよ。そんなことをつぶやきつつ、機会があると生徒のお弁当をちょこっと見せてもらっている。

校内散歩28 「秋の日のヴィオロンの」

校内散歩28 「秋の日のヴィオロンの」 よく晴れた秋の日の、本校の中庭は本当に心地よい。異国の公園を彷徨っているような気分になることもある。白い校舎、樹木、青銅のベンチ、そして青空。そろそろ桂や桃などの木々は葉の色を変えようとしており、足下の枯れ葉が優しく夏の思い出をささやく。
 オトナはどうしてもヴェルレーヌの有名な詩(Chanson d'automne)を思い出してしまう、そんな美しい光景だ。
  秋の日の/ヰオロンの/ためいきの/身にしみて/ひたぶるに/うら悲し。
 実際に耳に響くのは、吹奏楽部員達の練習している、トランペットなどの元気のよい音色ではあるが。曲目は「嵐メドレー」で、近々、真岡鐵道の秋の観光シーズンのイベントの一環として、真岡駅前で合同演奏をするということもあり、練習にますます熱が入っている。
  ヰオロン(ヴァイオリン)であれ、トランペットであれ、音楽の似合う中庭である。