宇都宮丘陵上横倉礫岩 | |
宇都宮丘陵西縁部の露頭と岩相 |
宇都宮市(うつのみやし)下横倉町(しもよこくらまち)
宇都宮丘陵西縁部の露頭と岩相
礫種(れきしゅ)は上横倉(かみよこくら)で見たものと同じです。
礫の大きさや角張り具合もまばらです。
この露頭では、土砂が上流から(北から南へ)流されてきて堆積したことを示す《斜交層理》(しゃこうそうり)※1が見られます。
宇都宮市(うつのみやし)横山町(よこやまちょう)
総合教育センター北 交差点付近の露頭と岩相
この露頭では、礫を含んだ粗粒の砂が、下位の砂岩〔横山層(よこやまそう)〕を削り込みながら堆積した様子が見られます。
地層に含まれる礫の種類など、上横倉で観察したものと共通しています。
(上の写真はこの露頭での礫岩の岩相)
同様の岩相の地層が宇都宮丘陵の東側にも分布し、丘陵の軸部を越えて運搬されていたことがわかります。
(現在、この露頭は深いやぶに覆われていて、観察は難しい状況でした)
解説
上横倉から続く一連の礫岩は山間部から平野部に形成される《扇状地》(せんじょうち)※2の堆積物であるようです。
堆積当時、平野部は海だったらしいので、扇状地がそのまま海まで達していたと考えられます。
扇状地堆積物は扇頂部で粗く、先端部に近づくにつれて細粒化する傾向があります。
また礫も円磨(えんま)されていく傾向があります。
上横倉は扇頂付近だったようです。
山から崩れてきた岩石が激しい水流にもまれ、下位の地層を削りながら堆積していった現場と思われます。
あるいは土石流に伴い堆積したかもしれません。
これに対して、下横倉や横山町では礫径がやや小さくなり、円磨度が増しています。
しかしここでも、礫を含む土砂は下位の地層を削り取りながら堆積したようです。
この場所は当時の扇央部から扇端(おうたん)にあたると考えられます。
下の写真はそのイメージ写真です。(調査中に水たまりで見つけました。あくまでもイメージです。)
語句の解説
斜交層理(しゃこうそうり)※1
堆積物が流水に運ばれながら堆積した地層です。
流水の前方に進みながら堆積していくので、前置層などとも呼ばれます。
地層面に対して斜めに堆積します。
斜交層理から、堆積当時の水流の方向も推定できます。(古流向)
扇状地(せんじょうち)※2
山間部から平野部に向かって扇形に発達する半円錐状(はんえんすいじょう)の堆積地形。