○自分の考えを効果的に伝え、他者を説得するための文章は、中国古代の文章の中にも多く見られます。その手法を学ぶことは、複雑な現代社会の中で他者と共存するためにも重要な学習です。この指導例は、漢字の配置によって視覚的に文章をとらえる作業を通して漢文の構成を熟考させ、それが現代の論説文の手法に通じることを理解させるために試みたものです。併せて、訓読されている状態からの学習ではなく、漢文を直接読解する視点を生徒に持たせようと試みました。
○「上書秦始皇一首」(李斯)は、『文選』(梁昭明太子撰)におさめられている論説の名文です。秦代の文章ではあるが、六朝四六駢儷文に通じる対句や典故を多用した表現や文章全体の構成は、形の上から内容を探っていく学習に適しています。また、そこに表われている中国古代の人物や事件・事象の背景が、歴史を学んできた3年生の興味・関心を喚起することも期待し、発展学習の教材として選定しました。
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