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令和5年度卒業式式辞

 柔らかな春の息吹の感じられるこの佳き日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 飯村 秀文様をはじめとするご来賓のご臨席を賜り、栃木県立さくら清修高等学校 令和5年度卒業式をこのように盛大に挙行できますことは誠に光栄であり、大きな喜びとするところです。教職員一同、厚く御礼申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、栄えある卒業、本当におめでとう。また、保護者等の皆様におかれましては、お子様の晴れの姿に感慨ひとしおのものがあるかと存じます。3年間の本校教育活動への深いご理解とご支援に改めて感謝申し上げるとともに、本日、お子様の卒業に当たって心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。

 卒業生は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けて生活してきました。しかし、様々な制約のもと、不安や困難を克服し逞しく成長してきたのも皆さんです。最上級生となり今日まで、諸活動が漸く従来の形で行われるようになると、進路実現という目標に向かって努力を惜しまず、何事にも率先して取り組む様子や、後輩たちの面倒を見る姿が窺えました。この1年間は真に高校生らしく振る舞い、そして友人や後輩との友情と絆を強固にするなど、青春を謳歌しながら充実した日々を過ごせたものと思います。

 本校は、個の興味・関心、進路に応じた幅広い科目選択ができる総合学科であることと、生徒会活動、部活動、ボランティア活動と並んで学校行事が、生徒諸君にとって大きな魅力と特色になっています。卒業生の皆さん、クラスや部活動の仲間と知恵を出し合い運営や発表を行った「桜花祭」や「芸術合同発表会」のような文化的行事と、クラスが団結してプレーした「球技大会」や縦割りのチーム編制で挑んだ「体育祭」の体育的行事は、大いに盛り上がりましたね。それらいずれの場面でも、一人一人が主役として輝いており、これからも本校での佳き思い出として、脳裏に刻まれていくことでしょう。皆さんが築いた伝統は、必ずや在校生がさらに磨きをかけて紡いでいきますので、見守っていてください。

 さて、皆さんを待ち受けている社会は、少子高齢化や高度情報化が加速度を増して進んで行き、既存の仕組みや制度が著しい変貌を遂げようとしています。そうした時代を生き抜くためには、多様な価値観を受容し柔軟に振る舞う対応力、先見の明をもってイノベーションを起こす思考力と実践力、そして、他を敬い優れた人格を備えた人間力が、重要であると考えます。皆さんは、地域の方々のご支援や保護者等の皆様の愛情と庇護のもと、3年間の高校生活をとおして、社会で立派に生き抜く素地を培ってきたと確信しています。こうして今、このような素晴らしい卒業生を前に式辞を述べていることに、私は喜びと誇りを感じています。今後進む道は人それぞれですが、さらに磨きをかけてください。期待しています。

 ここで、元官僚で栃木県知事も務めた社会評論家・詩人の安積得也氏の『明日』という作品の一節を紹介します。「人に皆美しき種子あり/明日何が咲くか」。繰り返します。「人に皆美しき種子あり/明日何が咲くか」。「桜梅桃李」の如く、一人一人の良さや可能性の花は、似てはいても一つとして同じ形や色のものはなく、花開く時期も異なります。しかし、必ずや花開くのです。自分を信じて個性豊かに開花する日を楽しみにしていてください。

 自然界の「さくら」も間もなく満開となります。前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には、新天地での生活にも慣れ、活気に満ちながらも落ち着いた生活を送っていることと思います。卒業生の皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈り、式辞といたします。