佐野天明鋳物
図面と型の製作

図面と木型

デッサンを繰り返し、どのような製品を作るのかを決めます。
デザインが決まったら、木型の図面を書き、それを元に木型を作ります。
昔は木や竹を用いていましたが、現在は鉄板を利用しています。

外型

■外型作り

鋳型の製作を行うための準備をします。
釜の上半分の外型をコウガイ、下半分をシリガタと呼んで、別々に作られます。

(1)粗仕上げ

1.タネガタと呼ばれる型の中から、木型に合うものを選び、前回使用した時のスナを取り除きます。
2.鋳型(いがた)を作るために、粘土分を含んだスナを用意し、フルイにかけます。
3.木型の回転軸の一端を支えるトリメを垂直に打ち込んでいきます。
4.木型とタネガタの間に粘り気を持たせたスナを入れてから、木型を回転させて、余分なスナを取り除きます。
5.外型を、しばらく乾燥させます。

(2)いけ込み

次の作業に備えて、内側を少し削ります。
釜の取っ手の部分(カンツキ)の土型を作ります。
カンツキの型を外型のコウガイに埋め込みます。

(3)仕上げ

1.挽き上げ作業をします。
木型とタネガタの間に、さらにスナを挽いていきます(流し込んでいきます)。
2.外型を再び乾燥させます。
3.挽き上げが完了した外型の内側に、麻布を使って、釜の肌を作っていきます(ハダウチ)。
指をはじいて作るハジキハダや、刷毛(はけ)を用いる方法などもあります。
4.ハダウチまで終わった外型を乾燥させます。
七輪の上に外型を載せ、ヤキブタでふたをするようにして、乾燥させていきます。
5.外型の内側の表面を焼いて、カタヤキします。
6.外型であるコウガイ(上半分)とシリガタ(下半分)をあわせて、外側の合わせ目にしるしを付けます。
7.木炭を細かくつぶしてフルイにかけ、水に溶かしたもの(クルミ)を外型の内側に塗ります。
この作業をトカタと言います。
クルミを塗ると、型が丈夫になり、型抜きするときに分離しやすくなります。
また、ひびの溝を塞ぐ効果もあります。

■中子作り

中子は、湯入れのときガスが抜けやすいように、粘土分の少ないスナを利用して作ります。
トカタされた外型の内面に同じ厚さでスナを詰めていきます。

外型から抜くためや乾燥の為に、木炭を利用して中子を焼きます。

上下別々に作られた中子をひとつに合わせます。
しばらく乾燥させた後、中子を外型から抜き、出来上がった釜の厚さが2.5mmになるように削ります。
中子にも、クルミ塗りを行います。