木の葉石
木の葉石によってどのようなことがわかるのか

植物は、環境や生活条件に対して比較的敏感で、地球上に生育している植物は大陸によって違いがあり、熱帯・温帯・寒帯という気候によってもそれぞれ違っています。
日本国内だけを例にしても、北海道(ほっかいどう)と沖縄(おきなわ)では生育している植物の組み合わせが大きく異なっています。
したがって、化石に出てくる植物の種類がわかれば、それらと同じ植物が生育している現在の環境と比較して、過去の環境を推定することができます。

木の葉化石園(このはかせきえん)から出る植物化石は、現在の植物と区別できないくらい形がよく似ていることや、現在の地球上から姿を消してしまった、いわゆる絶滅種(ぜつめつしゅ)が見当たらないことなどから、化石になった植物が生育していた時代は新生代第四紀洪積世(こうせきせい)という、地球の歴史から見るととても新しい時代であることがわかりました。
また、淡水に住んでいたウグイ・カエル・ヤゴ・けい藻・キンギョモなどの化石を産すること、木の葉の化石も、川の流れや波の立たない静かなところに堆積したことを示すように地層の面に平行になっていること、海に住む生物の化石が含まれていないことなどから、化石が堆積した場所が湖であったことも明らかになりました。

さらに、出てきた植物化石の種類は、現在の関東地方(かんとうちほう)における温帯下部から温帯上部の植物組成とよく似ており、産出した約170種の化石となっている植物の大部分は、塩原周辺の高原山(たかはらやま)、富士山(ふじさん)などで現在も見ることができます。当時、塩原化石湖(しおばらかせきこ)周辺も現在の塩原と同様、初夏の新緑と秋の紅葉が美しかったと考えられています。


ナツツバキの葉の化石

イタヤカエデの葉の化石