小高生へ(13)

「ありがとう」と言ってみよう!!

 「校長室より」のページから、生徒の皆さんへメッセージを送っていきたいと思っています。感想や要望がありましたら、気軽に声をかけてください。

 私たちは、それぞれに様々な悩みをかかえています。何も悩みがないという人はきっといないと思います。学業や仕事についての悩み、人間関係や家族についての悩み、将来についての悩み、健康についての悩み、人生や生きる意味についての悩み等、いろいろな悩みがあるのではないでしょうか。
 悩みに対して、すぐに答えが見つかればいいのですが、中にはどうにもならないと思える悩みもあります。「青春時代」というとキラキラした明るいイメージがあるかもしれませんが(それもひとつの側面ですが)、大人への階段を昇っていく過程は不安定でもあり、場合によっては孤独な思いに強くとらわれることもあります。
 悩んでいる時には、「なぜ自分ばかりがこんなに苦しく、さびしいのだろう」と思いがちです。でも、悩んでいてさびしいのは「自分だけじゃない」のです。生活するということは楽しいことばかりではなくて、それはみんながきっと同じではないかと思います。私たちの社会は、競争の原理が大きな比重を占めています。勉強も、部活動も、スポーツも、芸術の領域にすら競争は幅を利かせています。もちろん、競争は悪いことばかりではなく、それをとおして互いに励みあい、よい意味での刺激を与えあえるものでもあります。でも、競争には「勝ち負け=優劣」があり、勝者の傍らには必ず敗者が存在します。そして、他人からの評価に関して言えば、私たちが他人から受ける評価は、概して自分で思っているよりも低くなりがちだと言われています。「あんなに頑張ったのに」と感じてしまう場面が、生きていく中ではきっとあるはずです。
 そんな時、これは自分のせいではなく、自分以外の誰かのせいだと考えたくなったりします。誰かを責めたくなる気持ちになるかもしれません。誰かをおとしめて、自分をその人よりも上に置きたくなるかもしれません。そういう気持ちになった時には、自分の思いを否定するよりも、「そうなんだ」と受け入れ、ありのままの自分の思いを認めてあげていいと思います(きっと誰もが同じ気持ちになったことがあるから)。でも、自分や自分以外の誰かを責めたりする必要はありません(そんなことをしても何にもならなくて、かえって自分を追いつめてしまうだけだから)。では、どうしたらいいか。さびしい気持ちや悔しい気持ちを認めたうえで、「自分がもっている」ものに目を向けてみてはどうかと思います。
 今日は朝食がおいしかった、外に出たら風が気持ちよかった、友だちと「推し」について話せて楽しかった、部活で苦手なテクニックを少し克服できた・・・。何でもいいので、「よかった」と思えることを見つけて、心の中で(声に出してもいい)「ありがとう」と言ってみてはどうでしょう。私たちは「現在」のことを考えるよりも、「過去」のことを思い返したり(後悔)、「未来」のことをマイナスに予想したりして(不安)、クヨクヨしがちであると本で読んだことがあります。今、自分がもっているものに目を向けて、『感謝』と『前向きな気持ち』で生活していると、不思議とよい方向に変わっていくものです。
 周りの人にも、「ありがとう」と言ってみることを勧めます。「ありがとう」は人間関係を好転させる魔法の言葉です。友人や家族に、たくさんの「ありがとう」を贈ってみてください。どんなに「ありがとう」を重ねても、「もう結構」と言う人はいないはずです。私もあなたに贈ります。『校長室より』を見てくれて「ありがとう」!!