小高生へ(7)

「努力は必ず報われる」

(広澤選手からのメッセージ)

 「校長室より」のページから、生徒の皆さんへメッセージを送っていきたいと思っています。感想や要望がありましたら、気軽に声をかけてください。

 「努力は必ず報われるか?」と問いかけられたら、どう答えますか? 「必ず報われるはず!」と確信をもって答えられますか? 「報われる場合も、報われない場合もある・・・」と曖昧に答えますか? 私はかつて担任していた生徒の一人から、「努力は才能を超えますよね?」と訊かれて、明確な答えを返せなかったことがあります。
 ここで、皆さんの先輩(小山高校OB)の野球選手について述べたいと思います。昭和55年度の本校卒業生、元プロ野球選手の広澤克実さんです。広澤さんは、小山高校・明治大学の野球部で活躍した後、昭和59年ドラフト1位でヤクルトスワローズに入団、以後、読売ジャイアンツ、阪神タイガースで中心打者としてプレーし、打点王2回、最多勝利打点2回などのタイトルをとった素晴らしい名選手です。この広澤さんが、平成28年に母校である小山高校に講演に来てお話しくださったことが、『小山高百年誌』に掲載されています。
 現役を引退された平成15年、当時、阪神タイガースにいた広澤さんは、福岡ダイエーホークスと対戦した日本シリーズで(広澤さんはこれで引退することを決意されていたそうです)、打者として打席に立ち、ボールを打とうとしても、どういうわけか「バットを握った手が止まってしまう」、「体が動かない」という不調に陥ってしまいます。試合が終わった後、どうにもならない情けなさで2時間も自分の部屋で泣いてしまったということも、講演の中で話されています。チームとしては3勝3敗で迎えた日本シリーズ7戦目、9回ツーアウトという場面で、広澤さんは代打として現役最後の打席に立ちます。1球目は敵の22歳新人ピッチャーの速球に圧倒されながらも、2球目になって急にボールが見えるようになり、景色がバーっと変わり、自分が本来の調子に戻ったことを確信したといいます。3球目のボール玉も「止まった」ように見えたことで、「絶対打てる!」と自信を持ち、4球目のストレートで見事ホームランを放つのです。現役としての最終打席を本塁打で飾った時の広澤さんの思いは、「自分で打ったのではなく、誰かに打たせてもらった。野球の神様、ありがとう。」という感謝の思いだったと、生徒たちに話してくださっています。そして、「努力は必ず報われる。高校時代に一生懸命努力したことが、いつ満期なるかわからない銀行預金みたいに、今すぐには満期にならなくても、次のステージにいったときに、その努力が満期になって下りてくる人もいる。いつ満期になるかは、神のみぞ知るかもしれないが、必ず努力は報われる。」と力強いメッセージを、生徒たちに贈ってくれています。
 広澤さんのこの言葉は、後輩たちへのこの上ない激励の言葉です。こういう立派な先輩をもつ小山高校の生徒たちは、本当に幸せだと思います。広澤さんをはじめとする先輩方の素晴らしい生き様・人生を、今、小山高校に通う生徒たちも受け継いで、幸せで充実した時間を過ごしてほしいと願っています。努力は必ず報われる‼ 頑張れ、小高生‼