小高生へ(6)

「事実 → 解釈 → 感情 → 行動」
「微笑み」の魔法

 「校長室より」のページから、生徒の皆さんへメッセージを送っていきたいと思っています。感想や要望がありましたら、気軽に声をかけてください。

 私たちは、日々の生活の中で多くの出来事に出会います。人生とは、数え切れない出来事(事実)の集積とも思えます。でも、「人生=事実の積み重ね」なのでしょうか。人間は、様々な文学や哲学を生み出してきました。それらは、言わば「人生の解釈」とも言うべきものです。私たちの人生は、事実だけではなく、事実をどうとらえるかという「解釈」も重要な構成要素になっていると考えられます。
 わかりやすい例で言うと、水筒を持っていたとして、水筒の中身が残り半分になった時、「もう半分になってしまった」ととらえるか、「まだ半分もある」ととらえるかは、その人の「解釈」です。同じ事実に対して、プラスにとらえることも、マイナスにとらえることも、どちらの「解釈」も可能ですが、プラス(前向き)にとらえることで「感情」が変わってきます。
 これは、私が出会ったある生徒の話です。その生徒は野球部員でポジションはキャッチャーでしたが、「一発逆転されるかもしれない」というピンチの時はどんな気持ちなのかを尋ねたところ、「面白いぜ! 絶対負けるもんか!」という気持ちだという答えが返ってきました。私は「なるほどなあ」と感心しました。逆転されるかもしれない状況(事実)を「面白い」とプラスにとらえ(解釈)、「負けるもんか」という勝負への意欲(感情エネルギー)を引き出す流れ、このような思考と感情の流れが、観る人をワクワクさせるプレー(行動)につながるのだということが印象的に納得されました。
 毎日の生活も、単純に楽しいことばかりではありません。うまくいかないことや自身の思いにかなわないことの方が多いかもしれません。そうしたことをあえてポジティブにとらえてみると、きっと何かが変わります。何らかの「事実」があり、私たちはそれを「解釈」します。マイナスに解釈すれば、どうにもならないと思われることも、プラスにとらえると次なる飛躍へのステップになります。前向きな「解釈」は、前向きな「感情」(意欲)を引き出します。そして、「感情」が変われば、「行動」が変わります。
 「微笑み」の魔法があるそうです(ある先生から聞いた話)。試験の時、問題を開く前に「これは私を合格させてくれる問題だ」と思いながら(解釈)、問題に向かって微笑んでから解くようにすると実力が発揮できるという話です。前向きな解釈と、微笑むことによるリラックス(感情)が、落ち着いて問題を解くこと(行動)につながるということですね。「必勝」ならぬ「必笑」をスローガンとする、甲子園常連の高校野球部の話も聞いたことがあります。選手たちは、「笑う」ことでポジティブなイメージがわいてきて、落ち着いて前向きに戦えるのだそうです。いつもニコニコ笑っている人がいると、雰囲気が楽しくなります。楽しいと、心身をリラックスさせることができます。きっとその方が「うまくいく」のだと思います。「微笑み」の魔法を、いろいろな場面で使ってみてください。魔法の成果を報告してもらえるとうれしいです。