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身近な風景 ~メダカ

9月25日(土)、イオンモール佐野新都市の東側に広がる田園地帯では稲刈りが行われていました。その片隅では、水が止められた用水路に、メダカの姿がありました。

メダカは絶滅危惧種にもなっていますが、このあたりの水田の用水路には、たくさんのメダカが生息しています。

稲刈りをしている周囲には、シラサギが5,6羽集まっています。エサでも探しているのでしょうか。


この頃になると、水田に水を送る用水路の水は、ほとんど干上がっています。ポンプによる給水はありませんので、溜まっていた水は、やがて蒸発してなくなってしまいます。


ここもそんな場所の一つです。用水路の深くなっている場所にかろうじて水が残っていますが、このまま雨が降らなければ、干上がってしまうのは時間の問題でしょう。


そんな水たまりをよく見ると、水面が波立っています。メダカがたくさんいました。(冒頭の写真)

動画:用水路のメダカ(2021.9.25)

この水たまりのメダカはどうなってしまうのでしょうか。水が完全に干上がってしまったら、生きていくことはできません。メダカは絶滅してしまうのでしょうか。

しかし、こうしたことは、おそらく毎年起こっているはずです。完全に水が干上がった場所ではメダカの死滅は避けられないでしょう。それでも、翌年は再びメダカの姿を目にすることができます。
実は、水田の用水路に水があるときはいろいろな場所とつながっています。そこには、冬場でも水が干上がらないコンクリートの水路や用水路に水を引く本流もあり、そこにもメダカが生息しています。翌年、水田の用水路に水を入れる際に、そうした水路で冬を越していたメダカが一緒に流れ込んでくるのではないかと思います。


こうした現象はメダカだけに見られるわけではありません。本校の科学部がかつてカメの行動を研究していた際、田植えが近くなり、水路に水を入れると、不思議とクサガメがたくさん水路に集まってきました。このように季節によって水があったり無くなったり、という特殊な環境には、それに適応した生物の生き方があって、それが毎年、繰り返されています。メダカの場合は、水がなくなると取り残された個体は残念ながら移動することはできないので、死を迎えることになります。

実は、ここでメダカが取り残されていることは、地元の生き物に詳しい草野さんという方から教えていただき、現場を見てきました。心優しい草野さんは、メダカを網で捕獲し、バケツで近くの水が流れている本流に運んで放流されたそうです。

(草野さんが捕獲・救出したメダカの一部)

草野さんが救出したメダカの何匹かは、来年もまた同じ水路に戻ってこれるかもしれません。そうして繋がっていく命があるのもまた事実です。(希少生物の保護などを考える際には、避けては通れない問題です。)