校長室便り

身近な風景 ~トウキョウサンショウウオ観察会

4月4日(日)、トウキョウサンショウウオ観察会(生息状況調査)を実施しました。
この観察会は、2005年から毎年、4月の第一日曜日に行っています。
今年は、佐野高校10名、とちぎカエル探検隊2名、宇都宮大学1名が参加してくれました。

この観察会(生息状況調査)は、小中高生を対象に、地元の希少な生物であるトウキョウサンショウウオとその生息環境について知ってもらうことと、その年の産卵数をみんなで数えることで生息状況を調査することを目的としています。近年は、佐野高校の科学部の研究とタイアップして行っています。


こんなシーンも見られました(幼生同士の共食いです!)

トウキョウサンショウウオは、栃木県ではレッドデータブックで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。栃木県では、県南地域(佐野市と栃木市)が最大の生息地ですが、近年、様々な要因から急速に減少しつつあります。そこで、生息状況を正確に把握し、保護対策を講じることを科学部とともに進めています。

本種の保護対策として、2年前から科学部によって人工の産卵場を整備しました。
この日は、実際にどこにどれだけ産んでいるかを調査し、卵のうがある場所に、目印として割り箸をたてました。この土地の所有者は、佐野高校のOBということで、とても協力していただいています。

このような雨水が集まってできた水路にも産卵が見られます。


これまでの最高の148卵のうを1時間の調査で確認しました。これだけの卵のうを発見するのは、熱意と根気がいる作業です。科学部の精鋭たちの力は凄いです。一人では、一日かかっても、ここまではとうていできないでしょう。

かなり達成感のある調査です。もちろん、卵のう数を確認した後は、もとあった場所に戻します。これだけの卵のう数から、どれだけの幼生が成長して上陸できるのか、その割合を把握し、それを高めることが保護活動に繋がります。この土地の所有者も、自由に研究に使ってくださいと協力していただいています。


近年は、人の手が加わらなくなった休耕田は荒地化し、産卵に適した環境が急減しています。荒地を探索し、卵のうを発見した時は、かなり嬉しくなります。
しかし、はたしてここで成長して成体になれるのか、と考えると、不安が大きいです。何しろ、水が干上がってしまったら、両生類は生きていけませんから。


この日は、散り始めた桜の花びらが川の水面に浮かび、花びらの滝が見られました。






在来種のカントウタンポポの大群落が花盛りでした。(アマガエルがどこにいるかわかりますか?)
今日は、お陰様で充実した調査ができました。