校長室便り

【高校】島田佐智夫先生 in 県立博物館

4月22日(木)午後、宇都宮での出張の帰りに、栃木県立博物館に立ち寄りました。今年度の異動で、栃木県立博物館にご転出された、島田佐智夫先生にお会いすることが出来ました。



島田先生は、4月から「栃木県立博物館  学芸部人文課  主任研究員」という肩書の研究者として勤務しています。栃木県立博物館は、自然課(自然系:動物、植物、地学)と人文課(人文系:考古、民俗、歴史、美術工芸)に専門が分かれており、島田先生は、人文課の考古担当です。


「民俗・考古研究室」の中に、島田先生の仕事場があります。


島田先生の担当は「考古」ですので、栃木県で発掘された古墳や埋蔵物などに関する全てのことを、「埋蔵文化センター」や「市町の教育委員会」と連携し、県民にわかりやすく伝えたり、収蔵品を管理するなどの仕事を行うそうです。

そこで、今のお仕事などについて質問してみました。

Q1:今はどんなことをされていますか?
「4月24日から、第129回企画展「収蔵庫は宝の山!」が始まりますので、その準備の手伝いなどをしています。」


「また、10月9日からは、自分が担当する企画展「木と木の実の考古学 ~縄文時代の低湿地遺跡と植物の利用」が始まりますので、そのための準備(勉強)をしています。」


Q2:考古学を担当されることを、どう思っていますか?
「もともと、自分は倫社、哲学が専門ですので、考古学については全くの初心者です。しかし、これから、新しい分野の勉強ができることは、とても楽しみで、自分の専門分野が広がると思っています。」

Q3:考古学と哲学は何か関係はありますか?
「考古学は、英語でArchaeology(アルケオロジー)と言いますが、接頭語のArchaeアルケーは、古代ギリシャ哲学で「万物の根源」を意味しています。つまり、哲学も考古学も「真実を探る」という点で、共通の根っこから生まれた学問なんです。
一方、哲学は書物に書かれた文言を対象としていますが、考古学には古文書はありません。発掘された物(エビデンス)が全てです。エビデンスから、どれだけ真実に迫れるか、という哲学にはない面白さがあります。」

Q4:博物館には生徒がいないので寂しくはないですか?
「今まで担任をしていた学年を卒業させることが出来なかったのが、心残りです。
自分は学校で教えるのが仕事ですので、何年かしたら、必ず、学校に戻ってきます。その日を心待ちにしています。しかし、それまでは、与えられたチャンスですので、新しい分野の勉強を頑張りたいと思っています。」

Q5:佐高生・佐附中生にメッセージをお願いします。
「考古学は、発掘(エビデンス)から仮説を立て、そこで暮らしていた人々の姿を解明します。皆さんが学校で行っている「探究学習」と本質的には同じです。博物館には、自然系、人文系を問わず、たくさんのエビデンスがあります(宝の山)。ぜひ、博物館に遊びに来てください!」

Q6:博物館で、生徒が、島田先生にお会いすることはできますか?
「受付で言ってくれれば、(博物館にいれば)お会いすることは出来ると思います。博物館に来た際には、ぜひ、お声がけください。」

*島田先生は、とても元気に仕事をされていました。新しい仕事にチャレンジしている姿は輝いていました。