【校長ブログ】何のために働くのか
小山西高等学校においては、「キャリアクションプロジェクト」を通じて、生徒一人ひとりが自らの将来を見据え、職業観と学問への探究を深めております。これは、単なる進路指導にとどまらず、人生の目的と向き合う貴重な学びの機会となっております。
去る六月には、同窓会副会長・露崎智宏先輩をお招きし、「働くことと学ぶこと」を主題としたご講演を賜りました。先輩の言葉は、若き探究者たちの心に深く響き、学びの意義を再認識する契機となりました。また同月、本校卒業生が教育実習に臨み、ある保健の授業において「なぜ人は働くのか」という問いが投げかけられました。多くの生徒が「お金のため」と答えたと聞いております。
その折、教育実習生より「校長先生は働くことをどのようにお考えですか」と問われました。私は、迷うことなくこう答えました――「それは、幸せを手にするためです」。
一昨年の夏、某テレビ局のチャリティー番組にて放映されたスペシャルドラマ『虹色のチョーク』をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。この作品は、日本理化学工業というチョーク製造会社を舞台に、働くことの本質を描いた感動的な物語です。社員の七割が知的障がいを持つこの企業の元会長は、働くことの意味について、次のような言葉を遺されています。
「人間の究極の幸せとは、人に愛されること、人に褒められること、人の役に立つこと、人から必要とされること。働くことによって、愛以外の三つの幸せは得られる。私は、その愛までも得られると思う」。
私も、まさにその通りだと感じております。働くことによって、人に認められ、誰かの力となり、必要とされ、そして愛される――その営みこそが、真の幸福へとつながるのです。働くことは、人間の尊厳と喜びを体現する、かけがえのない行為なのです。
どうか、小山西高校の皆さんには、この夏休みを通じて、「働くこと」の意義について改めて深く思いを巡らせていただきたいと願っております。皆さんの未来が、誇りと喜びに満ちたものでありますように。