校長自ら更新!!

校長ブログ

【校長ブログ】マシュマロを我慢した君へ

二学期の終業の日を迎えることができました。皆さんの努力と協力により、無事にこの日を迎えられたことを大変うれしく思います。さて、まもなく新しい年を迎えます。皆さんに二つのお話をしたいと思います。

まず一つ目は、「自制心」についてです。

「マシュマロ実験」という有名な心理学の実験をご存じでしょうか。1960年代後半、アメリカ・スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェル氏によって行われたものです。

実験では、4歳の子ども186人を対象に、空腹の状態で机の上にマシュマロを一つ置き、「15分間食べずに我慢できたら、もう一つあげます。ただし、食べてしまったら二つ目はもらえません」と伝えて部屋を出ます。子どもたちはさまざまな方法で我慢しようとしますが、多くは途中で食べてしまいます。その中で、約3分の1の子どもたちは15分間我慢することができたそうです。

この実験の本質は、「今すぐの小さな報酬」と「将来のより大きな報酬」のどちらを選ぶかという、人間の意思決定の在り方にあります。

さらに重要なのは、その後の追跡調査です。ミシェル氏らは、実験に参加した子どもたちを10年以上にわたり追跡し、学業成績、社会的スキル、健康状態などを調査しました。

その結果、マシュマロを我慢できた子どもたちは、大学進学適性試験(SAT)での平均スコアが、我慢できなかった子どもたちより210点以上高く、また教師や保護者からも「集中力があり、ストレスに強く、社交的である」と評価される傾向が見られました。さらに、成人後の健康状態も良好で、薬物依存や犯罪のリスクも低かったと報告されています。

つまり、幼少期の「自制心」が、将来の成功や健康にまで影響を与える可能性があることが、この実験から明らかになったのです。

では、自制心は大人になってからでも身につけることができるのでしょうか。ある研究によって、それが可能であることが分かってきています。


そこで二つ目のお話は、「自分との約束を守ること」についてです。

皆さんは、NBAプロバスケットボール選手の河村勇輝さんをご存じでしょうか。先日、テレビ番組のインタビューで語っていた言葉が、私の心に深く残りました。

「私は自分との約束は必ず守る。自分がやると決めたことは、必ずやり遂げる。」

NBAで活躍するという目標を掲げた河村選手は、その実現のために自分と約束を交わし、日々厳しい環境の中で努力を重ねてきました。特に、背の高い選手が多いNBAで通用するために、スリーポイントシュートの軌道をより高く山なりに放つよう工夫し、理想のフォームを身につけるまで練習を重ねたそうです。その姿勢は、チームメイトからも「努力と向上心にあふれた選手」として尊敬されているといいます。

もちろん、結果を出すことは素晴らしいことです。しかし、それ以上に、日々の地道な努力、あきらめずに挑み続ける姿勢、そして誠実な人柄にこそ、人は信頼と敬意を寄せるのだと私は確信しています。

「自分との約束」は、破っても誰かに叱られることはありません。途中で投げ出すことも簡単です。なぜなら、それを守れたかどうかを知っているのは、自分自身だけだからです。

皆さんは、何か自分との約束をしていますか?
「冬休みは毎日10時間勉強する」「毎日筋トレやランニングを続ける」「勉強中はスマホを見ない」「デジタルデトックスする」。こうした日々の小さな約束の積み重ねが、やがて大きな目標の達成へとつながっていきます。

ルネサンス期の芸術家ミケランジェロは、次のような言葉を残しています。
「人間にとって最大の危険は、目標が高すぎて失敗することではない。目標が低すぎて達成してしまうことである。」

簡単に達成できる目標ばかりでは、自分の限界を広げることはできません。たとえ失敗しても、高い目標に挑戦することが、成長につながるのです。
冬休みには、ぜひ高い目標を立て、自分との約束を交わし、その約束を日々思い出しながら、具体的な行動に移してみてください。
その積み重ねが、自制心を鍛え、自らを律する「自律」へとつながっていきます。


最後に、先日三年生の進路内定者指導の際に少し触れた、パナソニック創業者・松下幸之助氏のエピソードを改めてご紹介します。

「経営の神様」と称された松下氏は、自ら採用面接に立ち会い、学生にこう尋ねたそうです。
「あなたは運が良い人ですか?」

「運が悪い」と答えた学生は不採用に、「運が良い」と答えた学生は採用にしたといいます。

この質問の真意は、困難や不運をどう受け止めるか、また幸運に対して感謝と謙虚さを持てるかという、人としての姿勢を見極めることにあったのではないでしょうか。

私たちは日々、さまざまな出来事に出会いながら生きています。順調な時もあれば、思うようにいかない時もあるでしょう。
しかし、その一つひとつの出来事が、私たちを育て、人生を豊かにしてくれるのです。大切なのは、与えられた状況をどう受け止め、どう活かしていくかという姿勢です。


結びに、こうして、今年度の二学期も無事に締めくくりを迎えることができました。新しい年には、新たな挑戦や困難が待ち受けているかもしれません。どうかそれらを恐れず、前向きに受け止め、自らの成長の糧として歩んでいってください。

三学期の始業式で、皆さんの元気な笑顔に再び出会えることを、心から楽しみにしています。この冬休み、自分自身との約束を大切にしながら、充実した日々を過ごしてください。

そして、三年生の皆さんにとって、来たる年が希望に満ちた「幸運の年」となりますよう、心より願っています。

小山西高校
校長 佐山利晴

 

【校長ブログ】限界を疑え!自分を信じろ!

本日より、3年生が共通テストのプレテストに挑みます。
この試練の始まりにあたり、受験生の皆さん(と、来年以降に受験生となる後輩諸君)に伝えたい言葉があります。

これから始まる戦いは、他の受験生との戦いではない。
真に戦うべき相手は、他でもない。己自身だ。
怠けたいという誘惑、諦めそうになる心、逃げ出したくなる弱さ。
それらすべてと向き合い、乗り越えること。
それが、最も困難で、最も価値ある戦いなのだ。

己に打ち克つこと。
それこそが、最大の勝利であり、真の成長だ。
限界を感じることがあるかもしれない。
でも、忘れるな。
限界なんて最初から存在しない。
それは、あなたが勝手に「ここまでだ」と思い込んでいるだけだ。
本当のあなたは、もっと強い。もっと遠くへ行ける。

過去の自分を超えろ。
昨日の自分に勝て。
そして、自分の限界を突破したその先にこそ、
あなたの未来が、人生が、輝き始める。

さあ、立ち上がれ。
己を信じ、全力で挑め。
この戦いの先に、君だけの道が待っている。

校長より

 

【校長ブログ】心のバッテリーを充電する冬休みに

今年もいよいよ冬本番を迎え、朝夕の冷え込みが一段と厳しくなってまいりました。体調を崩しやすいこの時期、健康管理には一層の注意が必要です。

さて、今月の「保健だより」が発行されました。今回は、インフルエンザや水痘といった感染症に関する情報に加え、「デジタルデトックス」についての記事が掲載されています。

冬休みは、学校生活に比べて自由な時間が増える分、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器に触れる時間も自然と長くなりがちです。しかし、知らず知らずのうちに心や体に疲れがたまってしまうこともあります。

だからこそ、この機会に「デジタルデトックス」に挑戦してみてはいかがでしょうか。意識的に画面から離れ、自然の中を散歩したり、読書や家族との会話を楽しんだりすることで、心身のリフレッシュにつながります。

冬休みが、皆さんにとって健やかで充実した時間となりますように。どうぞ、保健だよりもぜひご一読ください。

【校長ブログ】燃えよ受験生!夢を掴むその日まで

進路実現に向けて日々努力を重ねる生徒たちの姿が、校内のあちらこちらに見られます。そんな中、「小山西進路部通信 No.4」が発刊されました。

今回の特集は、目前に迫る大学入学共通テスト対策、そして私立大学入試への実践的なアプローチです。明治大学、東京理科大学、立教大学、中央大学、青山学院大学、法政大学といった難関私大の入試傾向に加え、各大学の「狙い目」となる学部・学科の情報も掲載されています。

本校には、推薦や総合型選抜だけでなく、一般選抜という厳しい道を自ら選び、日々研鑽を積む「誇り高き挑戦者たち」がいます。その姿は、まさに未来を切り拓こうとする若き力の象徴であり、私たち教職員一同も、彼らの努力に心から敬意を表し、全力で応援しています。

受験は決して平坦な道ではありません。しかし、困難に立ち向かい、自らの力で扉を開こうとするその姿勢こそが、人生におけるかけがえのない財産となるのです。

そして、今まさにその背中を見つめている2年生諸君。来年の春、君たちがどのような決意を胸に歩み出すのか、今から楽しみにしています。先輩たちの姿に学び、自らの進路を真剣に見つめる時期が、もうすぐそこに来ています。

頑張れ、受験生! そして、2年生もその志を受け継ぎ、力強く歩み出そう!

校長より

今日も素敵な一日でありますように。

【校長ブログ】女子ハンド3連覇、男子は準優勝、共に関東へ!

小西ハンドボール部がまた一つ、輝かしい歴史を刻みました。週末に開催された「ハンドボール県高校新人大会 兼 第40回関東選抜大会県予選会」において、女子は見事な戦いぶりで三連覇を達成し、男子も堂々の準優勝を果たしました。男女ともに、2月6日から8日に宇都宮・日環アリーナで開催される関東選抜大会への出場権を手にいたしました。

私も現地に足を運び、選手たちのひたむきな姿に心を打たれました。特に女子の決勝リーグ最終戦、全勝同士で迎えた宿敵・栃木女子高校との一戦は、まさに手に汗握る名勝負でした。前半は一進一退の攻防が続き、後半には栃木女子が地力を見せてリードを奪う場面もありました。しかし、伊集院監督のもとで鍛え上げられた小西女子の底力が、試合終盤に爆発します。後半10分を過ぎたあたりから、まるで風を切るような怒涛の攻撃で逆転に成功し、最終スコアは29対26。見事な勝利でした。

この勝利の陰には、選手たちの努力はもちろんのこと、何よりも「応援の力」がありました。ダンス部をはじめとする生徒たちの熱い声援が、選手たちの背中を押し、勝利へと導いたのです。応援がこれほどまでに試合の流れを変えるものかと、改めてその力を実感いたしました。

男子もまた、全勝同士で迎えた国学院栃木高校との決勝戦に挑みました。前半は相手の勢いに押され、大きくリードを許す展開となりましたが、川田監督のもと、選手たちは最後まで諦めることなく粘り強く戦い抜きました。後半には、ダンス部女子の大声援を受けて小西男子が勢いを取り戻す場面もありましたが、結果は25対40。国学院栃木高校の3年連続46回目の優勝となりました。

しかし、真の勝負はこれからです。2月の関東選抜大会で勝ち上がり、全国選抜大会への切符を手にすることこそが、次なる目標です。この冬を通して、さらに地力を養い、心身ともに一回り成長した姿を見せてくれることを期待しています。私も再び日環アリーナに足を運び、皆さんの奮闘を全力で応援いたします。

最後に、今回の大会でひときわ輝いていた存在に感謝の意を表したいと思います。寒さの中、力強い声援を送り続けてくれたダンス部の皆さん、本当にありがとう。あなたたちの応援が、選手たちの心に火を灯しました。

小西の誇りを胸に、さらなる高みを目指して、これからの皆さんの挑戦に、心からのエールを送ります。

校長より

【校長ブログ】心にともるクリスマスの灯

昇降口にJRC部の皆さんが設置してくれた『受験生応援クリスマスツリー』が飾られました。色とりどりのオーナメントとやわらかな光に包まれたその姿は、登校してくる生徒たちの心を明るく照らしてくれています。寒さの増すこの季節に、ぬくもりと希望を感じさせてくれる、まさに「心にともる灯」です。

この季節になると、ある先生と一人の少年との心のふれあいを描いた、忘れがたい物語が思い出されます。

 

その先生が五年生の担任を受け持った年のこと。クラスに、身なりが乱れ、どこか投げやりな態度の少年がいました。先生はどうしても彼を好きになれず、日々の指導記録にも、つい否定的なことばかりを書き連ねていました。

ある日、何気なく手に取った彼の一年生時の記録には、こう記されていました。

「明るく、友だち思いで、誰にでも親切。学習意欲も高く、将来が楽しみな子」

「これは別の子の記録に違いない」先生はそう思いました。

しかし、二年生の記録には「母親が病気で、看病のために遅刻が増えている」とあり、三年生になると「母の容体が悪化し、疲労から授業中に居眠りすることがある」と書かれていました。

さらに三年の後半には、「母親が亡くなり、深い悲しみに沈んでいる」とあり、四年生の記録には、「父親が生きる気力を失い、酒に溺れ、子どもに手をあげるようになった」と記されていたのです。

その瞬間、先生の胸に鋭い痛みが走りました。

これまで「どうしても好きになれない」と感じていた少年が、実は深い喪失と苦しみの中を生き抜いてきた、ひとりのかけがえのない人間として、目の前に立ち現れたのです。先生にとって、それは心の目が開かれる出来事でした。

その日の放課後、先生は少年に声をかけました。

「先生は夕方まで教室で仕事をしているから、よかったら一緒に勉強していかない? わからないところがあれば手伝うよ」

少年は、はにかみながらも、初めて笑顔を見せました。

それからというもの、彼は毎日、教室の自分の席で熱心に予習や復習に取り組むようになりました。やがて授業中に初めて手を挙げたとき、先生の胸には言葉にできないほどの喜びがこみ上げました。少年は、少しずつ自信を取り戻していったのです。

そんなある年のクリスマスの午後、少年が小さな包みを先生の胸元にそっと押しつけてきました。あとで開けてみると、それは香水の瓶でした。きっと、亡き母が使っていたものなのでしょう。

先生はその香りをひとしずく身につけ、夕暮れ時に少年の家を訪ねました。雑然とした部屋でひとり本を読んでいた彼は、先生の香りに気づくと、駆け寄ってきて、先生の胸に顔をうずめて叫びました。

「ああ、お母さんの匂いだ! 今日はすてきなクリスマスだね」

六年生になると、先生は彼の担任ではなくなりました。

卒業の春、少年から一通のカードが届きました。

「先生は、僕にとってお母さんのような存在でした。そして、これまで出会った中で一番すばらしい先生でした」

それから六年が経ち、再びカードが届きました。

「明日は高校の卒業式です。五年生の時に先生に出会えて、本当に幸せでした。おかげで奨学金をいただき、医学部に進学することができます」

さらに十年後、また一通の便りが届きました。

そこには、かつての担任との出会いに対する深い感謝の言葉と、幼い頃に父から受けた厳しさが、今の自分にとって患者の痛みを理解する力になっていることが綴られていました。そして、こう締めくくられていました。

「僕はいまでも、五年生の時の先生をよく思い出します。あのままでは道を踏み外していたかもしれない僕を救ってくださった先生を、まるで神様のように感じています。医師となった今でも、僕にとって最高の先生は、あの時の先生です」

さらに一年が過ぎたある日、また一通の封筒が届きました。今度は結婚式の招待状でした。

そこには、たった一行、こう添えられていました。

「母の席に座ってください」

 

私たちは皆、数えきれないほどの「縁」の中に生きています。その一つひとつの出会いが、私たちを育み、人生を豊かにしてくれます。大切なのは、与えられた縁をどう受け止め、どう生かしていくかということです。

来週で、今年度の二学期も締めくくりとなります。来たる新しい年にも、きっと多くの出会いが皆さんを待っていることでしょう。その一つひとつを「一期一会」の心で大切にし、自らの成長につなげていってください。

JRC部の皆さんが飾ってくれたクリスマスツリーの光のように、皆さんの心にも、誰かの心にも、あたたかな灯がともりますように。

校長より

今日も素敵な一日でありますように。

【校長ブログ】勉強は人生を豊かにする出会いの準備

3年生の一般選抜対策プロジェクトの一環として、特別講演会を開催いたしました。講師としてお招きしたのは、旺文社『蛍雪時代』アドバイザーやベネッセ『ホームルーム通信』などでご活躍中の堀浩司先生。遠く関西の地よりお越しいただき、心より感謝申し上げます。

講演では、大学入試に向けた具体的な学習の在り方について、豊富なご経験に基づいた貴重なお話をいただきました。堀先生は、「大学入試の6~7割は教科書レベルの基本問題で構成されており、合否を分けるのは難問ではなく、『一度解いたことがある問題』『どこかで見たことがある問題』である」と語られました。つまり、日々の学習の中で基礎を確実に身につけることこそが、最も重要であるということです。生徒たちは、改めて「基本を大切にすること」の意味を深く胸に刻んだことでしょう。

さらに、堀先生は「なぜ勉強するのか」という問いに対して、ご自身の信念を静かに、しかし力強く語られました。「勉強は、よき出会いのためにするもの。自分が幸せになるためだけでなく、誰かを笑顔にするために学ぶのです」とのお言葉には、学びの本質が凝縮されており、聴く者の心に深く響きました。

この講演を通じて、生徒たちは受験勉強の意義を再認識するとともに、学ぶことの喜びと責任を感じ取ったようです。堀先生の温かくも情熱あふれるお話は、これからの進路に向けて歩みを進める生徒たちにとって、かけがえのない道しるべとなることでしょう。

堀先生、このたびは貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

【校長ブログ】夕陽に染まる富士と受験生たちへ

小山西高校の正門から望む富士の姿は、まさに荘厳のひと言に尽きます。夕暮れ時にふと見上げたその富士山は、西の空に沈みゆく夕陽を受けて、まるで葛飾北斎の浮世絵の一場面のように、真紅に染まっておりました。

その姿は、ただ美しいというだけではなく、どこか神々しさを湛え、見る者の心を静かに、そして力強く打つものでした。自然が織りなす一瞬の芸術に、思わず足を止め、しばし見入ってしまいました。

このような景色を、日々の学びの場から望むことができる小山西高校の生徒たちは、なんと恵まれていることでしょう。富士は古来より、霊峰として人々の信仰を集め、またその姿は「不二」の名の通り、唯一無二の存在として、日本人の心の拠り所であり続けてきました。

特に、これから受験という大きな節目に臨む三年生の皆さんにとって、この真紅に染まる富士の姿は、まさに「瑞兆(ずいちょう)」,つまり良きことの前触れのように思えてなりません。

努力を重ねてきた日々は、必ずや実を結びます。どうか自分を信じ、最後まで力を尽くしてください。皆さんの健闘を、そしてその先に待つ新たな春の訪れを、心より願っております。

校長より

今日も素敵な一日でありますように。

【校長ブログ】下野新聞記事より

本校の1年生によるキャリア教育の一環「キャリアクションプロジェクト」まちづくり分野の発表会が開催され、その様子が下野新聞にも写真記事として紹介されました。ご協力いただいた市内企業の皆様、そして温かく見守ってくださった保護者の皆様に、心より御礼申し上げます。

このプロジェクトは、地域の企業と連携しながら、生徒たちが社会の現場に触れ、自らの将来を見つめることを目的とした探究型の学びです。今年度は、市内の観光、保険、製造など多様な業種の企業にご協力をいただき、生徒たちは9つのグループに分かれて、10月にそれぞれの企業を訪問しました。

訪問先では、企業の業務内容や経営理念、さらには直面している課題などについて、丁寧にお話を伺うことができました。生徒たちは真剣な眼差しでメモを取り、時に鋭い質問を投げかけながら、社会の現実に触れていきました。そして、そこで得た学びをもとに、自分たちなりの視点で課題を分析し、解決策を考え、発表会に臨みました。

発表会当日、各グループはそれぞれの企業に対して、独自のアイデアを盛り込んだ提案を行いました。中には、企業の強みを活かした新たなサービスの提案や、地域との連携を深めるための施策など、実に多彩で創造性に富んだ内容が見られました。発表を終えた生徒たちの表情には、達成感とともに、自らの成長を実感する誇らしさがにじんでいました。

このような学びの場は、生徒たちにとって単なる職業理解にとどまらず、自らの進路を考えるうえでの大きな手がかりとなります。社会の中で働くとはどういうことか、自分はどのような価値を提供できるのか、そうした問いに向き合うことは、まさに「生き方」を探る営みでもあります。

また、今回のプロジェクトを通じて、生徒たちは「学びが社会とつながっている」ことを実感したことでしょう。教室での学びが、現実の課題にどう活かされるのかを体験することは、学習への意欲を高め、主体的な学びへとつながっていきます。

地域の企業の皆様には、日々のご多忙の中にもかかわらず、生徒たちの訪問を快く受け入れてくださり、貴重なお話を聞かせていただきました。生徒たちにとって、皆様の言葉や姿勢は、教科書には載っていない「生きた学び」となりました。この場を借りて、改めて深く感謝申し上げます。

そして、生徒の皆さん。今回の経験を、どうか一過性のものとせず、これからの学びや進路選択に活かしてください。社会は広く、可能性は無限です。自らの興味や関心を大切にしながら、これからも探究の歩みを止めることなく、自分だけの道を見つけていってください。

(下野新聞社使用許諾済)

【校長ブログ】選んだ道を正解に

3年生の進路内定者とその保護者の皆様をお迎えし、進路内定者指導を執り行いました。ご多用の折にもかかわらず、多くの皆様にご出席いただき、心より感謝申し上げます。

式の冒頭、私は次のようにご挨拶を申し上げました。

「本日はご多忙の中、進路内定者説明会にご出席賜り、誠にありがとうございます。まずは何よりも、お子様の進路内定、心よりお祝い申し上げます。これまでのたゆまぬ努力が実を結んだ成果であり、その歩みの傍らには、ご家族の皆様の温かなご支援があったことと存じます。どうかこの喜びを分かち合い、互いに労をねぎらっていただければ幸いです。」

この言葉に込めたのは、進路が決まった生徒たちへの祝意と、日々支えてこられた保護者の皆様への深い感謝の気持ちです。三年間の歩みは決して平坦なものではなかったでしょう。悩み、迷い、時に立ち止まりながらも、自らの未来を信じて進んできたその姿に、私は心からの敬意を抱いています。

しかし、進学や就職の内定は、あくまで一つの通過点に過ぎません。むしろ、これからが本当の意味での「自分の人生を歩む」始まりです。卒業までの数か月、そして新たな環境に身を置くまでの時間を、どのように過ごすか。その姿勢が、次のステージでの充実を大きく左右します。

私からは、ケンブリッジ大学の研究を紹介し、「人は一日に約35,000回もの選択をしている」とお話ししました。進学先や就職先といった大きな選択だけでなく、日々の些細な判断の積み重ねが、やがて人生そのものを形づくっていきます。だからこそ、学ぶことには意味があります。より良い選択をする力を養うために、私たちは学び続けるのです。

また、経営の神様と称された松下幸之助氏の逸話もご紹介しました。氏は採用面接で「あなたは運が良い人ですか?」と問い、「運が悪い」と答えた学生は不採用にしたといいます。この問いは、困難や不運をどう受け止めるか、自らの責任として前向きに乗り越えようとする姿勢を見極めるためのものだったのでしょう。小山西高校の生徒の皆さんにも、どんな状況にあっても前を向き、困難を糧として成長していける人であってほしいと願っています。

そして、今まさに進路を決めた皆さんの隣には、一般選抜に向けて懸命に努力を重ねている仲間がいます。どうか、彼らの努力を尊重し、共に励まし合いながら、最後まで小山西高校の一員としての誇りを持って過ごしてください。規則を守り、清掃や係の仕事に率先して取り組み、授業に真摯な姿勢で臨むこと。それが、仲間への何よりの励ましとなるはずです。

結びに、これから自分の道を歩み始める皆さんに、ぜひ心に留めていただきたい言葉があります。

「人生には、幾度となく分かれ道が訪れます。そのたびに『どちらが正解なのか』と悩むこともあるでしょう。しかし、真に大切なのは『正解を選ぶこと』ではなく、『自分が選んだ道を正解にすること』です。」

この言葉は、これからの人生において、皆さんの背中をそっと押してくれる灯火となることでしょう。ご家族の皆様もまた、これまで幾多の選択を経て、今の場所に立っておられるのだと思います。

本日の進路内定者指導が、合格内定の喜びを改めて感じるとともに、4月から始まる新生活に向けて、今後の過ごし方を考える機会となれば幸いです。皆さんの未来が、希望と可能性に満ちたものでありますように。心よりお祈り申し上げます。

小山西高校
佐山利晴