校長室便り

校長室(自宅)便り①

来週からゴールデンウィークが始まり、学校もお休み(誰も出勤しません)となります。「校長室便り」も校長室に出勤しないので発行できません。しかし、臨時休業中、時々は、何らかの形で皆さんに学校のことなどを情報発信した方がいいのではないかと思い、「校長室(自宅)便り」を発行することにしました。
具体的な内容は、特に決まっていませんが、本の紹介や身の回りの自然など、自分の得意分野の内容にしようと思っています。
ということで、今回は、本の紹介をしようと思います。

畑正憲著「ムツゴロウと天然記念物の動物たち」(角川ソフィア文庫)



皆さんは、著者の畑正憲(はた まさのり)さんを知っていますか。
1935年生まれの小説家、エッセイスト、動物研究家、いろいろな肩書がありますが、「ムツゴロウ」の愛称で知られ、1972年から北海道に動物と共生する「ムツゴロウ動物王国」を創設しました。「ムツゴロウ動物王国」は非公開でしたが、ここでの動物とのやりとりがテレビの長寿番組にもなりました。

畑正憲さんは、東京大学理学部生物学科を卒業した後、学習研究社の映画局に就職し、教育用の科学映画の製作に携わっていましたが、動物と一緒に暮らす生活がしたくて退社し、北海道に移り住みました。いわゆる脱サラ(脱サラリーマンという意味です)です。その間、天然記念物に指定された動物の保全の現状を追跡したルポ(ルポルタージュ=現地取材)などで文壇での成功をおさめました。

今回紹介する「ムツゴロウと天然記念物の動物たち」(角川ソフィア文庫)という題名の本書は、昭和47年発行の「天然記念物の動物たち」(角川文庫)を「海・水辺の仲間」と「森の仲間」の二分冊に再編集したものです。その後、シリーズ化され、さらに天然記念物の動物たちを訪ねて15年という、壮大なライフワークとなりました。「天然記念物の動物たち」の続編は、昭和61(1986)年までに、単行本で8冊ほど発行されています。



教員になったばかりの私は、この「天然記念物の動物たち」のシリーズを読んで、自分もこんなルポ(ルポルタージュ=現地取材)をしてみたいと強く思いました。

そこで、1990年から生物情報誌「すっかんぽ」(現在、「佐高ミュージアム」という名称で紹介)を発行することにし、そこでルポ(現地取材)を行おうと密かに決意しました。現在、少しずつ紹介している「佐高ミュージアム」も、その精神を引き継いでいるのですが、初期の頃には、実際に「天然記念物」を求めて取材に行きました。例えば、モリアオガエル(塩原)やカブトガニ(岡山県)、ホタルイカ(富山県)などがあります。



初期の「すっかんぽ」は、原稿は手書きで、自分で書いたスケッチを使っていました。写真だと印刷すると真っ黒になってしまったからです。
このように、教員になりたての私を動かした本でもあります。

以下に、「ムツゴロウと天然記念物の動物たち」(角川ソフィア文庫)の「海・水辺の仲間」裏表紙に書かれている紹介文を転記します。

「四つん這いでウォーッと吠えても見向きもしないオオサンショウウオ。ならば背中をおさえ、首筋にガブリと噛みついた。動物をこよなく愛するムツゴロウさんが、野生さながらに海にもぐり、大地に寝ころび、野山へ分け入った! テツギョ・ウミネコ・カブトガニなど、海や水辺で出合った天然記念物の生き物たちとの心温まる交流を通して、その激しくも愛らしい生態と、ありのままの大自然の息吹を描く。」

本書は、文系とか理系とかに関わらず、多くの人に読んでもらいたい本です。生き物の世界を知ったり、面白さに目覚めることができます。是非、臨時休業中に読んでみてください。(ネットでは、中古が安く出回っています。)