校長室便り

カテゴリ:報告事項

旭城祭ご協力ありがとうございました

保護者の皆様へ

8月30日、今年の旭城祭の「校内公開(保護者を含む)」が終了しました。
今回は、コロナ禍の中での実施ということで、保護者(2名まで)に入場を限定した形で公開いたしました。事前アンケートによる参加希望者数とほぼ同数の800名弱の保護者にご来場いただきました。受付や校内の見学等に際して、ご理解、ご協力をいただきまして、大変ありがとうございました。この場をお借りして感謝いたします。

お陰様で、今回の旭城祭は「感染症の予防と学びの保障の両立」という壮大なテーマに対して、生徒たちは見事に応えてくれたと思っています。

また、当日は、下野新聞の佐野支局から取材があり、旭城祭実行委員長(高校)の熊倉君高校生徒会長の齋藤さん、そして実行委員会でコロナ対策を担当した関谷さんの3人がインタビューを受けました。3人が、今回の旭城祭でのコロナ対策で工夫した点などについて、熱く語ってくれました。その後、校内を案内し、実際にどんなふうにコロナ対策を行っていたのかを記者さんに説明してくれました。



記者さんは40分以上かけて、丁寧に話を聞き、現場を見てくださいました。
帰り際に、記者さんから、「生徒たちの頑張る姿は、本当にすがすがしかったです。明るい希望を感じました。このような生徒たちの姿を見せてくれてありがとうございました。」と、逆にお礼の言葉をいただきました。

本日の下野新聞に記事が掲載されていますので紹介いたします。
記事のタイトルの「密回避 生徒が全力」という言葉に、記者さんの思いが集約されていると感じました。ちゃんとわかってくれたんだなあと思いました。


(下野新聞8月31日付け21面 利用許諾済)
旭城祭 下野 HP用.pdf

下野新聞のHPでもカラー写真付きで掲載されています。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/353193


最後に、閉祭式での校長の講評を掲載します。
R2旭城祭閉祭式 講評.pdf

校内のエアコンの状況について

昨日公開しました「いじめ・教育相談に関するアンケート」結果の自由記述の中で、「暑い」「教室のクーラーが効かない」という生徒の意見、要望等が多数あり、生徒の皆さんには大変ご不便をおかけしています。このことについて、学校としての対応状況について簡単にご説明いたします。

本校では、毎朝、7時過ぎからエアコンのスイッチを入れ、生徒が登校する前に教室を冷やしています。しかし、今年の酷暑による外気温の上昇、生徒の学習活動による熱気に加え、コロナ対策で、エアコン稼働中も窓の一部を空けておいたり、休み時間に空気の入れ換えをしたりする等の要因もあるため、エアコンの消費電力が想定以上に大きくなり、消費電力の上限値(デマンド値)を超えてしまうと、エアコンの室外機に自動制御がかかり、エアコンが効かない状況(教室の室内機からは風がでてくるだけ)となってしまいます。さらに、マスクをつけていることにより、体に熱がこもりやすく、体感温度が上昇するなど、例年にはないマイナスの要因があります。

そのため、先日、校内の消費電力の上限値(デマンド値)を大幅に上げる工事を行いました。それ以降、通常の授業ではある程度は状況が改善されつつあります。それでも冷房が効かなくなると、教室ごとに冷え具合を教職員が確認しながら、職員室のエアコンや照明を消したり、冷えている教室の温度設定を1~2℃上げる代わりに、冷えていない教室の温度設定を1~2℃下げたりするなど、こまめに対応することで、室外機の能力を最大限に引き出す工夫を行っています。

今年度の旭城祭(8月30日)は校内公開(保護者を含む)という形で実施しますが、教室の人の出入りが多いことが想定されますので、エアコンが効きにくい状況となることが予想されます。基本的には、旭城祭当日も上記のような対応をしたいと考えていますので、ご理解をいただければと思います。

旭城祭の開祭式

本日、11時より、旭城祭の開祭式が行われました。

1 開式の言葉(中学実行委員長 中3-3 若林仁瑛)
2 校長挨拶
3 生徒会長挨拶
4 実行委員長旭城祭開祭宣言(実行委員長 高3-1 熊倉幸寛)
5 表彰
  ・ポスター原画最優秀賞(高2-1 福島陽斗)→ポスター
  ・ポスター原画優秀賞(高3-2 野城杏奈)→リーフレット表紙
  ・テーマ最優秀賞(高1-2 藤原遼太)→「祭生」
  ・キャッチコピー最優秀賞(中3-1 大川隼)→「思い出が密です」
6 閉式の言葉(中学副実行委員長 中3-3 清水健成)
オープニングセレモニー(映像ショー、吹奏楽部演奏)
各会場の準備について(実行委員長 高3-1 熊倉幸寛)



以下は、校長挨拶の全文です。

皆さんこんにちは。
 いよいよ旭城祭が始まります。今年もこうして開祭式を迎えることができました。生徒の皆さんの努力はもちろんですが、企画・運営に携わってくれた旭城祭実行委員および生徒会役員の皆さん、そして多くの先生方の努力に、心から感謝したいと思います。

 今年の旭城祭のテーマは「祭生(さいせい)」です。これを考えてくれた高校1年2組の藤原遼大くんによると、「祭生」には、新型コロナの影響で様々な制約を受けている現在の世の中を、祭からあふれ出る生命力や生きる希望などによって「再生する」、「新しく生まれ変わらせよう」という思いが込められているそうです。実に素晴らしいテーマだと思います。
 また、キャッチコピー「思い出が密です」を考えてくれた中学3年3組の 大川隼くん  は、旭城祭によって、かけがえのない思い出に満たされて欲しい、思い出だけは3密、というストレートな気持ちを表現してくれました。
 
 そして、ポスター原画は、高校2年1組の福島陽斗くんが作成してくれました。このポスターには、青い空とそこに浮かんだ白い雲、それを見上げる人物が描かれています。この人物は私たちだそうです。私たちが空や雲を見る時、顔を上げて見ますよね。今年のテーマ「祭生」を目指すとき、下を向いて、狭い視野で考えるのではなく、大きなもの、広いものを感じることが大切だということを福島君は伝えたかったそうです。青い空と白い雲がその気持ちを表しています。
 また、パンフレット原画を作成してくれたのは、高校3年2組の野城杏奈さんです。「思い出が密です」というキャッチコピーに合わせて、思い出があふれ出てくるような旭城祭にしよう、という気持ちを込めました。

 今、紹介した4人には、おそらく共通する思いがあるのではないかと思います。今日の開祭式を始め、クラス展示や催し物など、様々なパフォーマンスには、皆さんの生命力や生きる希望、そして何よりも「熱い思い」があふれていると思います。そうした思いは、皆さんの「よき思い出」になるばかりでなく、世の中を「祭生」させる力になると、私も信じています。

 最後に、皆さんにお願いがあります。今回は保護者を含む校内公開ということですが、800名程度の保護者が来校される予定です。保護者の皆さんが安心して楽しめるよう、細心の注意を払って、おもてなしをしていただきたいと思います。

 また、皆さんが、この学校に入って良かったと感じることができる旭城祭となることを期待して、校長挨拶とします。




いじめ・教育相談アンケート

8月21日に実施した中高の全生徒を対象に実施した「いじめ・教育相談アンケート」の集計結果について、個人情報に配慮した形で公表いたします。

本アンケートは、いじめをゼロにすることを目指すものではなく、いじめは、いつ、どこでも、だれにでも起こりうるものであることから、その早期発見、早期対応を目的としています。
スクールカウンセラーや教員等との面談の希望がある場合には、即座に対応しています。

R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果(中学).pdf
R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果(高校).pdf
R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果・自由記述.pdf


今回の調査で、「いじめを受けた」という生徒が中3で1名いましたので、担任等が本人および関係する生徒から聞き取りを行うなどの対応をしています。また、スクールカウンセラーとの面談を希望していた高校生の1名には、面談日時を調整しています。

自由記述欄については、担任だけでなく、生徒指導部長、教頭、校長が全生徒の回答に目を通し、生徒の心身の健康状態の把握に努めています。



*なお、今回のアンケート結果については、本HPのメニューにある「いじめ・教育相談アンケート」に収納しています。

ボルボックスに名前を!

本日、中学1年2組の松葉君による「ミニ授業」の3回目が昼休み(12:40~)に行われました。もちろん、生徒は自由参加ですが、「ミニ授業」の話を聞きつけてきた先生方も数名参加しました。

今回のテーマは、「ボルボックスに名前をつけよう!」でした。



えっ、ボルボックスっていう名前があるじゃない! と思った方も多いと思います。
それも松葉君の想定内で、まずは、そもそも生物の名前には、和名と学名があります、という話から始まりました。



和名は「日本で呼ぶために作られた日本語の名前」、学名は「ラテン語で書かれた世界共通の名前」です。例えば、おなじみの「ゾウリムシ」は、和名で、ぞうり(スリッパ)のような形からきていますが、学名は、簡単に言うとParamecium  パラメシウム」(属名)といいます。


また、「ミドリムシ」も和名で、同様に「Euglena ユーグレナ」が学名(属名)になります。


他にも、和名「ミカヅキモ」→学名「Closterium クロステリウム」(属名)


前回、「微生物のお化け屋敷」で登場した「ロクロクビムシ」(和名)の学名は「Lacrymaria ラクリマリア」(属名)です。



それでは、今回のテーマである「ボルボックス」については、どうなっているのでしょうか。実は、ボルボックスは、学名が「Volvox  ボルボックス」(属名)で、和名は「オオヒゲマワリ」です。松葉君の主張(提案)は、ボルボックスはかなりメジャーな微生物にもかかわらず、和名である「オオヒゲマワリ」はいまいちピンと来ない、「オオヒゲマワリ」といって「ボルボックス」の姿をイメージできる人はあまりいない。それなら、みんなで、よりピッタリな名前をつけてしまおう!ということです。ボルボックス愛に溢れる松葉君の考えはよくわかりました。1年2組のみんなも、いろいろなアイディアを出してくれました。これで盛り上がってしまうところが、附属中は凄いなと思います。

ちなみに、出たアイディアとしては、
クレーターモ、コドモ、コロコロモ、スーモ、タマモ、ナナホシモ、などがありましたが、松葉君としては、まだ、これだ!というものには出会っていなかったようです。他に思いついたら、松葉君に伝える、ということで時間切れとなりました。

「こりゃすごい!」という名前がでてくることを期待しています。後で教えてください。

お疲れさまでした。参加者全員の拍手で終了しました。

注:ここで紹介した微生物の写真は、すべて、技術評論社「ずかん プランクトン」から引用しました。




身近な風景 ~セミの抜け殻調査②

旭城祭の代休である8月25日の朝、暑くなる前に、前庭のセミの抜け殻調査②を行いました。

セミの鳴き声を聞いていると、確かにミンミンゼミは一定数いることは間違いないのですが、ミンミンゼミの抜け殻がアブラゼミに比べて圧倒的に少ないことが謎でした。

その要因として、「ミンミンゼミは、木の高いところで羽化するので、抜け殻が見つかりにくい」という中1の松葉君の仮説が正しいかどうか、確かめてみようと思い立ちました。

その仮説を検証するため、高いところで羽化しているセミの抜け殻を発見・捕獲できるよう、「双眼鏡」と「高枝切りハサミ」を用意しました。

双眼鏡で高さ3~4m程度の高さまで、抜け殻を探してみると、確かにたくさん見つかりました。そこで、高枝切りハサミの出番です。




この日は、高い場所にあったセミの抜け殻38個を採取しました。

ところで、木の根元を見ると、直径2センチくらいの穴ぼこがたくさんあります。これは、おそらく、セミの幼虫が地面から這い出てきた跡ですね。この穴の多さからもセミが大量に羽化していることがわかりますね。




さて、今回、採取した38個のセミの抜け殻から、セミの種類を調べてみました。
はたして、ミンミンゼミは多く見つかるんでしょうか?
これで、ミンミンゼミの比率が高ければ、松葉君の仮説が正しい可能性がでてきます。

結果は、
38個体中、ミンミンゼミ0、アブラゼミ38でした。
残念ながら、仮説は証明できませんでした。ますます、アブラゼミの比率が高まってしまう結果となり、ミンミンゼミの抜け殻が非常に少ないという謎を解明することはできませんでした

さて、これであきらめることなく、さらなる仮説を考えてみましょう。

ボート部の練習見学

今日は、学校祭の代休①でした。
ボート部は午前中、渡良瀬川の練習場で部活動を行っていましたので、見学に行きました。
ボート部は、夏休み中の8月9日に行われたインターハイ県予選の代替大会となる栃木県ボート協会主催の「県大会少年の部」が行われ、女子ダブルスカル(藤倉さん、木村さん)、男子シングルスカル(内田君)、女子舵付きクォドルプル(岡部さん、松浦さん、船渡川さん、生熊さん、川田さん)が、それぞれ優勝し、9月17日からの全国大会へ出場する予定です。


女子ダブルスカル(藤倉さん、木村さん:3年生)



男子シングルスカル(内田君:2年生)


女子舵付きクォドルプル(岡部さん、松浦さん、船渡川さん、生熊さん、川田さん:2年生)

*全国大会にかける意気込み等を聞いてみました。

<女子ダブルスカル>
藤倉さん「全国大会では、決勝進出が目標です。決勝に出るためには、予選で2位以内、準決勝でも2位以内での通過が必要で、埼玉や東京の強豪校に勝ちたいです。7月からの練習で、体力や調子も上がってきています。今、3年生でまだ部活動をやっているのは私たち2人だけになってしまいましたが、みんなの分まで頑張りたいです。」
木村さん「目標は、同じく決勝に出ることです。これは1年生の時から言ってました。コロナで臨時休校中も、毎日、戸田先生が練習メニューを送ってくれていたので、筋トレやランニングを欠かさなかったため、体力が落ちませんでした。7月からの本格的な練習で、記録も伸びてきています。やり切った、と納得できる大会にしたいです。」

<男子シングルスカル>
内田君「全国大会に出る、ということを考えると緊張しています。ハイレベルの人達が集まるので、どこまでやれるか挑戦したいです。県の大会の時より、漕ぎが安定してきたと思います。力が艇に伝わっているのがわかるので、大会に出るのが楽しみです。

<女子舵付きクォドルプル>
岡部さん「初めての全国大会なので、持てる力を出し切って、できることをやるしかない、と思っています。」
松浦さん「自粛で練習できなかった期間がありましたが、そのことで逆にボートで強くなりたいと思うようになりました。もう大会はないと思っていましたが、全国大会に行けることになったので、練習頑張りたいです。」
船渡川さん「みんなでキツイ冬練をやってきたので、去年よりいい雰囲気になっています。さらにいいタイムが出せるよう頑張りたいです。」
生熊さん「自粛期間は、みんなで練習できなかったので、技術や体力が落ちてきてしまいましたが、練習再開後は、目に見えて力が付いてきました。全国大会ではいい結果を残したいです。」
川田さん「コロナの影響で大会に出られないという部活が多かった中、今回、ボート部の全国大会に出られることになったことは、とてもありがたいことと思っています。保護者や先生方、大会関係者など、多くの方々への感謝の気持ちを忘れず、練習してきたことを出し切って、悔いのないようにしたいです。」

*生徒から一人一人話を聞いていると、この与えられたチャンスを生かせるよう精一杯頑張っていることが伝わってきました。心から応援したい気持ちになりました。
頑張ってください! 応援しています!!

身近な風景 ~セミの抜け殻調査

8月3日付けの「身近な風景」では、「ミンミンゼミの謎」を紹介しました。

今年はやけにミンミンゼミの鳴き声が聞こえるのに、採取したセミの抜け殻は、ほとんどがアブラゼミで、ミンミンゼミのものは全くありませんでした。これが「ミンミンゼミの謎」でした。

この謎を解くため、「たまたま採取した抜け殻に、ミンミンゼミが含まれてなかっただけで、探せばミンミンゼミもでてくるのではないか」という仮説を立てました。

そこで、8月17日(始業式)と8月20日に、校庭の前庭から、セミの抜け殻をできるだけたくさん集めました。(掃除中に探索に協力してくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。)

すると、2日間合わせて20分程度で、141個の抜け殻を採取しました。
れをセミの種類ごとに分けると、以下のようになります。




(1)種の構成

①アブラゼミ 113(オス52、メス61)


②ミンミンゼミ 7(オス3、メス4)


③ツクツクホウシ 11(オス7、メス4)


④触覚が取れていて種の判別不能(10)

*これらのことから、佐野高校の校庭でみられるセミの種構成は、やはり、アブラゼミが圧倒的に多いことがわかりました。これは、他の文献を調べてみても同様で、少なくとも関東近県で鳴いているセミは、アブラゼミが主力で、ミンミンゼミの数は非常に少ないようです。

アブラゼミの鳴き声は「ジーッ」と油を揚げているような音がすることから、アブラゼミという名前がついていますが、たくさん鳴いていても、「ジーッ」だけだと何匹ないているのかわからないのに対して、ミンミンゼミは、「ミーンミンミン…」と何匹が鳴いているかわかりやすいので、たとえ数が少なくても、たくさんいるように聞こえてしまうのかもしれません。

(これもあくまで仮説です。8月21日に微生物研究家の松葉君(中学1年2組)に相談したら、「ミンミンゼミの幼虫が、木の高いところで羽化したため、抜け殻が見つかりにくかった、という可能性がありますね。」という指摘がありました。確かにその可能性は否定できませんが、肉眼で確認できる高さ(2m程度)で捕獲できた抜け殻に限定して考えることにしました。)


(2)性比
次に、3種のセミのオスメスの性比に着目してみましょう。
セミのオスメスは、お尻にある突起の形で、簡単に判別できます。

オス(おしりの突起が一つだけ)


メス(おしりの突起が2つある)



採取数では、アブラゼミとミンミンゼミはメスが多く、ツクツクホウシはオスが多い結果です。それはそれでいいのですが、例えば、「アブラゼミは、佐野高校ではメスの方が多くいる」あるいは、「ツクツクホウシは、佐野高校ではオスの方が多くいる」と言い切ってしまっていいのでしょうか。

可能性としては、①本当はオスメス同じくらいいて、たまたまメス(オス)の抜け殻を多く採取した(雌雄同数)、②実際に、メス(オス)の方がオス(メス)よりも多くいる。→性比がメス(オス)に偏っている、の2つが考えられます。

実は、これを証明するのは割と簡単なんです。高校の数学で統計解析について勉強しますが、それを応用すれば、求めることが出来ます。私は、数学が専門ではありませんが、統計というのは、文系理系を問わず、研究する際に必要になってきます。ここでは「性比に有意性があるか」を調べることにします。


例えば、佐野高校の校庭に「アブラゼミはオスメス同数いる」と仮説を立て、そのアブラゼミの集団から、10匹を捕まえた時のオスメスの性比の可能性は、以下の表のようになります。

オスメスの捕獲のしやすさは同じとして、捕まえた10匹中、オスが10匹や9匹というのはめったに起こらない、というのはなんとなくわかりますよね。逆に、メスが9匹や10匹というのもめったに起こりません。といっても、その可能性はゼロではありません。

そこで、100回やって5回以上起こる確率があるか、5回は無理でも1回でも起こる確率があるかで、線引きをして、「オスとメスが同数いる」という仮説が正しいか、間違っているかを判断します。



それには、「カイ2乗値」というのを計算して、その数値で、仮説がどの程度当てはまるかを判断します。計算の仕方は難しくありません。エクセルでもできます。(とりあえず、そういうものがありますということで構いません。)



実際に、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクホウシの「カイ2乗値」を計算すると、アブラゼミは0.72ミンミンゼミは0.14ツクツクホウシは0.82となり、上のグラフの横軸の値でみてみると、5%の値(3.84)以下ですので、「オスメス同数」という仮説が、ある程度「起こりやすい」ことがわかります。

このことから、佐野高校にいる3種は、それぞれ「オスメス同数である」という仮説を否定できないことになります。そのため、「アブラゼミの抜け殻の数はメスの方が多かったが、有意にメスが多いとは言えない」→「(危険率5%レベルで)ほぼ同数である」ということが言えることになります。

*ちょっとメンドクサイ話でしたが、なぜ、こんなことを話したかを補足します。
皆さんは、課題研究で、様々な実験や観察、調査(アンケートなど)を行いますが、その時の結果で、たまたま、こちらの数が多かったから、こういう傾向がある、と判断してしまうことがよくあります。でも、その数値は、誤差を含んでいたり、たまたまそうだったのかもしれません。あるいは、本当にそういう結果だったという可能性もあります。

*そんな時、統計解析(例えば、「有意差の検定」)を使えば、仮説が間違ってないかどうかを数学的に証明することもできます。これは、論文を書く際には、強力な武器になります。なにしろ、数学的に証明されているんですから、説得力が違います。

*こういうこともできる、ということを頭の片隅に置いておいてくださいね。数学って役に立っているんです。
(数学の先生、説明に間違いがあったら教えてください。訂正します。)

納涼・微生物のお化け屋敷

本日、中学1年2組の松葉君による昼休みのミニ授業「納涼・微生物のお化け屋敷」を見学しました。



微生物大好きな松葉君が、昼休みに「ボルボックス」(注:微生物の一種)の話をしていたら、担任の富永先生から、「そんなに微生物が好きなら、授業をやってみたら面白いんじゃない」と言われたことが「微生物のミニ授業」を始めたきっかけだそうです。

そこで、8月19日の昼休み(12時40分から10分間程度)に「微生物の矛盾」というテーマで、1回目のミニ授業を行いました。
→微生物の名前と姿かたちには矛盾しているものがあります。
 例えば、「赤いミドリムシ」、「三日月でない棒状のミカヅキモ」の話です。
 これはかなり受けたそうです。

そして、今日(8月21日)が2回目のミニ授業でした。毎日暑いので、微生物のお化け屋敷で、みんなに涼しくなって欲しい、ということで「納涼・微生物のお化け屋敷」という企画を考えました。微生物をお化けに例えました。

→①ミジンコ:「一つ目小僧」実はミジンコの目は一つだったんです。だから、一つ目小僧!


②クチサケミズケムシ:「口裂け女」ゾウリムシのような体の真ん中に口がぱっくりと開き、えさを飲み込みます。口が開いてえさを取り込む、というのはやはり怖いですね。


③ラクリマリア(=ロクロクビムシ):「ろくろ首」突起がろくろ首のようの長ーく伸びます。これは、お化け屋敷の人気者です。


④バンピレラ:「バンパイア(吸血鬼)」他の微生物の体液を吸血鬼のように吸い取ります。

(赤い部分が、バンピレラです。緑色の藻類から体液を吸い取ります。)

*なるほど、確かに微生物がお化け屋敷の役者に見えてきますね。体感温度が2度くらい下がりました。まさに「納涼・微生物お化け屋敷」です。これを思いついた松葉君はやはり凄いですね。
http://153.127.209.180/ooruri/sano/nc2/index.php?key=joqs7omf8-1210#_1210
*第3回のミニ授業の企画も決まっているそうです。いつやるか決まったら、教えてください。

高1・総合的な探究の時間の授業見学

今日の7限目の高1の総合的な探究の時間に参加しました。

本時は、生徒のテーマによって領域別に分かれ、5~6名のグループの中で、各自のテーマ、リサーチクエスチョン、仮説、研究方法などについて発表し、仲間からアドバイスを受けました。私が参加したのは、領域2(自然・生命)と領域3(食料・エネルギー・水)に関するテーマを設定している生徒たちで、1年4組に集合しました。担当は根岸先生です。


皆さんが考えているテーマやリサーチクエスチョンなどを何人かから聞いて、いいなと思ったことは、皆さんのテーマが自分の興味や実際に体験したこと、将来やってみたい職業などに根差していたことです。「好き」や「興味がある」というのは、最強の武器です。そこから始まる研究は、資料を集めるなどの最初の段階まではスムーズにいくのではないかと思います。


私が話を聞いたグループでは、それぞれ「イノシシなど野生動物の被害を減らす」、「食物アレルギーを減らす」、「猛禽類の減少を止める」、「フードロスを減らす」などのテーマを考えており、個性やバラエティがあって面白かったです。

以下は、私からのアドバイスです。

これらを単なる「調べ学習」から「研究」にするためには、その先には大きな山が待っています。それは、「研究の意義」です。「あなたの研究にはどんな意味がありますか?」、「あなたの研究の良いところは何ですか?」と問われたとき、答えられなければなりません。

それではどうすればいいのでしょうか?
皆さんは、研究の初心者ですから、ためしに走ってみて、うまくいきそうもなかったら引き返しても構わないのです。失敗してもいいから、とにかく、やってみる、調べてみる、それがないと先へ進めません。やってみて、テーマを変えても構いません。むしろ、最初に考えたテーマがそのまま論文のテーマになることの方が珍しい、とも思います。テーマを変えて、別の視点から取り組みたい、と思うようになったら、それは自分が真剣に研究に取り組んでいる証拠かもしれません。

今、皆さんにお勧めするのは、今考えているテーマに関することをまず、徹底的に調べてみることです。最初はネットでも構いませんが、関連する本を一冊は読んでみましょう。

半年くらい後、それまでの成果を論文にまとめることが出来た時、あの時はあんなことを考えていたんだなと思い返すことができたなら、それは、間違いなくあなたの「成長」と言えると思います。 頑張ってください。