校長室便り

身近な風景 ~ネムノキは本当に眠るのか?

アジサイの季節も終わろうとしています。
そんな中、今、咲いている花はないかなと探していたら、近くの道路沿いで「ネムノキ」の薄紅色の花が満開でした。


近づいて花をよく見てみると、まるで糸のような繊細な花です。糸のように見えるのは、花の雄しべとめしべです。夕方になると、つぼみの中に縮れて収納されていた糸が少しずつ伸びていきます。



ところで、和名の「ネムノキ」は、夜になると葉が合わさって閉じ、眠るように見えることに由来する、と言われています。漢字名の「合歓木」は、中国においてネムノキが夫婦円満の象徴とされていることからつけられたもの、だそうです。(以上、Wikipediaより)
「眠る」という言葉が適切であるかどうかはわかりませんが、体内時計によって、周囲が暗くなると、葉の付け根の細胞の内部の圧力の変化により、葉を閉じると考えられています。
そこで、「ミニ探究活動」です。

リサーチクエスチョン「ネムノキは、本当に眠るのか?
仮説「ネムノキは夜になると葉を閉じ、朝になると葉を開く
検証方法「ネムノキの葉の様子を夕方、夜、朝の時間帯で、どのように変化するかを観察する。」

早速、7月11日(土)の夕方から12日(日)の朝にかけて、観察を行いました。
夕方17時の段階では、まだ明るく、葉は全開の状態でした。いよいよ、夜の9時です。

明らかに、葉は閉じていますね。本当に眠っているかのように見えます。

次は、翌朝の4時30分です。このころはすでに周囲は明るくなっています。

葉は、開いているのがわかりますか。場所によっては、まだ閉じている葉もあります。ネムノキは、かなり早起きですね。


これは、ネムノキ全体の様子の比較です。左側が夜9時、右側が朝4時30分です。

さらに、1時間経つと、葉がより開いてきます。

左側が、朝4時50分、右側が朝5時10分です。葉がだいぶ開いてきました。

*この観察により、「ネムノキは、夜、葉を閉じ、朝、葉を開く」ことが検証できました。
ここで、さらなる疑問を持った人もいるかもしれません。例えば、ネムノキは暗くなるから葉を閉じ、明るくなるから葉を開くのか、つまり、周囲の明るさ(照度)によって、葉の開閉が起こるのか、それとも、明るさには関係なく、時間によって葉が開閉するのか、その疑問を解明するためには、新たな仮説をたて、どうすればそれを検証できるか、を考える必要があります。

このように、研究はこれがわかれば終わり、というものではなく、一つの疑問の解明が新たな疑問を呼び起こし、深まっていくことになります。

*これからは、「与えられた宿題が終われば、それで終了」という学習ではなく、「自分で問いを見出し、自分で答えを導く」という学習がより求められています。
もちろん、スキルの習得という点では宿題も大事ですが、社会に出れば、「答えのわかっている宿題」がだされることはありません。あったとしても、それはAIがやってくれるでしょう。
「人間にしかできないこと(=考えること)」で勝負できるよう、力をつけていきましょう!