校長室だより

校長室だより…吉野の桜


 今年、本校に勤務して2度目の修学旅行に同行した。本校の修学旅行は、京都・奈良を中心に、生徒達が自主的にグループ別、クラス別、コース別での見学計画をたて、生徒同士で相談しながら実行していくところが特徴である。吉野、奈良、京都と計画した見学地を回りつつ、毎日変わる新たな宿泊地を自分たちで探し、時間までに集合する。想定外の出来事も多々見られる中、それらを克服していく経験を通して、生徒達の自主性、積極性そして判断力等が育成されるものと考える。
 今年の1泊目の宿は2年前と同じで、桜で有名な吉野にある「竹林院群芳園」であった。実は前回、修学旅行の記念にと宿の敷地内にある小高い丘の上に、代表生徒とともに桜を植樹したのである。2年経ってどのようになっているか見るのが楽しみで、翌朝早く丘に登ってみた。当時背丈ほどであった桜が2倍ほどの高さになり(右写真)、来春は花が咲くのではないかと思われるくらいに成長している姿を見て、喜びと感動を覚えずにはいられなかった。
 この感動も、もしこの桜を毎日見ていたらどうであったろう。これ程衝撃的ではなかったかもしれないし、桜の成長そのものも感じないままに見過ごしてしまったかもしれない。これは、親が子どもに接する、教員が生徒に接することと同じではないだろうか。毎日接していると、つい見過ごしてしまいがちだが、子どもや生徒達は着実に成長し向上しているのである。3年間の栃高生活で大きく成長し、沢山の桜花を咲かせてくれることを願って止まない。