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花丸 サウンドテーブルテニスが生まれた足利盲学校

 「サウンド・テーブル・テニス」というパラ・スポーツをご存じでしょうか?テーブル・テニスといえば卓球ですが、「サウンド」が頭に付くように、「音」という情報を活用しながら視覚障害者がプレイする卓球競技です。10月7日(土)には、本校を会場に第40回関東地区盲学校卓球大会も開催されました。

 実は、このサウンド・テーブル・テニスは、本校の前身である私立足利盲学校(後に宇都宮市に移転し、栃木県立盲学校となる)にて、当時の沢田正好校長先生が考案されたスポーツなのです。資料によると足利盲学校が足利市本城2丁目から相生町に移転した昭和6(1931)年から1~2年の間に考案されたと思います。相生町の盲学校は敷地も広く、男子の間では相撲や駆け足など運動が盛んになっていたようですが、女子は見ているだけのことが多く、沢田校長はどうにかならないかと考えていたようです。そこで卓球台の縁に囲いを作り、ラケットでボールを打ってネットの下を転がし合うという卓球を考案し、「盲人用ピンポンを作ったからやってみないか。」と声を掛けたそうです。全盲、弱視、男子、女子に関係なく、ある程度の技術も必要だったことから、みんなが楽しく競技することができ、放課後には盛んに行われたそうです。昭和8(1933)年には、帝国盲教育研究会にて「盲人ピンポン」として発表されています。昭和40(1965)年に開催された第1回全国障害者スポーツ大会からは「盲人卓球」の名で正式種目となり、平成14年(2002)年からは「サウンド・テーブル・テニス」と改名し、現在に至ります。競技の特徴は下記のとおりです。

・卓球台は一般の卓球台と同じサイズですが、エンドラインには1.5㎝の高さがあるフレームが付いています。両サイドにもエンドラインから60㎝先のところまでフレーㇺが付いています。一定範囲内のスピードなら、ボールは卓球台から落下しません。

・ボールも一般のボールと同じ大きさですが、中に金属球が4粒入っていて転がると音が出る仕組みです。

・ラケットは一般のラケットのようですが、ラバーは貼りません。ボールにあたったときに、打音が出ます。

・ネットは、卓球台の面から4.2cmの隙間を空けて上に張ります。ボールはネットの下を通してラリーを続けることになります。

 沢田校長先生の「多くの視覚障害者に運動を楽しんでもらいたい」という思いと工夫から生まれたサウンド・テーブル・テニス...。競技の普及に伴いルールと用具が確立し、競技名の改名を経てさらに発展を続けています。パラ・スポーツの先駆けとなるサウンド・テーブル・テニスが栃木県の盲学校から生まれたことを誇りに思います。