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花丸 指切り地蔵

 指切り地蔵

 今回は、本校の幼児児童生徒を見守り続けて46年目を迎えている「指切り地蔵」を紹介します。お地蔵様は、昭和52(1977)年の秋に本校に赴かれ、昭和52年10月17日には贈呈式と除幕式が盛大に行われたそうです。現在は、幼小部棟昇降口にたたずみ、子どもたちを見守っておられます。

 作者は、大田原市出身の彫刻家、関谷 充 氏(1903~1983)です。

 関谷先生は、昭和49(1974)年2月、本校創立65周年並びに新校舎落成記念式典に合わせて、当時の青木直明校長先生からの依頼により記念講演をしてくださいました。その時に、盲学校の子どもたちが作品に触れられるようにと動物やその他さまざまな彫刻を持参してくださいました。そして、講演後に彫刻作品に触れて喜ぶ子どもたちの姿に大いに感動され、「記念に何か私の作品を贈りましょう!」と約束してくださったそうです。

 3年後の贈呈式当日には、関谷先生からこんなお話があったそうです。

「約束はいつも心から離れませんでしたが、構想を練るのにたいへん手間取ってしましました。ある日、ふと別れ際にこどもたちと握手したぬくもりが甦り、約束したのだから『指切り地蔵』が良いのではないかと思いつきました。盲学校の子どもたちが、自由に顔をなでたり、お地蔵様と指切りをして遊べるようにと考えました。そして、私の孫をモデルにして、この120㎝の等身大の像を作りました。皆さんは、このお地蔵さんと仲良く遊んで大事にしてください。」

 関谷先生は、静かな口調でお話ししたそうですが、盲学校の子どもたちへの深い愛情と限りないヒューマニズムが宿っていたそうです。

 「指切りげんまん」と言いたげに、今も右手の小指を差し出し、子どもたちをとの触れ合いを待ってくれているお地蔵様・・・。

 今や、本校の風景に溶け込んでいるお地蔵様ですが、本校にとっては、心温まるエピソードであり、忘れてはならない歴史だと思います。これからも関谷先生の思いとともに、大切にしてまいります。

 今日も優しくたたずむお地蔵様。よく見ると頭頂部と小指のあたりは、明るく変色しています。頭をなでられたり、指切りしたり。お地蔵様にもたくさんの思い出があることでしょう。