校内散歩

校内散歩34「第一体育館」

校内散歩34「第一体育館」 寒稽古の季節である。剣道部顧問は六段の段位を持つ達人であるが、その達人でさえ、真冬の早朝に体育館に素足で降り立つと、冷たいというより「痛い」という。まして剣道部の生徒達はさぞや冷たかろうと思うのだが、鍛えられた部員達は全く顔には出さない。胴の紐を背中に回してきりりと締めて竹刀を構える。顧問の気合い一閃、稽古が始まると床面を弾むように蹴り、前後に擦り、顔が紅潮してくる。打ち込みをする頃には寒さ、冷たさも忘れているようだ。
 剣道には「一眼 二足 三胆 四力」という言葉があるそうだ。遠い山を見据えるような眼、動じない胆力とともに強い足があってはじめて力が発揮できる。この言葉は、剣道ばかりではなく人の道の教えでもあろう。
 第一体育館を主な練習の場としている部活動には、剣道のほか、バドミントン、バスケットボールがある。それぞれ寒稽古と呼びたいような寒さの中での練習だが、動じずに「文武両道」の道を今日も走っている。さすがに真女高の生徒はやわではない。
 今の子にして風の子よ寒稽古 (稲畑汀子『ホトトギス』)