栃木県立小山高等学校
~小山高校は2018年に創立100周年を迎えました~
〒323-0028 栃木県小山市若木町2-8-51 TEL 0285-22-0236
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「幸福になるための読書」
「校長室より」のページから、生徒の皆さんへメッセージを送っていきたいと思っています。感想や要望がありましたら、気軽に声をかけてください。
「私たちは何のために読書するのか?」 そう訊かれたら、「幸せになるためだ」と断言したいと考えています。そもそも私たちが生きている目的は、「幸せになる」こと以外にあるのでしょうか。幸せの形やゴールは人それぞれかもしれませんが、私たちは日々幸せになろうとして、様々なことに取り組みながら生活しています。読書もそうした営みの一つです。何かの知識を得るためだったり、何かへの理解を深めるためだったり、感動を得るためだったり、楽しさを求めるためだったり、具体的な動機はいろいろかもしれませんが、行き着くところは「幸せになる」という点に集約されるように思います。
自分自身の高校時代を振り返ってみると、読書する理由としては「答えが欲しい」ということだった気がします。高校生だった私にとって、この世界はとらえどころがなく、わからないことだらけでした。あまりにもわからないことばかりで、何がわからないのか、どういう問いかけをしたらいいのかもわかりませんでした。生きている理由も、生きていく方法も、何を目指していけばいいのかも、何もかもがわからなくて、漠然とした不安と寂しさの中で生活していたと思います。進学校と言われる高校で学んでいたので、周りの友人も当然のように大学進学を目指し、自分もそのつもりで勉強していましたが、勉強はけっして楽ではなく、どうしてこんなにも多くのことを覚えたりしなくちゃいけないのかと、心のどこかでは疑問の声を上げていました。親とか、学校の先生に尋ねてみてもよかったのかもしれませんが、「上から目線」のありきたりなお説教は聞きたくないと思っていて、また、教えてもらいたがりのくせに素直でなかったので、「教えてください」とお願いするのも抵抗感がありました。
高校に入ったら、読んでみたいと思っていた作家の筆頭が太宰治でした。中学時代にテレビで『冬の花火』というドラマを観ていたのですが、これが太宰治を描いたドラマで、中学生だった私は何か「不穏」なものを感じ、中学生(子ども)はこの人の書いた本を読んではいけない、高校生(大人)になったら読んでみようと勝手に思い込んでいたのです。果たして、高校の図書館には太宰治の全集が置いてありました。最初に何を読んだか記憶が定かでないのですが、たぶん『斜陽』だったと思います。内容を深く理解できたとは言いかねますが、強く惹かれました。太宰は、高校時代の私のアイドルになりました。私の学生鞄には、学校の図書館で借りた太宰の全集本の何巻かがいつもありました。太宰は私に、しかつめらしい顔で面白くもない説教を垂れるのではなく、全く教育的でも前向きでもない「人生についての疑問」を教えてくれました。金や名誉、他人に認められることがそんなに大事なものなのか? 世の中の常識らしきものを信じて、敷かれたレールの上を走るように生きることにどれだけの意味があるのか? 他人を蹴落として競争に勝つことは、そんなに素晴らしいことなのか? その疑問の全てに必ずしも納得していたわけではありませんが、太宰の弱者への眼差しに感動し、「自分にとって大切なものは、自分にしかわからない」、「他人の物差し(基準)で生きることは不幸だ」ということには、強い共感を抱きました。「答えが欲しい」と思って読書していた私に、太宰は「答えは、もがきながら生きて、自分自身で見つけるものだ」と教えてくれたのです。
「幸せになるための読書」に戻れば、「幸せも自分で見つけるものだ」ということになるだろうと思います。いったい何が幸せなのか、絶対的な答えはありません。この年齢になっても、人生の謎はますます深まるばかりです。それでもやっぱり答えを見つけようと、いろいろな本を読みながら、ああでもない、こうでもないと考えている時間がけっこう「幸せ」だったりします。皆さんの高校生活の中で、幸せな「本との出会い」があることを願っています。(この文章は、昨年度の本校「図書館報」の原稿に手を入れたものです。)
「バナナ」を探せ!!
~創立記念講演会 山本潤様のお話
「校長室より」のページから、生徒の皆さんへメッセージを送っていきたいと思っています。感想や要望がありましたら、気軽に声をかけてください。
11月8日(金)、本校106周年の創立記念式に併せて、日本航空パイロットの山本潤様を講師として創立記念講演会が行われました。「Soraの魅力とアクティブラーニング~未来は可能性に満ちている」という演題で、パイロットとしての業務やリスク管理についてのお話をいただきました。
まず、旅客機のパイロットには、飛行機に乗り込んで操縦を始める出発前の段階にも多くの業務があるということでした。具体的には、飛行機の整備状況、気候、乗客の情報について確認し、整備士や客室乗務員と打ち合わせし、飛行機の外部の点検まで行うとのことです。山本様のこのお話を聞いて、私はオーケストラの指揮者を思い浮かべました。子どもの頃、私は指揮者が何のために存在するのか理解できませんでした。指揮者自身はひとつの音を発することもなく、ただ踊っているようにしか見えなかったのです。後になって、本番の演奏会の前に多くの時間を費やしてリハーサルを行い、指揮者が自らの表現意図をオーケストラに伝え、オーケストラとともに演奏を作り上げていくことを知ったのです。パイロットという職業も、操縦席に座る前に、乗客の安全を確保し快適な旅を提供するために、多数のスタッフたちと協力しながら綿密な準備をすることを知って、颯爽として華やかに見える裏側で「隠れた努力」が常にあることに強い感銘を受けました。飛行機を操縦するだけでなく、乗客の旅が素晴らしいものとなるようにフライト全体をプロデュースするという意味で、パイロットの業務は指揮者の仕事に通じるところがあると思います。
また、山本様は飛行機の操縦にはリスクが多くあることを述べ、アクティブラーニング(主体的、能動的な学び)の重要性についてお話しされました。道を歩いていてバナナの皮があったら、足を滑らせ、転ぶかもしれない。そうならないためには、「バナナ」を前もって発見することが重要であり、対策のカードをできるだけ多く準備することでリスクは避けられる。「バナナ」(リスク)を見つけて、手持ちのカード(対策)を準備することがアクティブラーニングだというお話でした。私たちの日々の生活(人生)にも、リスクは存在します。人生に「絶対的なマニュアル」はありません。私たちは、目の前のリスクに対して、手探りで立ち向かい、「自らの答え」を探し出さなければなりません。自らの知識と経験、他者からのアドバイス等を総動員して、ゴールを目指すのです。100%の普遍的な正解はなく、目前の状況を見極めながら、柔軟な思考をもって臨機応変に対応することで着地点が見えてきます。
皆さんは「リスクがあるのであれば、道を歩かなければいい」と考えますか。しかし、リスクを恐れてばかりでは、何もできないのではないでしょうか。リスクのない世界は、どこにも存在しません。リスクがあることを怖がるのでなく、「バナナ」(リスク)を見つけて、カード(対策)を準備し、実行すればいいのです。最初のカードが通用しなければ、次のカードを出す。リスクを解除できるまで、カードを出し続ければいいのです。そうしてゴールにたどり着いたら、それは達成であり成功と言えるのではないでしょうか。
「印象的な風景はありましたか?」という生徒からの質問に対して山本様は、海と見まごうような広大なアマゾン川に、月の光が反映する様子を見た時のことを話されました。たとえリスクがあっても、誠実な努力を重ね、何かに精一杯取り組み続けて、困難に負けずに頑張っていたら、きっと美しい風景が見られると思います。生きることは、リスクを恐れずに冒険することです。時に失敗することがあったとしても、カードを出し続ければ、ゴールは見えてきます。そのゴールは、想像を超えた絶景かもしれません。山本様、素晴らしいお話をありがとうございました。
頑張れ、小高生!! いつも応援しています。
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小山高校・若木小学校東側の道路はスクールゾーンのため、朝7:00~8:30まで車両進入禁止です。