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2024年7月の記事一覧

令和6年度 第1学期終業式式辞

真夏日や猛暑日が増え、夏本番の到来とともに、気が付けば第1学期終業式を迎えることになりました。熱中症予防のためZoomでの配信にしましたので、少しだけ長く話をします。

総じて、資格取得や部活動、ボランティア活動など、多方面で活躍し、充実した生活を送った人が多かった1学期だったと思いますが、時間を無駄にしてしまったとか、もっと努力できたかなと考える人もいるでしょうから、夏休みや2学期をより良く過ごすため、各自で振り返ってください。

さて、身近でありながら、殆どの人が知らないと思われることについて話します。皆さんは、自分の利き手が左右どちらか理解していますよね。時に同じくらい両方の手を器用に使いこなす人もいますし、スポーツ選手などは、場面で左右を使い分けしている人もいます。大抵、利き手と利き足は同じである場合が多いようですが、利き目になるとどちらなのか自信がないという人が、少しいるかも知れません。楽器の奏者は、左右の手足を自由自在に操って音楽を奏でていますが、楽譜を見る目や、音を聞き分ける耳はどうなっているのでしょう。脳がこの複雑な指令を全身に出しているのでしょうが、才能を生かすも殺すも努力次第です。

突然ですが、ここで問題です。「皆さんの利き鼻はどちらですか?」正確に答えられる人は稀ですが、該当するものを選んでください。選択肢は「右」「左」「両方」の3つです。選べましたか。どれも正解です。利き鼻は毎日変化するので、左右どちらかというものも、両方というのも正解になるんですね。自分自身のこと、大事な身体のことでも知らないことはたくさんありますし、私の質問から、殆どの人が三者択一と考えたことでしょう。周囲の物事に関心を持ち、正しい判断、見極めが如何に大事か、心に留めて生活してください。

話は変わりますが、本校は、生徒たちが17もの広域な地区から通学しており、しかも1学年6クラス編制という規模ですから、それだけ多様な価値観や才能を持った生徒たちの集団と言えます。だからこそ、勉強に励んだり、部活動で成果を収めたり、ボランティアで社会貢献したりと多方面で力を発揮し、学校に活気をもたらしているのだと思います。どの高校も先輩方から受け継いだ校風のもと、社会に出るための準備期間、つまり、より良く生きるために知恵を磨き、心身を鍛え、自己創造に励んでいるのですが、集団生活である以上、一定のルールは必要になってきます。これは、特定の人にとって都合が良いものであることに留まらず、社会的にも容認され得るものでなければならないと考えます。生徒総会で可決された要望事項への回答は、皆さんの代表である新生徒会長並びに副会長に伝えましたが、詳しくはこの後、生徒指導部よりありますので、正しく理解してください。併せて、皆さんの学校生活が過ごしやすくなるようなアイディアがありましたら、然るべき手順を踏んで教えてください。

身近な話題や多様な価値観と言えば、円安の問題や新紙幣の導入、インバウンドなどが真っ先に頭に浮かびます。国の経済政策や諸外国の日本に対する見方が、私たちの暮らしに大きな影響があるのは否めません。先ごろ2年次生は「県政ミーティング」で、県議会議員の方々と貴重な時間を共有させていただきましたが、全ての生徒に、社会に目を向けるよう願います。

アメリカ合衆国に限ったことではありませんが、多民族国家の代表格として、異文化について学んだことがある人は、「人種のるつぼ」とか「メルティング・ポット」などの言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。しかしこれはひと昔前の学術用語で、様々なルーツやバックグラウンドのある人たちが、独自の文化や習慣を抱きながらアメリカ社会に馴染んでいる様子は、「サラダ・ボウル」と形容される方が今では一般的になっています。個性や考え方を認め合いながら、統率の取れた社会、学校であることは大事なことです。

皆さんは、各国の首脳会談などで、例えば日本の首相とアメリカ大統領が椅子に座って記者会見に臨んでいる映像を目にしたことはありますか?首相は足を揃え、大統領は足を組んだ姿勢が見られます。人前、或いは人に対して足を組むことがどういう価値観で社会に根付いているのかの違いで、非礼にあたるとかといった判断は成立しないのですが、これも時と場合によっては形や解釈が変わってくるものです。

アメリカの話題をもう一つ、最近、日本人の活躍で目にする機会が増えたMLBですが、ベンチの中はひまわりの種や紙屑、場合によっては紙コップまでもが投げ捨てられており、大変汚れています。大谷翔平選手は、グランドのゴミをポケットに拾って入れているようですが、ベンチ内のゴミは選手の誰もが意に介しません。何故かわかりますか?これは、きれいであると、清掃するスタッフの業務、つまり仕事がなくなり賃金の支払いに影響があるからだそうです。日本では、施設を使う前より使った後をきれいにすることが美徳とされています。次に使う人のためを考え、行動することが当然、価値あることとされています。学校生活を送る上で、皆さんはどう振舞えばよいか、考えるきっかけとしてもらいたいと思います。

もう少しで話を閉じますので、最後まで集中して聞いてください。先日、見聞きした2つのエピソードを紹介します。まず1つめは、和歌山県の高校生が、バスケットボールで見事インターハイ出場権を獲得したというニュースです。部員は僅か6名だったそうです。

2つめは、X-JapanのYoshikiさんについてです。3年生の時に、「ロックミュージシャンになること」と書いて進路希望調査を提出したそうです。すると、担任の先生から真面目に答えるようにと言われたそうです。彼は真面目に将来を展望し、努力を重ね、現在、著名なミュージシャンになって活躍しているんですよね。

夢は見るものではなく、叶えるもの。人間は、考え方と行動次第でどうにでもなるということの良き例です。
何かを発見し、暑さにも負けない心身両方の健康維持と増進、そして安全を心掛けて長期休業を有意義に過ごし、第2学期始業式には、より逞しくなった皆さんに会えることを願って式辞とします。

令和6(2024)年度 創立記念式式辞

本日は、栃木県立さくら清修高等学校「創立19年」の記念日です。ここ氏家公民館をお借りして創立記念式並びに記念音楽会が開催できますこと、誠に喜ばしく思います。また、これまで本校を支えてくださった関係者の皆様に深く感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございます。

来年は本校が誕生して20年、「二十歳を祝う日」を迎えることになりますが、この機会に、皆さんにとってやがて母校となる「さくら清修高校」について改めて確認してみましょう。本校は、「氏家高校」と「喜連川高校」の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じて幅広く選択できる科目と主体的な学習が特徴である総合学科の高校として平成18年、西暦2006年に開校しました。

前身の2つの学校について、それぞれ簡単に紹介します。まず「氏家高校」ですが、大正13年4月15日に第1回入学式を挙行、栃木県立氏家高等女学校、つまり女子高として開校しました。男女共学化に伴う校名変更など幾多の変遷を経て、平成6年に全国初の総合学科を設置しています。平成18年に創立80周年記念式典を挙行した後、喜連川高校と統合。平成20年3月3日に閉校式が行われ、卒業生は22,283名を数えています。

次に「喜連川高校」ですが、昭和21年4月1日に喜連川町高等青年学校の校舎を県が引き継ぎ、喜連川農業高等学校が開校しました。「栃木県立喜連川高等学校」としては、昭和26年4月1日が始まりです。数々の変遷を経て、平成18年4月1日に氏家高校と統合。平成18年に創立60周年記念式典を挙行した2年後、氏家高校と同様、平成20年3月3日に閉校式を挙行しました。卒業生数は9,784名です。

この伝統ある2校の歴史を受け継ぎ、旧氏家高校の敷地や校舎を利用して平成18年4月1日に「さくら清修高等学校」が開校したわけです。7月5日が創立記念日であることは、平成20年に決定しました。栃木県の市町村合併に伴い、この地がさくら市となったことから、「氏家」に代わって「さくら」という名を冠した学校がこの地に誕生し、3学年が揃った年でもあります。「清修」は清らかな心とすがすがしい態度で様々なことを学び修める生徒が育ってほしいという願いが込められています。生徒手帳にも記載されていますが、校章は、鬼怒川をイメージした青の緩やかな形から「さくら清修高校」の頭文字のSがすっと立ち上がる様を、また、青の流れが交わる部分は、氏家高校と喜連川高校が統合して一つになることを表現しています。流れに浮かぶ緑色のさくらは、本校のさわやかさと独創性、さらにはスクールカラーであることも示しています。これらの様々な要素が背景の淡いピンクの円形の中に優しく収められている見事なデザインです。平成27年には創立10周年記念式典を挙行していますが、現在まで3,733名の卒業生が皆さんの先輩として各方面でご活躍されていらっしゃいます。本校の歴史について再確認できたでしょうか?

今年は球技大会でも話したように、フランスでオリンピックが開催される年ですね。昨年度は、1992年にオリンピックが開催されたスペインのバルセロナにある、建築家アントニ・ガウディの設計による「サグラダ・ファミリア」について紹介しましたが、近未来を志向し、次年度の「創立20周年記念式典」について触れたいと思います。

長く学校勤務をしている私たち教職員においても、周年事業開催の機会に巡り合うとは限りませんが、1・2年次生は在校生として、3年次生には卒業生として来年の「創立20周年事業」を切り盛りしたり、支援してもらったりすることになります。大人の話題ではありますが、昨年度は「準備委員会」、今年度より「実行委員会」を立ち上げ、同窓会やPTAの皆様とともに、先生方は本校20歳の祝福に向けて通常業務に加えての仕事に組織的に取り組んでいます。これは皆さんが将来、母校となる「さくら清修高校」のこれまでの歩みを確かめ、地域等の関係者に支えられながら信頼と実績を誇る本校の名声をさらに高めていくという決意と、何よりここで学ぶ皆さんが、幾つになっても本校卒業生としての矜持や思い出を語れるような学校にしていきたいという強い想いからに他なりません。主役である皆さんには、一層、愛校心を抱きながら自己の伸長に励んでくれるよう期待し、式辞とします。

この後の創立記念芸術鑑賞会、「音楽鑑賞」も楽んでください。