お知らせ

SSH関連 学習院大学での生命科学シンポジウムに参加

2015年5月30日(土)
学習院大学での生命科学シンポジウムに参加してきました。
今回の主題は「生命の秘密を解く鍵を求めて」でした。
   学習院大学正門            西5号館202教室
   
演目は次の4つ。パンフレットより。
1.JT生命誌研究館・研究員尾崎克久
「アゲハチョウはどうやって食草を見分けるのか?遺伝子と行動の両面からさぐる」
鱗翅目昆虫(チョウとガの仲間)のほとんどは、幼虫が決まった植物だけを食べて育つ偏食家です。しかし、卵からかえったばかりの幼虫は体が小さくて、広い環境を白分で探し回って餌になる植物を見つけることができません。そこで、飛ぶことができる成虫が、正確に植物の種類を見分けて、幼虫が食べられる場所に卵を産むのです。花の蜜を飲んでいる成虫は葉っぱを食べないのに、どうやって幼虫の餌を見つけているのでしょうか。その謎に遺伝子の情報からせまる、最新の研究について紹介します。

2.東京大学大学院医学系研究科・教授岡部繁男
「脳のネットワーク:そのはたらきと病気との関連」
脳の機能は神経細胞やグリア細胞がつくるネットワークによって実現されています。我々が物を考え、喜び悲しみ、共感する事ができるのも脳のネットワークの正しい働きによります。逆に脳のネットワークの働きが障害されると、様々な精神・神経疾患の原因ともなります。この講演では脳内で神経細胞やグリア細胞がつくるネットワークの性質やその研究方法について紹介し、脳の働きや病気との関連についても説明します。

3.広島大学大学院生物圏科学研究科・准教授長沼毅
「謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性」
暗黒の深海の海底火山に「光も食物も不要」という不思議な生物「チューブワーム」が繁栄している。人間には猛毒の火山ガス(硫化水素)をエネルギー源にして二酸化炭素から有機物をつくる生き方は、植物が光をエネルギー源にして営む光合成独立栄養によく似ている。光がなくても光合成と同じことをする化学合成独立栄養は、海底火山があれば光も食物も不要ということは、地球以外の天体でも海底火山があればチューブワームのような生命がありえるのか?そんなことを一緒に考えてみたいと思う。

4.岐阜大学大学院医学系研究科・教授深尾敏幸
「新生児マススクリーニングと先天代謝異常症」
2014年から全国で新しい新生児マススクリーニングが始まって、少なくとも19疾患がスクリーニングされるようになりました。聞き慣れない疾患が並んでいますが、乳児期から幼児期に非常に重篤な症状を来しうる疾患を持つ子を早期診断して、障害なく、もしくは最小限に障害を食い止めることは非常に意義があることと考えられます。そのような新生児マススクリーニングについてお話しさせていただきます。
       講演中                   休憩
   
    
 それぞれ最新の研究で興味深かったです。
1.遺伝子が作るレセプター(受容体)というタンパク質の研究から切り込んでいます。
2.脳のネットワークを再構築できれば病気を治すことができる。線虫レベルでは構築できている。ヒトではニューロンの数が1000億で構築は大変だが、ヒトゲノム解析のような世界レベルでの研究が突破口になるかもしれない。
3.テレビ出演も多い長沼先生の講演です。深海生物のチューブワームと地球外生命体の話題で熱気が伝わってきました。
4.新生児マススクリーニングは私が教員になった頃(約30数年前)NHKの特集でやっていました。アメリカでの話で探している遺伝病は、日本人にはきわめて少ない「膿疱性線維症」でした。日本でもここまで技術が進んできたことに驚きました。
  今回の講演の内容を生物の授業に組み込んでいこうと考えています。