進路指導室より

新型コロナウィルス感染症による雇用への影響は?

4月10日(金) 曇り後晴れ
新年度の開始が延期となり、進路選択に関しても例年どおりの歩みを進めることができなくなっています。
今回は、本校生徒の就職にも影響してくる景気の現状についてまとめてみました。
以下は、内閣府HPの、『景気の現状に対する判断理由等』北関東(株式会社日本経済研究所による調査)からの抜粋です。

 

1 家計動向関連

・現状では新型コロナウィルスの影響で若干上向いているが、事態が長引けば商材の供給が不安定になることで厳しくなる。(スーパー)

・街中を高齢者が出歩かなくなっており、影響が大きい。(一般小売店)

・主要顧客層の高齢者における外出自粛傾向が顕著であり、売上減の主要因となっている。(百貨店)

・店の売上を牽引しているのは食品のみ。衣料品や靴、バッグ等は需要がない。(百貨店)

・1日あたりの来客数が100~200人減少している。(コンビニ)

・売上が通常の9割減で、このままでは店が存続できない。疲弊している。(衣料品店)

・売上が8割減と壊滅的な状況。(飲食店)

・給料が手取りで10万円を切る状況。(タクシー運転手)

 

2 企業動向関連

・各自動車メーカーの操業停止の影響で、4月以降の部品受注状況は悪化する。(機械器具製造業)

・売上減少などの影響は出ているが、下請製造業にはまだ受注残があり、大きく仕事量が減っている様子は見られない。(経営コンサルタント)

・12月までと比べて売上は3割減。(金属製品製造業)

・中国製の部品が入荷せず、生産がストップしている。(電気機械器具製造業)

 

3 雇用関連

・新規求人数は、4か月連続で前年比マイナスが続いている。
3月の新規求人数は、前年同月比で3割減である。(職業安定所)

・観光、旅客業で業績不振による解雇者が発生している。(職業安定所)

・製造業でも雇用調整を行っている様子がある。(職業安定所)

・生産関係の従業員が休職している様子が見られるが、製造業には一定の求人がある。
介護職、看護職は募集傾向が目立っている。
生鮮食品等のスーパーは良いようだが、衣料品は伸び悩んでいる。(人材派遣会社)

 
景気の動向を示す「景気ウォッチャー調査(内閣府)」を見ると、新型コロナウィルス感染症の影響が出始めた2月期から、本格的にマイナス局面に突入しています。
4月8日発表の下表では、3月は前月比で軒並み大幅減となっていますが、中でも飲食関連の数値は目も当てられないほどの落ち込みを見せています。
本校でも再度休業措置をとることが決まり、特に進路選択を控えた高等部3年生保護者の皆様は、先の見えない不安に駆られていることと思います。
これまでのデータが示すとおり、社会経済全体が冷え込んでおり、今年度企業就労を目指す生徒にとっては厳しい状況が予想されます。
こればかりは自助努力でどうにかなるものでもなく、ウィルスの終息を願うしかありません。
しかし、今後このような状況が長引いたとしても、心の準備をしておけばダメージを減らすことができます。
たとえば、卒業後すぐの就労ではなく、障害福祉サービスの『就労移行支援』を利用するというように、選択肢に幅をもたせることもひとつの考え方です。
幸い4月10日現在で、これまで実習を受けていただいた企業及び福祉施設に関しては、実習の受入れをストップすると答えたところはありません。
予定どおり学校が再開されれば、6月の実習ができるよう手続きを開始します。
休校期間中は、通勤経路の再確認をする、自転車の練習をする、はさみ等の道具を使う練習をするなど、各自ができる準備に取り組むよう御家庭での御協力をお願いいたします。

 

内閣府 ※景気ウォッチャー調査

(DI)

201910

11

12

2020.1

(前月差)

合計

36.9

38.8

39.7

41.9

27.4

14.2

-13.2

家計動向関連

34.9

38.3

39.0

42.2

26.1

12.6

-13.5

小売関連

31.4

35.6

37.8

42.6

26.7

16.0

-10.7

飲食関連

35.1

40.9

39.1

39.8

16.0

0.7

-15.3

サービス

関連

40.6

42.2

41.1

42.3

25.3

7.4

-17.9

住宅関連

41.0

42.2

40.1

41.9

36.3

19.0

-17.3

企業動向関連

41.0

39.2

41.2

41.7

30.1

19.2

-10.9

製造業

38.9

35.2

39.1

40.1

31.0

21.7

-9.3

非製造業

42.4

42.7

42.6

43.2

29.9

17.5

-12.4

雇用関連

41.1

41.1

40.8

39.8

30.4

13.6

-16.8

※内閣府が毎月発表している、毎月月末に調査が行われ、翌月に統計値や各種分析が発表される、日本全体および地域毎の景気動向を的確・迅速に把握するための調査。
北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の12地域を対象とし、経済活動の動向を敏感に反映する傾向が強い業種などから2050人を選定し、調査の対象としている。
分析と解説には主にDI(diffusion index・景気動向指数。3か月前との比較)を用いて指数的に計算される。
50%が「悪化」「回復」の境目・基準値で、例えば全員が「(3か月前と比べて)回復している」と答えれば100%、全員が「悪化」と答えれば0%となる。
本文中に用いられている値は原則として、季節動向の修正が加えられた季節調整済みの値である)が用いられている。
現場の声を反映しているため、市場心理・マインドが確認しやすい統計である。