1 研究開発課題
 真の国際人の育成を目指して、国際理解教育と連携しながら英語コミュニケーション能力の伸長を効率的かつ効果的に図る指導方法の研究開発

2 研究開発課題の設定理由
  生徒の英語でのコミュニケーション能力の育成において、英語の授業の質のさらなる向上、 ティーム・ティーチングの研究推進と充実により、生徒が自分の意見・考えを的確な英語で表現する力をつける。

  本校は「国際理解教育」を特色とする学校であり、海外のパートナーシップ校や留学生等との交流の機会が多く、英語のコミュニケーション能力をより高めることに学校全体で取り組むことは重要課題である。したがって、全学年の生徒を研究開発の対象にする。

  現在、本校生の大半は、英語で基礎的な会話(あいさつや自己紹介等)をすることができる。今後は、この基礎的な能力をさらに高め、幅広い話題について、英語でコミュニケーションがとれるような力の育成を目指したい。そのために、本研究開発を全校体制で取り組むことにより、英語科のみならず、他教科との連携を深め、「総合的な学習の時間」などを有効に活用するなどして、英語教育の深化を図っていく。

  本校の開校以来の努力目標である国際理解教育と国際交流活動の一層の推進と精選によって、「国際化に対応できる真の国際人の育成」を積極的に進め、地域や他の教育機関との連携を深めるとともに情報を発信して、本県の高校教育改革の中での本校の特色をより明確化していく。

3 学校の概要(SELHi最終年度=平成17年度)
? 課程・学科・学年別の生徒数、学級数

課 程

学 科

第1学年

第2学年

第3学年

  計

生徒数

学級数

生徒数

学級数

生徒数

学級数

生徒数

学級数

全日制

普通科

295

7

336

8

336

8

967

23

  計

295

7

336

8

336

8

967

23

 
備   考
文系6クラス

理系2クラス
文系私立型4
文系国立型2
理系2クラス
 


? 教職員数

校長

教頭

教諭

養護
教諭
常勤
講師
非常勤
講 師
実習
助手

ALT

事務
職員

司書

合計

1

2

48

1

4

4

1

1

6

1

69


4 研究の内容・方法及び研究評価方法
研究の内容
?生徒の英語コミュニケーション能力の育成及びティームティーチングの研究推進 と充実
?学際的協力を図る英語教育の工夫と推進(他教科との連携)
?英語教育の深化を図る国際理解教育の推進
?英語教育・国際理解教育の発信型ネットワーキングの実施
(英語教育や国際理解教育の分野における地域や教育機関との連携並びに情報の発信)
研究方法
?
・学習者中心の実践的タスクを取り入れた授業の導入
・英語の4技能を統合した活動
・インプット仮説に基づく言語活動の英語による展開
・英語科教員同士・ALT・他教科の教員・外部講師などとのティームティーチングの効果的指導法の工夫
?
・教材内容及び授業内容の検討並びに協力分野の開発
・他教科教員との合同授業の展開及び工夫
・他教科の学習内容をベースとした英語学習の実施
・他教科における英語の内容を含んだ授業の工夫と実施
・外国の教科書・教材等を使用した学際的な共同授業の実施
?
・学習者の気づきと参加型の 手法を取り入れた国際理解教育活動の充実
・国内の国際交流・協力団体との交流・協力
・アメリカのパートナーシップ校との交流及び外国人留学生との交流
・インターネット等を使っての英語学習・調べ学習の推進・交流活動と英語教育との連携による実践的コミュニケーション能力の向上
?
・大学等の教育機関との連携並びに講演会・特別講座の実施・生徒会・PTA・地域等との活動の共有並びに共同開催
・研究開発結果の研究大会等での発表及びインターネット等を使っての発信
・研究開発及び実践の研究紀要での紹介


研究評価方法
?
・学習者自身の自己評価並びに報告に基づく評価を行う・教員の指導法やティームティーチングにおける指導法についてはアクションリサーチ的手法で評価する
・教員同士による相互評価を行 う
・生徒・教員・保護者に意識調査を実施する
・定期的に外部研究者等に授業を評価してもらう
?
・学習者自身の自己評価並びに報告に基づく評価を行う
・他教科教員も含め教員同士による相互評価を行う
・授業課題ごとの達成度評価を記録をとるなどして実施する
・運営指導委員会での意見を集約する
・定期的に外部研究者等に授業を評価してもらう
?
・アクションリサーチ的手法で評価する
・外部参加者へのアンケート調査を行う
・生徒・教員・保護者に意識調査を実施する
・運営指導委員会での意見を集約する
?
・外部参加者・生徒・教員・保護者等への意識調査を実施する
・運営指導委員会での意見を集約する
5 生徒の英語力の評価方法
 生徒の英語能力の評価にあたっては、「英語コミュニケーション能力」という領域に重点を置き、 毎年各学年の当初並びに中間期に1学年から3学年までの全生徒を対象に評価テストを行う。

  評価に用いるテストは、「英語コミュニケーション能力テスト」とし、各生徒の個人的能力の伸長と学校全体としての成績の評価を行う。

 また、教科の成績評価においても、実践的コミュニケーション能力に配慮し、教科の特性に合わせたプレゼンテーション並びにインタビューテスト等を実施する。

6 年次計画(1)
第1年次 (平成15年度)


1 英語指導法の研究開発と国際理解教育の環境作り
?研究開発体制の整備
 ・校内の研究・開発体制を整備する
 ・大学・地域等の連携が図れる運営指導委員会を組織する
 ・研究開発計画の細案を作成する
?英語コミュニケーション能力向上のための英語指導法等の研究
 ・英語教育実践の先進校を視察し、英語指導法の改善を図る
 ・英語授業改善のための研究授業並びに授業研究を実施する
 ・定期的に外部研究者等に授業を評価してもらう
 ・英語教育研究会等へ参加する
 ・イングリッシュ・キャンプを実施する
 ・英語コミュニケーション能力テストを実施する
?ティーム・ティーチングの指導法の研究
 ・ティーム・ティーチング先進校を視察し指導法の改善を図る
 ・英語科教員同士・ALT・他教科の教員・外部講師等とのティーム・ティーチングを実施する
 ・ティーム・ティーチングの研究授業並びに授業研究を実施する
 ・英語教育研究会等へ参加する
 ・定期的に外部研究者等に授業を評価してもらう

2 学際的協力による英語教育の確立と実施
 ・総合的学習の時間を活用し、他教科との横断的授業を実施する
 ・教材の精選並びに授業内容の精選を実施し、連携体制を整える
 ・諸外国で使用されている教科書等の内容の検討を行う
 ・様々な教科の教員が定期的に会合を持ち、英語を含む学際的な授業内容の効果的効率的指導法を開発する

3 英語教育の深化を図る国際理解教育の推進
?教科活動及び総合的学習の時間の活用
 ・総合的学習の時間を活用し、国際理解教育活動を実施する
 ・外部講師等による特別授業並びにシンポジウム等を開催する。
 ・総合的学習の時間の中で、アジア学院や宇都宮大学の研修生や留学生との英語によるディスカッション及び交流活動を行う
 ・地球的規模の問題等に関する国際理解の自主研究発表大会を学校全体で年1回開催し、生徒たちに研究発表の場を提供する
?特別活動等
 ・ALT・留学生等による異文化紹介の英語でのモーニングスピーチを実施する
 ・国際理解や英語教育を取り入れた生徒主導の活動として学校祭を企画運営する
 ・国際理解クイズ等の企画を生徒主導で実施する
 ・生徒とPTAが協力して企画する国際協力のバザーを開催する
 ・ユネスコ・ユニセフ・JICA等の国際機関との連携を整え、活動に携わっていく
 ・IEC(国際交流部)主催のインターナショナルランチ(留学生との交流を図る昼食)等の活動を一般の生徒に提供する
?その他の活動
 ・校舎内外の英語標示を整備する
 ・教室内外に国際理解及び英語のポスター等を掲示し、異文化理解と国際コミュニケーションの環境作りをする
 ・外部講師による国際理解の講演会を実施する
 ・LL教室を英語と国際理解のインターナショナルスペースとして利用し、英語ニュースや国際理解の映画の放映等様々な活動を実施する

4 英語教育や国際理解教育の分野における地域及び教育機関との連携並びに情報発信システムの整備
・県内の大学や教育センター等の教育機関との連携を図り、人材交流や研究授業等での協力体制を整備する
 ・地域の国際関係団体との協力体制を作り、生徒が自主的に参加し取り組める共同企画活動を実施する
 ・本校の教員・留学生・生徒が地域の小中学校や社会教育の場で、地域の人々と一緒に発信型の英語・国際理解活動を行う
 ・生徒たちが自由に使えるインターネット利用環境を整え、e-mailやホームページ等を使用しての情報や意見の交換を行える体制を整備する
6 年次計画(2)
第2年次 (平成16年度)


1 英語コミュニケーション能力向上のための英語指導法の推進      
 ・学習者中心、学習者主導型の指導法に重点をおいた授業を推進する
 ・実践的コミュニケーション能力の向上を図る活動を充実させる
 ・イングリッシュ・キャンプ、アジア学院との交歓会や米国のパートナーシップ校との交流等の実践の機会を増やし、コミュニケーション能力習得の動機付けとして活用する
 ・ティーム・ティーチングの様々な形態を実践研究し最適の指導法を実施する

2 学際的協力による英語教育の推進
 ・総合的学習の時間や英語の授業の中で、教科の壁を越えた横断的授業を実施する
 ・諸外国の教科書等を利用し、教科の枠を越えた協同授業を行う
 ・様々な教科の内容をベースにして、英語学習を推進すると同時に学習活動を活性化させるための活動として学際的協力を推進する
 ・他の教科においても英語の内容を含む授業を実施する

3 国際理解教育活動の精選と充実        
 ・実践的英語コミュニケーション能力の向上に役立つスキーマの活性化に国際理解教育を幅広く利用する
 ・自主研究発表大会や国際理解クイズ等を中心とした内容伝達重視の活動を行う
 ・前年度に実施した活動を一層強化充実し、発信型の国際理解教育活動を実施する
 ・国際理解・国際協力団体等の連携並びに相互研修を強化する

4 英語教育・国際理解教育の発信型ネットワーキングの確立と充実 
 ・1年次の成果を含め、英語教育及び国際理解教育分野の発信ベースとしての地位を確立する
 ・校内外の学際的ネットワーキングを活用して研究発表や実践成果に関する情報を発信する
 ・教育界や地域の人材等による校内の諸活動の評価・検討を進め、一層の協力体制と連携を深める
6 年次計画(3)
第3年次 (平成17年度)



1 英語コミュニケーション 能力向上のための実践的 英語指導法の改善と評価          
 ・学習者中心、学習者主導型の指導法の学習者による評価を行う
 ・本校におけるコミュニケーション能力を高める指導法に関わる改善評価システムの確立と継続を図る
 ・「英語コミュニケーション能力テスト」を利用し、客観的に生徒一人一人の能力を評価する
 ・ティーム・ティーチング等をとおして実践的コミュニケーション能力を効率的かつ効果的に伸長するシステムを確立し、継続を図る

2 学際的協力と他教科と連携を推進する英語教育の評価
・教科の枠を越えた協同授業や学際的協力体制について、学習者並びに教員による相互評価を実施する

3 生徒のグローバルマインドを育成する国際理解教育の一層のシステム化と評価
 ・異文化教育・グローバル教育の場をより拡充し、生徒一人一人に焦点を合わせた教育活動の一層のシステム化と質的改善を継続して充実させる
 ・英語コミュニケーション能力と国際理解教育の融合に焦点を合わせた活動の成果を評価する
 ・ティーム・ティーチングや学際的協力体制等の指導法並びに活動の主体である生徒の自主的取り組みの姿勢に対する評価をする
            
4 英語教育・国際理解教育の分野における連携と発信型ネットワーキングの活用
 ・教育・国際理解に係わる機関や団体との連携を深め、定期的なネットワーキングを通して相互研修,相互評価を実施する
 ・生徒が主体的にインターネット等の手段を活用し、様々な形で自分の考えや意見を表明する機会をより多く設ける
 ・多種多様な文化背景や立場をもつ人々と実践的コミュニケーションが取れる機会を継続して提供し、その成果を評価する
 ・運営指導委員会及び学校評議員の評価を集約する
7 当該年度の教育課程の内容
 平成15年度入学生も含め学習指導要領に基づく教育課程の基準どおりに実施する。

  本校は開校以来、IEA(International Education Activities)の時間を2年生に対して週1時間設けており、今回の学習指導要領の改訂の中での「総合的な学習の時間」の実質的な先取りを行ってきた。研究開発の中では、従来からのIEAの再検討を通して目標に沿った内容の深化を図り、IEAを「総合的な学習の時間」として各学年で活用していく。

8 研究組織
 本校は国際理解教育の推進にあたって、校内組織として国際教育部を校務分掌の一つとして位置付けてきた。新たにSELHi委員会を設置するが、全職員が参加する研究となるよう基本的には既存の校務分掌をそのまま利用していく。学年会・教科会議・教科合同会議を定期的に行い、研究を推進する。
 
(1)組織図
組織図
(2)SELHi事務局
  校内の研究開発の中核組織として、国際教育部のメンバー5名及び教務部長、教頭(2名)の8名で構成する事務局を組織する。事務局長は国際教育部長が担当し、研究推進の実務的部分を担う。

(3)SELHi委員会
 校長、教頭、教務部、学習部、国際教育部、進路部、渉外部の各部長及び国語、地歴・公民、数学、理科、保健体育、芸術、英語、家庭の各教科主任、各学年主任、事務局員で構成し、校内における協力体制をつくるとともに、研究の推進に当たる。

(4)運営指導委員会
 外部の委員の研究開発全体に関する指導・助言により、課題の明確化や深化を図り、豊かな成果があがるようにするとともに、外部との連携の強化に援助・協力を求める。


? 委員

氏名

勤務先

職名

備考(専門分野等)

 柏瀬 省五 宇都宮大学国際学部 教 授 英語コミュニケーション論
 渡辺 浩行 宇都宮大学教育学部 助教授 英 語 教 育
 船田 千絵
エイ・エフ・エス日本協会
栃木支部
支部長 国 際 交 流
 泉田スジンダ アジアの問題を考える会 会 長 国 際 理 解 教 育
 国井  久
栃木県教育委員会
事務局高校教育課
課 長
 
? 活動
 年3回、委員会を実施