日誌

校長室より「恩田陸『木曜組曲』ほか」

 篠原監督作品を使った読書紹介の2回目は、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、恩田陸さんの小説を原作として作られた映画としては、昨年公開された石川慶監督の「『蜜蜂と遠雷』が直近なので、まずはそちらから。
 『蜜蜂と遠雷』は、史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)のW受賞を果たした傑作。恩田さんにとっては『夜のピクニック』以来の二度目の本屋大賞受賞作となります。
 風間塵16歳、栄伝亜夜20歳、高島明石28歳、マサル・C・レヴィ=アナトール19歳の4人の若きピアニストの姿が国際ピアノコンクールを舞台に描かれています。
 音楽の知識がない私でも作品の世界に引き込まれ、わくわくしながら一気に読み切ってしまいました。1次予選から3次予選、本選で演奏される曲を知る人にとっては、演奏を頭に浮かべながら、いや4人の演奏をあたかも実際に耳にしているように感じながら読み進めることができるのだろうなと羨ましく思いながら読みました。
 ピアノを題材とした映画で小説を原作としたものには、一昨年公開された宮下奈都さん原作で橋本光次郎さんが監督した『羊と鋼の森』があります。
 『羊と鋼の森』は、2016年・第13回本屋大賞を受賞した作品。
 将来の夢もなく生きていた主人公が、高校でピアノ調律師と出会い、その音色に魅せられ専門学校を出て調律師として働くなかで人間として成長していく姿が描かれています。特に、高校生の姉妹との交流の場面は胸に熱く迫るものがあります。
  さて、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、この小説は、恩田さんが作家を専業とした後、1999年に単行本が刊行され、2002年2002年に映画化さた作品です。
 謎の死を遂げた耽美派女流作家を偲んで集まった5人の女性たちが、その死の謎を解明していく密室ミステリーと言われるものです。登場人物一人ひとりが個性的で、重層的な深みのある作品で面白く読めました。
 因みに、耽美派の作家といえば誰がいますか?国語便覧を開くとわかりますよ。
 次回は、藤沢周平さんの『山桜』『小川の辺』を紹介します。