日誌

校長室より「藤沢周平『山桜』『小川の辺』」

 第3回は、藤沢周平さんの『山桜』と『小川の辺』です。
 映画の主演は、どちらも少年隊の東山紀之。凜々しい武士の姿が印象的でした。殺陣は・・・。もちろん『小川の辺』に出演したKis-My-Ft2の二階堂君とは比べようもない見事な殺陣でしたが。
  妻役は、『山桜』は田中麗奈、『小川の辺』は尾野真千子。田中麗奈さんと私は、NHK-BSで放送された『旦那様はFBI』というノンフィクションドラマで共演しています。と言ってもほんの一瞬エキストラで出ただけなので、クレジット(エンドロール)に名前も出ず、一緒に見ていた家族にも気づいてもらえませんでした。
 『小川の辺』は、『山桜』を見た藤沢周平氏の奥様がたいへん気に入り、映画化につながったということです。
 どちらも、江戸時代の架空の藩「海坂藩(うなさかはん)」を舞台にした時代小説です。
 映像では、とにかく草木の「緑」がとても美しく感じました。そういえば、篠原監督初の16mm作品は『草の上の仕事』という、二人の青年(一人は爆笑問題の太田光)がただただ草を刈るもの。その時から草の緑をきれいに撮ると感じていました。
 北高の校内も今は新緑がとても美しいです。この清々しい緑を旬の時期に皆さんに見てもらえないのが残念です。
 「山桜」というと、私は江戸時代の国学者、本居宣長の詠んだ「敷島の 大和心(やまとごころ)を 人問はば 朝日ににほふ 山桜花(やまざくらばな)」という和歌を思い出します。日本人の精神とは何だろうと思う時に、必ずこの和歌が口を衝いて出てきます。皆さんにとって日本人の精神とは何でしょう。
 因みに、「敷島の」は、『大和(やまと)』にかかる枕詞。他にどんな枕詞があるか国語便覧で確認しましょう。
 さて、藤沢周平作品では、『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』なども映画化されていますが、高校生の皆さんには『蝉しぐれ』がおすすめです。
 長編ですが、主人公牧文四郎に共感し、作品の世界に引きずり込まれることでしょう。時代小説の名手、藤沢周平の世界を堪能できます。
  次回は、いくえみ綾さんの『プリンシパル』です。