85キロ強歩 3.2)巡回係の記録より
記録集「第27回 強歩の記録」より ~巡回係メモ~
 昨日からやきもきさせられた天気も、やや好転の兆しが見えて、実施決定。
 寺内校長、神島PTA会長、車田同窓会会長、那須中央病院臼井院長、西澤強歩委員長の檄を受け、決意も新たに。強歩の『原点』に立ち返る第27回強歩。どんな強歩になるやら…。不安、楽しみ、様々な思いが錯綜する時間。
号砲の音と共にスタート。先導歩の後藤先生、佐野先生を先頭に校長、PTA会長、吉川筆頭副会長も共に歩き出す。3年生は瀬谷生徒会長、強歩委員長を中心に、野球部、サッカー部その他元気のある面々が先陣を切って出発していった。
ポツリポツリ雨が落ちてきたが、支障はない。少々遅れぎみ。隊列が長く伸びてほとんど休憩もとらずスタートしていく生徒もいる。かわいい幼稚園児の声援が響く。
雨は同じように降っている。遅れぎみをとりもどし、予定到着時刻前に到着する。エアーサロンパスが使われ出す。歩道が狭いため、一人ずつ境内から出ていく。
 それぞれのマイシートを敷いて、昼食を摂る。ここまでは順調。天気だけが心配の種。1年生にとっては練習なしのぶっつけ本番。「すべてが未知の経験」などと考えているようには見えないが、ピクニック気分もいつまで続くだろうか。
 雨つぶの量が多くなってきた。予定より5分前到着。まだ疲れはみられないものの、エアーサロンパスの噴き出す音や足の指をもむ生徒が増えてきた。カッパの準備が必要になってくる。これから厳しくなってくる。
 路面がじっとり濡れる位に雨が降ってきた。暑いためかカッパをぬいでいる生徒が少なからずいる。泉中学校では出身者を激励する名前入りの横断幕を用意し校舎に掲げてくれたが、雨のために切れ切れになっていた。
 本降りになり雨足が強くなってきた。「my sheet」を敷くように指示するが、立ったままでなかなか座って休もうとしない。疲れがたまるだろうに。雨の中の待機時間を短縮するため5分早く出発する。1年生には愚痴り出す生徒もちらほら。
 雨も小康状態となり、少し楽になった。
 今年初めて設置された休憩地点なので、入り口から先頭を並ばせ、後続は砂利道を上に上がらせる。砕石場の方達が、応援団の人形を作ってくれる。
 雨のため、校庭は水たまりもできているので、校舎前の砂利の部分で待機。 昼元気よく前を歩いていいた生徒達の中でも、疲れのためか遅れがちになる者がちらほら見えてきた。天候も一進一退。正念場が近づいてきた、という感じ。
 早め早めに進めてきた分、わずかだが休憩時間を多めにとれた。体育館にはジェットヒーターが用意され、少しでも暖をとってほしいという保護者の心遣いに感謝である。
 異動された先生方が姿を見せてくれるのも嬉しい。雨もほぼ上がりつつある。その一方で風が出てきて、気温が急激に下がっている。これから厳しい歩行になりそう。
 暗い上り坂ながら先頭集団は全くおとろえを見せずハイテンションを維持。気温が下がったので、防寒対策を指示する。天候は予定より早めに安定する。少し安心。
 休憩予定の広場が雨のため使用できず。道路半分のアスファルトの上に休む。休憩時間を10分短縮し、早めに出発。保護者の方達が、道路の整理をしてくれる。ありがたいことだ。
 雨はあがり、蛙の声が聞こえる。少し寒さは感じるものの、歩きやすい状態。先頭周辺が先を争い、縁石に乗ったりしている生徒がいて危ない。コウモリも飛んでいて街路灯の周りを回っている。途中電灯が切れて真っ暗になった。
 今年度に限り戸田小に代わって新しく休憩ポイントになった。大きな交差点の一角にあるので明るく、駐車場も広い。東那須野支部の保護者が早くから集まり、アスファルトにたまった雨水を掃いていてくれ、生徒達が腰を下ろすスペースがたくさん作られていた。感謝である。さすがに生徒達も座って休んでいるものがほとんどになってきた。これから一直線の変化に乏しい下り道である。長く感じることだろう。
 煌煌と照るあかりが疲れをいやしてくれる。ただ休憩場には小さくない水たまりもあり、雨の多かったことを伺わせる。
 降られはしたものの、全体的には運がよかったと考えるべきなのだろう。
 青木多目的センターから20分早く出発したが、更に5分間を短縮し、0時15分に到着。1時50分までには1時間35分の休憩がとれることとなった。生徒は最低でも2杯のうどん、そばを食べているようだ。体育館には一面にビニールシートがひかれ、暖房のヒーターも置かれていた。黒磯北中の配慮に感謝したい。また、かなり先導と終末との間の差が大きくなっているが、その間ずっと立哨を続けてくれる黒磯支部の保護者の皆様にも大いに感謝したい。
 黒磯北中に向かう生徒達に、原付きに乗った暴走族らしき者が消火器をまいたり、花火を打ち込んだとのこと。巡回の先生方、川口先生が奔走するが、とんでもない行為だ。実害は無かったものの、限界に挑戦している生徒達へのこのような妨害行為は許せるものではない。
 黒磯北中でのうどん、そばによる充分な栄養補給と休養のおかげか、先頭の元気も回復したようだ。野球部とサッカー部が大部分を占める中で、生徒会長の瀬谷が健闘している。最後まで頑張ってほしい。
 今回の強歩で初めての星が見える。苦しい雨天を乗り切り、天候を味方につけられた。
 ところで、昭和食品株式会社の壁には「まぐろ」と大きく文字が書かれているが、なぜ「まぐろ」なのだろう。今年は酒を飲んで、陣中見舞いに来る卒業生もおらず平穏であった。
 うっすらと空も白んでくる。残す歩行距離も20㎞余りにまで減らしてきたものの、生徒達の疲れもピークに達そうとしている。そんな時、絶妙のタイミングで「かぶり物」登場。リトル・グリーマン、日の丸マン、そして前田敦子の3人だ。
 もうだめだと思っていた生徒もこれで元気を回復した。夜も明ける。
 鍋掛から日本フェルトまでは4.0㎞と、終盤の行程としては最も長い山場だが、まわりも明るくなり、残りも20㎞を切った。生徒会長の瀬谷は、苦悶の表情。しかし、目には依然、力がある。完歩を確信させる。
 寒井小が運動会で使用できないため、数年ぶりに休憩所として使用された当センター。着いてみると、「歓迎大高強歩 平成24年5月26日 午前6時頃通過予定」と書かれた激励が貼られてあった。近所の方の好意であろうか?
 3大関門最後の「川西中学校跡」。恒例の「お楽しみ朝食袋」が配られ、またたっぷり休憩時間もとれた。応援団による足のマメをものともしない裸足での気合いの入った応援には惜しみない拍手が送られた。
 これまで先頭集団は野球部、サッカー部に占められていたが、ここにラグビー部も参戦。先頭争いは一気にヒートアップ。一触即発の危うい事態(?)も生じた。カナ?
 強い日射しのために急激に暑くなってきた。苦しいはずだが、距離的には残すところあと10分の1。もう少し。がんばれ!
 湯津上支部、南那須支部の保護者の方々が恒例のトマトを配布してくれる。今回で最後になるサービスを充分に堪能した。
 最後の休憩ポイント。ゴールに備え、3年生達が最前列に集まってくる。寺内校長、神島PTA新会長、吉川筆頭副会長も合流し、ゴールに向かう。約25時間かけての大行事も、いよいよ最終局面。
 11時に予定通りゴール。苦しみ抜いた瀬谷生徒会長が涙ながらに完歩の喜びと強歩の成功への感謝を見守る人達全員に対し語れば、西澤強歩委員長は、今回の強歩のテーマは「絆」だとまとめた。途中、雨に降られ、寒さに苦しめられた今年度の強歩も見事な快晴と、ゴールを告げる祝砲と共に、幕を閉じた。