進路指導部より

卒業生より

H7年度卒業  M.T

㈱本田技術研究所 四輪R&D センター

 

Hondaの四輪研究開発を担う会社に10年以上勤めています。

現在は中堅社員として世界中のHonda事業所に導入しているコンピューターシステムのグローバルサポート業務や新しいITシステム開発といったクリエイティブ思考を伴う業務に従事しています。

また、プログラム作成や英語メールでやり取りする機会もありますので、いつも自習を積み重ねながら取り組んでいます。

 

会社でのコミュニケーション方法を紹介したいと思います。
(1)社内導入ソフト付属のチャット機能の活用

会社で標準導入されているソフトで、事前の準備がなくても誰とでもグループチャットができるメリットがあります。会議等に積極的に活用しています。

 

(2)タブレットや紙ベースでの筆談

マンツーマン(一対一)のコミュニケーションやパソコンが使えない場面では、タブレットの筆談系アプリや紙を使った従来ながらのアナログライクな筆談を活用することもあります。また、記録に残す必要があるかどうか内容に応じてツールや手段を使い分けることもあります。職場の飲み会や出張移動中は破損リスクが少ない軽量の電子メモパッドを活用する工夫もしています。

 

(3)会社支給携帯電話によるSNS/SMS(ショートメール)の活用

出張や外出先の職場から離れているところからの社内情報共有や連絡手段として

SNS/SMS(ショートメール)を活用しています。緊急時の電話(発着信)が必要な場面がある時は、周囲にいる同僚に代理電話をお願いできるようにしています。

職場の方の協力を得ながら、場面に応じてパソコンソフトや手段を柔軟に使い分けていますが、パソコンを使った仕事がほとんどの職場ですので、基本的にPC ノートテイクを中心に活用しています

このようにコミュニケーションツールや手段の特徴を上手に使い分けることで、コミュニケーションスタイルや情報共有の違いを乗り越え、職場の信頼やサポートを得ながら、自分のスキルアップやチャレンジ精神を持って取り組んでいます。また、自分ひとりではなくチームの一員として仕事に取り組むことや自らコミュニケーションツールの使い方を覚えて周りに伝授することで聴覚障害に対する認識を深めてもらうことも大切だと思います。

学ぶことは在学時だけではなく、社会に出てからはさらに重要になります。

自分の人生をどう生きていくかを考えていくことも大切です。世の中のあらゆる出来事、物事や思想に対しても客観的思考を自ら健全に育んで認識・形成していくことを前提に、各自が自助努力で出来ること、出来ないことを自ら気付き、そして、きちんと認識し整理できるようになって欲しいと思います。

 

それから、障害の有無に関わらず、同じ人間としてお互いの多様性を認め合える人間尊重はもちろんのこと、聴力の程度や失聴のタイミングの違いによって、多種多様な能力を持つろう者同士でもお互いを健全に受け入れ、受容性を高めることができる人になって欲しいと思います。

 

その上で、みなさん一人ひとりに合ったポジティブな方法で日本語やコミュニケーションの壁を上手に乗り越えて、人間関係や信頼関係を築いていくアクションを積み重ねていくのは、在学時も社会に出てからもとても重要だと心がけてください。

 

具体的な方法は人それぞれですが、多くの先輩が持っている技術・経験・知識、そして学校の先生方や地域・家族の身近な方のたくさんの教養にも自ら積極的に触れてください。そして客観的に耳(眼)を傾けて認識し、それを糧にし、自分自身の生き方を磨くことにつなげて欲しいと思います。

 

また、明日(未来)は自分の力で掴みとることにつなげられるよう、在学時からたくさんの知識や体験による習得、見聞や教養を積極的に広めて、分からないことがあっても分からないなりに一歩ずつ積み重ねていく努力や前向きな意欲・向上心を社会人になっても持ち続けてください。

そういった意欲や姿勢に対し、在学時は聾学校の先生方や家族の方が、社会人になってからは社会(地域)や職場の方が支援・協力を惜しまずに支えてくれるはずです。