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校長室から

第3学期始業式 式辞

おはようございます。松の内は過ぎてしまいましたが、年が変わりましたので、年頭の挨拶をします。皆さん、明けましておめでとうございます。年末を穏やかに過ごし、希望に満ちた新年を迎えることはできたでしょうか。第2学期の終業式に続き、防寒及び感染症対策のため、リモートでの配信としています。

さて、今年は十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」を組み合わせた「乙巳(きのとみ)」が干支になります。「乙(きのと)」は、植物が育ちきった状態を表す言葉で、これまでの努力が実を結び始める時期を表しているそうです。「巳(み)」は知ってのとおり、古くから豊穣や金運を司る神として崇められている蛇のことですが、脱皮する度に体表の傷が癒え大きくなるため、逞しい生命力があることでも知られています。

ですから「乙巳(きのとみ)」の今年は、努力に応じて成長が見込め、知識や技術・技能の獲得が実感でき、さらには過去の失敗や挫折を新たな出発に変えられる年であると言えます。ここで、幕末の志士「坂本龍馬」が遺した言葉を紹介します。「俺は、昨日の俺ならず」という非常にシンプルなものですが、彼らしい強い決意が伝わってくるとは思いませんか。皆さんにも竜馬の如く未来を志向し、日々成長することを期待します。

話題を転じますが、2学期の終業式では、オリンピックに触れながら日本漢字能力検定協会が選定した2025年の漢字、「金(きん)」について話したのを覚えていますか。本日は巳年の金運にあやかり、「金(かね)」に関した話をします。新1万円札の肖像画にもなった「渋沢栄一」は、「近代日本経済の父」とか「日本資本主義の父」と呼ばれています。NHK「大河ドラマ」の主人公にもなったことから、生誕の地である埼玉県深谷市は、大変な賑わいがあるようです。

彼は明治維新後、当時の大蔵省に入省、実業家になってからは、日本初の銀行「第一国立銀行」や現在の「東京証券取引所」や「東京商工会議所」などの団体、「帝国ホテル」や「日本郵船」などに繋がる数多くの企業の設立に携わりました。企業の目的が利潤の追求であってもその根底には道徳が必要で、公益(公共の利益)を第一に考えるべきだという「道徳経済合一説」をその著『論語と算盤』で説いています。儲けのみを求めるのではなく、世のため人のために働いて儲けることにより、国が豊かになると考え実践しました。これは、近江国(現在の滋賀県)の商人、所謂「近江商人」の「三方よし」の経営理念と同じですね。

もう少し彼の功績を伝えますが、現在の一橋大学、日本女子大学、二松学舎大学などの教育機関及び日本赤十字社、聖路加病院などの医療機関の設立や社会事業の支援なども行ったそうですから、新1万円札の肖像画になっても不思議ではありません。紙幣を手にした際には、彼の偉業や公益について振り返ってください。

皆さんには、それぞれに叶えたい夢や理想があると思います。目標が明瞭でないから困っているという人もいるかも知れませんが、それを模索しているだけでも立派な思考であり、活動であると思います。是非、その夢や理想が、そして思考や活動が、自分にとって、そして身近な人にとって、さらには将来、社会にとって健全で有益なものになるよう、高校生活を過ごしてください。周囲に迷惑をかけずに自分が好きなことをやるというだけでなく、自分の行為で周囲が豊かになれば、これ以上の幸せはないのではないでしょうか。

さくら清修高校の関係者全員にとって、2025年が更なる飛躍の年になることを願い、式辞とします。