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校長室から
1学期始業式式辞
新入生240名を迎え、全学年そろって新学期が始まります。
一人一人の思いも異なるとは思いますが、皆さんが胸に秘めている今の思いや決意をずっと持ち続けて、一日一日を大切に過ごしてください。
では、1学期のスタートに当たり、3点お話しします。
1点目。「飛行機人間」と「グライダー人間」の話をしたいと思います。これは、大学教授で英文学者、評論家でもある外山滋比古さんという方が使った言葉です。外山さんの書いた文章は、国語の教科書に載っていたり、あるいは大学入試などに出題されたりしますので、聞いたことある方もいるかと思います。外山さんは数年前になくなられましたが、九〇歳を過ぎても現役で執筆活動を続けていました。最もベストセラーとなったのが『思考の整理学』という本で、「飛行機人間」「グライダー人間」という言葉はそこで使われているものです。
飛行機とグライダーは、空を飛ぶのも同じで、遠くから見るとよく似ている訳ですが、大きな違いは、グライダーは誰かに引っ張られないと自力で飛ぶことができないが、飛行機は誰かの力を借りずとも自分で飛び立てるという点です。外山さんは、「誰かに引っ張られて飛ぶグライダー型ではなく、自分の頭で考え、自力で飛び回る飛行機型人間こそ必要」と述べています。誰もが最初はグライダーだと思いますが、いずれは飛行機のように自分で飛ぶ力を身につけなければなりません。今社会で求められているのは、まさしく飛行機型の力です。
ではどうすればそういう力が身に付くのか、それは何事も受け身ではなく、自分で考えて主体的に行動することです。一例を挙げると、皆さんは、普段の生活の中で、「先生、どうすればいいですか」とか「次は何をやればいいですか」と言ったりすると思います。それを是非変えてください。数学の質問にいくときには、「解き方がわからないので教えてください」ではなく、「こういうふうにやってみたんですけど、ここから先がわかりませんでした。でも考え方は合っていますか」とか、部活なら「今日の練習メニューはなんですか」ではなく、「今日はこういう練習をしたいんですけど、どうですか」というように、全部教えてもらおうとするのではなく、まずは考えた結果を伝えて、その後アドバイスをもらうということを繰り返していけば、飛行機型の力が身につくのではないかと思います。ぜひ、グライダーから飛行機になることを意識して、一学期を過ごしてほしいと思います。
次に2点目。2、3年生には、4日の登校日の日に、「目標を持って努力してほしい」という話をしましたが、今日は、元大リーガーで日本人初の野球殿堂入りを果たしたイチロー選手の言葉を紹介したいと思います。イチロー選手は、日本のプロ野球から大リーグに渡って、主にシアトルマリナーズというチームで活躍しましたが、日米通算4367安打という前人未踏の記録を始め、数々の記録を打ち立てました。彼の目標設定に関する言葉です。
「目標は高く持たないといけないんですけど、あまり高すぎると挫折してしまう。だから小さくとも自分で設定した目標を一つずつクリアして満足する。それを積み重ねていけば、いつかは夢のような境地にたどり着く」。このような言葉を残しています。
今の自分とかけ離れた目標ではなく、努力すれば手の届く目標を立てることの大切さやそれをクリアすることで得られる達成感や満足感が、次への意欲につながっていくということを言っています。皆さんも大きな最終目標だけでなく、今日はこれをやろうとか、ここまでやろうとか、毎日小さな目標を立てて、達成感を味わいながら毎日を充実したものにしてほしいと思います。
3点目は、皆さんに期待することを学年ごとに話していきたいと思います。
まず3年生。3年生は、いよいよ勉強も部活も集大成となる最終学年です。部活動をやっている人は、多くの部で最後の大会が迫っています。結果も大事かも知れませんが、どれだけ一生懸命取り組んできたかの方がもっと大切だと思いますので、悔いを残さないように最後までやり切ってください。限られた時間の中で部活も勉強もやらなければならないわけですから、時間を大切にして、スキマ時間を有効に活用するなど、工夫しながら頑張ってほしいと思います。集中力とメリハリ、そして切り替えを大切にしてください。
次に2年生。2年生はターニングポイントになる学年です。1年が終わって、勉強でも部活でもなんとなく自分の立ち位置というか、自分の力はこのくらいなのかな、と思い始めている人もいるかもしれません。でも「自分で自分の限界を決めずに」頑張ってほしいと思います。ここで目標を持ってもうひと頑張りできるか、なんとなく日々の生活に流されて惰性で過ごしてしまうか、そこは自分次第です。勉強しても伸びない時期とか、部活で頑張っているのにうまくならない時期というのは、誰にでも必ずあります。その時にどれだけ粘れるか、我慢して続けられるかが大切です。その辛い時期を乗り越えられれば、また力がついてきます。頑張ってください。また、2年生には、あらゆる面で1年生の見本となってくれるよう期待しています。
最後に1年生。1年生には、入学式で「自分の頭で考えて、自分で判断してほしい」ということ、「自分も他人も大切にしてほしい」という二つの話をしました。これまでとは環境が変わるので、まずは新しい慣れること、そして学校生活に慣れてきたらやりたいことにどんどんチャレンジしてほしいと思います。大切なのは、考えているだけではなくて、行動することです。行動すれば、次にやるべきことが見えてきます。今日はこの後部活動紹介もありますので、いろいろ見たり聞いたりしながら興味を持った部活に入ってほしいと思います。失敗を恐れずチャレンジし、自分の世界を広げてくれることを期待しています。
いくつか話をしましたが、1学期を過ごす上では、行き詰まって悩んだり、迷ったりすることもあると思います。そういうときには、一人で悩まずに、是非友達や先生に相談してください。
それでは、まずは皆さんが元気であること、そして、一学期が充実した日々となることを期待して、式辞といたします。
入学式式辞
寒暖を繰り返しながら、待ちわびた春がようやくやってきました。桜咲き誇る今日のよき日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 大野 光臣様をはじめ、御来賓の御臨席を賜り、保護者の皆様の御列席のもと、令和七年度栃木県立さくら清修高等学校第二〇回入学式を挙行できますことは、本校教職員にとりましても大きな喜びであり、学校を代表して心から御礼申し上げます。
ただ今入学を許可した二四〇名の新入生の皆さん、本校への入学、まことにおめでとうございます。
さて、本日、晴れて皆さんが入学した本校は、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じた幅広い科目選択と主体的な学習が特徴である総合学科の高等学校として、平成十八年に開校しました。「自主自立」「進取創造」「敬愛協働」の校訓を掲げ、生徒たちは学業のみならず、特別活動にも熱心に取り組み、成果を上げている活気溢れる学校です。今年は創立二〇周年の節目を迎える年であり、尚一層の飛躍する時期にさしかかっています。
これから新しい歴史を築いていく新入生の皆さんに、この三年間で大きく成長することを期待して、二つのことを話したいと思います。
一つ目は、「自分の頭で考えて、自分で判断する」ということです。他人から言われてやるのではなく、自分の意思で、自ら進んで行動するということです。現代社会は、様々な情報にあふれ、人々の価値観は多様化し、変化の激しい予測困難な時代となっています。そのような社会を生き抜くには、「自分で考え、判断し、主体的に行動すること」が必要となります。単に受験に合格できる力ではなく、その先に待ち受けている社会で自立して生きていくために必要な「生きる力」を、是非身につけてほしいと思います。しかし、このような力は一朝一夕で身につくものではありません。高校生活三年間はあっという間に過ぎていきます。日々の授業はもちろんのこと、ぜひ、学級活動、生徒会活動、部活動、そして学校行事に、主体的に、一生懸命に取り組み、逞しく生きる力を身につけてください。
二つ目は、「人を大切にする」ということです。これは、「自分も他人も大切にする」ということです。今ここにいる皆さんは一人一人、本当に「かけがえのない」存在です。「かけがえのない」とは、「代わりがきかない、たった一つの大切なもの」ということです。皆さんは、これから始まる高校生活でたくさんの人に出会い、様々な経験をしていくことになります。そのふれあいの中で、ともに学び、ともに喜び、励まし合える「真の友人」「かけがえのない友人」をつくってください。高校時代の切磋琢磨の中から生まれる友人は、一生にわたって皆さんの力となってくれるはずです。人を大切にし、優れた仲間と互いに切磋琢磨し、他人の痛みがわかる人間、心豊かで活力ある人間に成長していってください。
最後になりましたが、保護者の皆様方、お子様の御入学を心よりお祝いを申し上げます。小学校入学以来の長い年月に渡り、お子様の学校生活を支えてこられました保護者の皆様の思いもひとしおであろうと、心からお慶び申し上げます。
私ども教職員は、お預かりしたお子様一人ひとりの持てる力を十分引き出し、自己実現が図れるよう精一杯努力して参る所存です。保護者の皆様には、ぜひ本校の教育方針、教育内容等についてご理解いただき、ご協力・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、新入生の皆さんが本日の入学式の感激を忘れず、努力を重ね、貴重な三年間の高校生活を有意義な実り多いものとなるよう改めてお願いし、式辞といたします。
ご挨拶
こんにちは。私はこの4月から校長として赴任しました小林と申します。
さくら清修高校ホームページをご覧いただきありがとうございます。
本校は、「喜連川高校」と全国初の総合学科設置校「氏家高校」の長い歴史と伝統を受け継ぎ、総合学科の高校として平成18年に開校しました。「自主自立・進取創造・敬愛協働」を校訓として日々の教育活動を展開しており、今年度創立20周年の節目を迎えます。
本校の特色は、なんと言っても、一人一人の進路実現や興味・関心に応じた選択ができるよう多様な科目講座を開設し、自分だけの時間割を組むことができるところです。授業は少人数で行われることも多く、きめ細やかな授業が展開され、体験学習や外部講師による専門的な授業も実施しています。
学校行事も多く、大いに盛り上がる桜花祭、全力で競い合う球技大会、体育祭といった大きな行事を毎年実施しており、充実した学校生活につながっています。また、部活動も充実しており、全国大会や関東大会に出場している部活動もあります。
卒業後の進路は、国立大学、私立大学、短期大学、専門学校、公務員、民間企業と幅広く、充実した進路指導体制のもとで、多様な進路実現を図っています。
いかがでしょうか。多岐にわたる選択科目、自分だけの時間割、様々な学校行事、それに加えて、情熱あふれる個性豊かな先生たちがたくさんいます。本校は、誰でもやる気さえあれば、それに応えられる環境が整っている学校です。
教員と生徒が本気で向かい合いながら授業や部活、学校行事に一生懸命取り組んでいる姿をぜひご覧ください。
ここでは概要のみ記しましたが、興味を持っていただけた方は、様々なページに入っていただき、さらに深く本校を知っていただければ幸いです。ホームページを見てくださる方々のご期待に添えられますよう、より充実した内容にしていきたいと思います。
教職員一同、本校で学ぶ生徒たちが充実した高校生活を送れるよう尽力して参りますので、今後とも「さくら清修高校」をどうぞよろしくお願いします。
栃木県立さくら清修高等学校長
小林 克明
令和6年度修業式式辞
早いもので、本日、令和6年度修業式になりました。1・2学期の終業式は、学期が終わる節目の日ですが、年度末は、業を修める式です。皆さんの生業は学業ですから、1年間の学業を修め終える節目が、本日の修業式であると言えます。
先程は皆さんを、卒業した先輩方は卒業式予行の日に実施した表彰伝達式で称えたことでもわかるとおり、部活動、検定試験、模範篤行、皆勤など、本校には多方面にわたり努力し素晴らしい成果を修めている生徒たちが本当に多く、校長としても誇らしい皆さんですが、個人個人を振り返ると不足している点や改善すべき点が見つかるなど、まだまだ伸びしろのある皆さんでもあると思います。修業式を機に、各自、反省してみましょう
今年度は生徒会の要望を受け、男子の頭髪規定について若干の変更を加えたり、先生方が皆さんの健康を考え休業日の部活動における登下校時の服装規定を見直しました。次年度の入学生は、始業・終業時間は同じですが、皆さんと比べて正規の授業時間数が1週間当たり2時間少なくなりますし、例年、年明け早々に実施していた野外活動(スキー、スノーボード)は廃止になります。時代や実態に即した変更があるのは、当然のことですね。
数年経ちましたが、18歳成人という大きな法改正があり、来年度からは高等学校の授業料無償化が始まる予定です。今現在、日本はここ数年では例を見ない税制改革が行われようとしているなど、皆さんの生活に直接関わることだけでも大きな社会制度・構造の変化が起きています。ですから、皆さんにはコロナ禍の対応と同じように様々な出来事に対し柔軟に、そしてそこには何らかの意図があるのではないかと深く考えながら過ごして欲しい思います。目の前の愉しみ事ばかりに時間を費やすのではなく、将来、社会で活躍できるよう、その土台づくりをしているのだと意識しながら高校生活を過ごしてください。
そうすると、挨拶や身なりを整えることの大切さ、勉強の面白味さや意義、自身の目標などが自ずと見えてきます。来年度、創立20周年を迎える本校の二十歳の誕生日を祝うために皆さんが主体になって来賓をもてなし、記念芸術鑑賞会を楽しみ、そして先輩方に感謝しながら21年目の歴史をつくる主役としての自覚や責任をもつよう、期待して止みません。今が正にその準備期間です。
間もなく見頃を迎える「桜の花」が美しいのは、寒い冬をじっと耐え、春の来るべき時に一気に開花するからです。中には寒桜とも呼ばれ、冬の寒い時期に開花することで知られる「河津桜」や「土肥桜」などもありますが、これらは人に例えるならば、一握りの特別な才能がある人か、或いは努力が結実した人と言えるのではないでしょうか。ひょっとすると、冒頭話した表彰伝達式で称えられた人たちのことかも知れません。
2年次生は、進路実現のためにもう1日たりとも無駄にできませんね。夏休み後、部活の引退をしてからとか、桜花祭や秋の体育祭後に頑張ればいいのだなどと努力を先送りにしていては、それだけの結果しか得られないのは明らかです。後輩の面倒を見ながら自分を磨く日々は辛く厳しいと感じる時もあるかも知れませんが、楽をしたい自分に打ち克ち、じっと絶えた暁には、夢の実現という素晴らしい結果が待っています。桜の花と同じです。今から3年次生、最上級生としての自覚と覚悟を期待します。
1年次生には、先月、「さくらレポート」で素晴らしい発表をしたことからも、本校で確実に成長した姿を垣間見ることができました。ご指導くださった「さくら市」の方からも、高校1年生ともなると、随分、研究内容に厚みが出るもんだとのお褒めのことばをいただいています。2年次生というポジションは、上級生と下級生に挟まれた中間年次生ですから、学校の中心であると考えてください。良い先輩を手本に、自分が歩んできた1年間よりも本校生として素晴らしい高校生になれるよう、後輩を導いてください。上にも下にも自分を省みる人たちがいるということは、本当に幸せなこと、全日制の学校に通うメリットだと思います。頑張ってください。
『生徒会誌』や『さくら清修高校新聞』に記したように、「夢は見るものではなく、叶えるもの」です。とは言っても、そう簡単に物事は進まず思い悩むのが人間、特に青春期の皆さんです。人は予期せぬことに出会うとネガティブな思考に陥る傾向がありますが、そんな時には「雨過天晴」ということばを思い出してください。降り止まない雨はありません。雨の後には、空高く大きな虹が架かる晴天が広がる様子を思い描き、ポジティブな思考に変えてください。同時に、事ある度に伝えてきた「自他ともに大切にする」ことも忘れずにいてほしいと思います。
自然界の「さくら」もすぐに満開になります。卒業式の式辞でも述べたように、前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には新たなクラス、環境にも慣れ活気に満ちながらも落ち着いた学校生活を送っている皆さんの姿を見るのが、今から楽しみです。一人一人が卒業生が残した実績を上回り、「さくら清修高校」の佳き伝統の継承者となるべく、また、4月に迎える新入生の先輩としての自覚を持ち様々なことへの準備期間である春休みを有意義に過ごすよう期待し、式辞とします。
令和6年度卒業式式辞
厳しかった冬の寒さも和らぎ、柔らかな春の息吹が感じられるこの佳き日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 大野 光臣様をはじめとするご来賓のご臨席を賜り、保護者等の皆様のご列席のもと、栃木県立さくら清修高等学校令和6年度卒業式をこのように盛大に挙行できますこと誠に喜ばしく、教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与した222名の卒業生の皆さん、栄えある卒業、おめでとうございます。保護者等の皆様におかれましては、お子様の逞しく成長した姿に感慨ひとしおのものがあるかと存じます。この3年間、本校の教育活動に対し、深いご理解とご支援をいただきました。お子様のご卒業にあたり、心より御礼と御祝いを申し上げます。
卒業生は「自主自立」、「進取創造」、「敬愛協働」の校訓のもと、学業に勤しみ高等学校の全課程を修了しました。本校は個の興味や関心、進路に応じた幅広い科目選択ができる総合学科であることに加え、活発な生徒会、部活動、ボランティアの諸活動及び学校行事が、大きな魅力と特色であることを体感してきました。
クラスや部活動の仲間と知恵を出し合い、企画・運営や発表を行った「桜花祭」や「芸術合同発表会」のような文化的行事、クラスが団結してプレーした「球技大会」や縦割りのチーム編制で挑んだ「体育祭」の体育的行事は、共に大いに盛り上がりましたね。いずれの場面でも一人一人が主役として輝いており、これからも佳き思い出として脳裏に刻まれていくことでしょう。皆さんが築いた伝統は、必ずや在校生がさらに磨きをかけて紡いでいきますので、見守っていてください。
後輩たちに生徒会役員等の座を譲り、部活動を引退してからは、進路実現という目標に向かって努力を惜しまず過ごしていましたが、最上級生として何事にも率先して取り組み、後輩たちに範を示す姿が窺えました。何より、友人と切磋琢磨し絆を強固にするなど、青春を謳歌し充実した日々を過ごしたことと思います。こうして本校の歴史に輝かしい1ページを加えた第17期生として、本日、晴れの日を迎えている皆さんを大変誇らしく思います。
皆さんを待ち受けている社会は、少子高齢化や高度情報化が加速度を増し、既存の考え方や仕組みが著しく変貌を遂げようとしています。そうした物事が複雑化し予測困難な時代を生き抜くためには、多様な価値観を受容し柔軟に振る舞う対応力、新たなものを創造しようと思考し行動する実践力、そして、他を敬うなどの優れた人格を備えた人間力が重要であると考えます。皆さんは、地域の方々のご支援や保護者等の皆様の愛情と庇護のもと、3年間の高校生活をとおして、社会を立派に生き抜く素地を培ってきました。卒業後、進む道は人それぞれですが、未来を切り開いていけると確信しています。
ここで、夏目漱石も影響を受けたとされる19世紀に活躍したアメリカの哲学者で心理学者でもある「ウイリアム・ジェームズ」のことばを紹介します。「できるかどうか分からないような試みを成功させるただひとつのものは、まずそれができる、と信じることである。」日々、目標に向かって一生懸命努力した皆さんですから、夢は叶います。自分と周りにいる仲間を信じて頑張ってください。きっとできます。
「さくらの花」が間もなく満開になります。前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には、新天地での生活にも慣れ、活気に満ちながらも落ち着いた生活を送っていることでしょう。来年度、創立20周年を迎える本校には、いつでも皆さんを応援している教職員がいます。時には母校に足を運び、近況報告をしてくれるよう望みます。卒業生の皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈り、式辞といたします。
第3学期始業式 式辞
おはようございます。松の内は過ぎてしまいましたが、年が変わりましたので、年頭の挨拶をします。皆さん、明けましておめでとうございます。年末を穏やかに過ごし、希望に満ちた新年を迎えることはできたでしょうか。第2学期の終業式に続き、防寒及び感染症対策のため、リモートでの配信としています。
さて、今年は十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」を組み合わせた「乙巳(きのとみ)」が干支になります。「乙(きのと)」は、植物が育ちきった状態を表す言葉で、これまでの努力が実を結び始める時期を表しているそうです。「巳(み)」は知ってのとおり、古くから豊穣や金運を司る神として崇められている蛇のことですが、脱皮する度に体表の傷が癒え大きくなるため、逞しい生命力があることでも知られています。
ですから「乙巳(きのとみ)」の今年は、努力に応じて成長が見込め、知識や技術・技能の獲得が実感でき、さらには過去の失敗や挫折を新たな出発に変えられる年であると言えます。ここで、幕末の志士「坂本龍馬」が遺した言葉を紹介します。「俺は、昨日の俺ならず」という非常にシンプルなものですが、彼らしい強い決意が伝わってくるとは思いませんか。皆さんにも竜馬の如く未来を志向し、日々成長することを期待します。
話題を転じますが、2学期の終業式では、オリンピックに触れながら日本漢字能力検定協会が選定した2025年の漢字、「金(きん)」について話したのを覚えていますか。本日は巳年の金運にあやかり、「金(かね)」に関した話をします。新1万円札の肖像画にもなった「渋沢栄一」は、「近代日本経済の父」とか「日本資本主義の父」と呼ばれています。NHK「大河ドラマ」の主人公にもなったことから、生誕の地である埼玉県深谷市は、大変な賑わいがあるようです。
彼は明治維新後、当時の大蔵省に入省、実業家になってからは、日本初の銀行「第一国立銀行」や現在の「東京証券取引所」や「東京商工会議所」などの団体、「帝国ホテル」や「日本郵船」などに繋がる数多くの企業の設立に携わりました。企業の目的が利潤の追求であってもその根底には道徳が必要で、公益(公共の利益)を第一に考えるべきだという「道徳経済合一説」をその著『論語と算盤』で説いています。儲けのみを求めるのではなく、世のため人のために働いて儲けることにより、国が豊かになると考え実践しました。これは、近江国(現在の滋賀県)の商人、所謂「近江商人」の「三方よし」の経営理念と同じですね。
もう少し彼の功績を伝えますが、現在の一橋大学、日本女子大学、二松学舎大学などの教育機関及び日本赤十字社、聖路加病院などの医療機関の設立や社会事業の支援なども行ったそうですから、新1万円札の肖像画になっても不思議ではありません。紙幣を手にした際には、彼の偉業や公益について振り返ってください。
皆さんには、それぞれに叶えたい夢や理想があると思います。目標が明瞭でないから困っているという人もいるかも知れませんが、それを模索しているだけでも立派な思考であり、活動であると思います。是非、その夢や理想が、そして思考や活動が、自分にとって、そして身近な人にとって、さらには将来、社会にとって健全で有益なものになるよう、高校生活を過ごしてください。周囲に迷惑をかけずに自分が好きなことをやるというだけでなく、自分の行為で周囲が豊かになれば、これ以上の幸せはないのではないでしょうか。
さくら清修高校の関係者全員にとって、2025年が更なる飛躍の年になることを願い、式辞とします。
第2学期終業式 式辞
温暖化の影響で夏休み後も気温が高い日が続き、いつの間にか冬になっていたと感じる程に秋が短かったと思います。月日が経つのは早く、第2学期、そして令和6(2024)年が終わろうとしているので、各自、生活を振り返り来学期や来年の目標を立てましょう。防寒と感染症予防のため、リモートでの配信とします。
季節毎に今年を振り返ってみます。夏には、パリで開催されたオリンピックとパラリンピックにより、世界中が感動の渦に巻き込まれました。日本の選手たちが多くの金メダルを獲得したことが、今年の漢字に「金」が選ばれた理由の1つでもあったように思います。改めて、将来の夢をオリンピック出場に定めたという人が、皆さんの中にもいるようですので応援しています。
秋の紅葉は、関東有数の紅葉狩りの景勝地がある本県に、今年も多くの観光客を誘いました。中でも、日光連山を背景にした一大パノラマ、「いろは坂」周辺の眺望が絶賛されるのは、日本にある35種類の楓のうち21種類がそこに自生しており、様々な色合いが秋の澄んだ空気に映えるからだと言われています。春の桜並木の美しさは、多くは淡いピンク一色によるものですが、紅葉の良さは多くの異なる色にあります。校内で、落葉の除去などの環境の整備にあたってくださる公仕さんへの感謝も忘れてはなりませんね。
総合学科である本校の特色の1つに、生徒一人一人の興味・関心、進路に応じた科目選択があるわけですが、これにより学びの幅が広がり、また、異なる学習集団が形成されるため他者理解も進みます。木々の紅葉のように、多様な彩―異なる価値観や個性―に溢れながらも規律ある生徒集団が、本校の魅力を生み出していると私は考えます。一人一人が違って当たり前、今後も自分らしさを模索し、そして発揮してください。
各地で、地震や豪雨などによる自然災害や戦禍により、尊い命までもが失われるという悲惨な現実を目の当たりにした年でもありました。そのような中、「日本原水爆被害者団体協議会」に10日、「ノーベル平和賞」が授与されました。特に2年次生には、修学旅行で長崎の平和公園を訪れるなど、平和学習に取り組んだこともあり、印象深い出来事の1つであったと思います。当然のことですが、命の尊さや平和の有り難さ、災害対策や環境保全について考えることも重要です。
今学期を振り返って見ると、いつにも増して大きな成果がありました。2,000名程の来校者があった「桜花祭」や縦割りのチーム編制で実施した「体育祭」などの学校行事では、皆さんのアイディアやホスピタリティー、互いに協力する姿が随所に見られました。先日は、生徒会や委員会、有志の生徒が中心になって企画した台湾の「新北市荘敬高職国際学校」から生徒40名を迎えての交流により、本校の良さを伝え、また、「国際理解とは何か」を知るヒントを得られたと思います。
「表彰伝達式」や「壮行会」でも披露したように、部活動では、ダンス部の「県新人ダンス大会」優勝や、県高文祭「写真展」特選での関東大会への出品、「美術展」最優秀賞による、2年連続の全国大会への出品決定といった輝かしい成果を写真部・美術部の人たちが修めています。他にも、さくらテラスでの「さくら市議会報告会」へのパネリスト参加などの様々な取組が、多くの方々に称賛されています。
以上、皆さんの活躍の一端を紹介しましたが、このような目立った活動をしたり、優れた成績を残すことは容易ではありません。「自分らしさ」を追究する中で、いつかその高みに到達するものですから、これからも学校生活のあらゆる機会―友人との語らい、読書、学校行事、部活動、ボランティア活動など―を大切にしていきましょう。本校は、役立つ豊富な資源に満ち溢れていますし、皆さんには大きな可能性があります。
3学期は瞬く間に過ぎていきます。卒業という大きな節目を迎える3年次生には、殊更に早く感じられるでしょう。全校生徒の皆さん、当然ながら「今という時間は今しかない」と肝に銘じ、また、「信頼できる大人への相談」も忘れずに、健康・安全に留意にしながら冬休みを過ごしてください。「自他ともに大切に」して、穏やかな年末と希望に満ちた新年を迎えられることを願って式辞とします。
第2学期始業式 式辞
長かった夏季休業が終了し、第2学期始業式を迎えることになりました。「光陰矢の如し」のことばどおり、年齢を重ねるとより時の経つ早さをより実感するものですから、毎日を大切にしたいものです。
「南海トラフ地震情報」が発信され警戒したり、線状降水帯の発生により停電や浸水被害に見舞われたりするなど、自然災害の心配が例年よりも多かった夏でした。さらに今まさに、台風の日本列島横断の懸念があるため、一層、災害等への備えを万全にしなければなりません。
本日は、本県出身選手2名も車いす競技で出場予定のパリパラリンピックの開会式ですが、過日実施されたオリンピックでの熱戦同様、連日、猛暑続きの休業日でもありました。体調はどうでしょうか。今後も気温が上昇することがあるでしょうから、健康管理にも務めてください。
さて、1学期の終業式には夏休みや2学期をより良く過ごすため、どんな学校生活であったか各自で振り返るよう、皆さんに伝えました。さらに、周囲の物事に関心を持ち、正しい判断、見極めが大事であるということを心に留めて生活するようお願いしたと思います。
社会に目を向け、1つでも、一瞬でも発見や感動する場に出会えたならば、素晴らしい夏休みであったと言えるでしょう。「一日体験学習」では、本校に関心を寄せている700名を超える中学3年生を1・2年次生が中心となって親切に導いてくれました。ライトキューブ宇都宮で開催された「総合学科研究大会(サマーキャンプ)」やオンラインでの「ふれあい活動高校生のつどい」に参加した生徒たちは、他校生との意見交換をとおして、知識や友情を深めたことと思います。部活動やボランティア活動、アルバイトに勤しんだ人など、力点や目的は違えども誰にも等しく与えられた時間、心身の健康と安全に配慮して過ごせたならば、良しとしてください。
2学期は就職試験や入試、桜花祭や体育祭、修学旅行などの行事があり、学校生活の中でも皆さんの成長や将来に大きな意味をもつ時です。いつも言っているように自他ともに大切にし、適宜、信頼できる大人に相談しながら自己創造(自分づくり)に励んでください。全員の夢が叶う学期であることを願って式辞とします。
令和6年度 第1学期終業式式辞
真夏日や猛暑日が増え、夏本番の到来とともに、気が付けば第1学期終業式を迎えることになりました。熱中症予防のためZoomでの配信にしましたので、少しだけ長く話をします。
総じて、資格取得や部活動、ボランティア活動など、多方面で活躍し、充実した生活を送った人が多かった1学期だったと思いますが、時間を無駄にしてしまったとか、もっと努力できたかなと考える人もいるでしょうから、夏休みや2学期をより良く過ごすため、各自で振り返ってください。
さて、身近でありながら、殆どの人が知らないと思われることについて話します。皆さんは、自分の利き手が左右どちらか理解していますよね。時に同じくらい両方の手を器用に使いこなす人もいますし、スポーツ選手などは、場面で左右を使い分けしている人もいます。大抵、利き手と利き足は同じである場合が多いようですが、利き目になるとどちらなのか自信がないという人が、少しいるかも知れません。楽器の奏者は、左右の手足を自由自在に操って音楽を奏でていますが、楽譜を見る目や、音を聞き分ける耳はどうなっているのでしょう。脳がこの複雑な指令を全身に出しているのでしょうが、才能を生かすも殺すも努力次第です。
突然ですが、ここで問題です。「皆さんの利き鼻はどちらですか?」正確に答えられる人は稀ですが、該当するものを選んでください。選択肢は「右」「左」「両方」の3つです。選べましたか。どれも正解です。利き鼻は毎日変化するので、左右どちらかというものも、両方というのも正解になるんですね。自分自身のこと、大事な身体のことでも知らないことはたくさんありますし、私の質問から、殆どの人が三者択一と考えたことでしょう。周囲の物事に関心を持ち、正しい判断、見極めが如何に大事か、心に留めて生活してください。
話は変わりますが、本校は、生徒たちが17もの広域な地区から通学しており、しかも1学年6クラス編制という規模ですから、それだけ多様な価値観や才能を持った生徒たちの集団と言えます。だからこそ、勉強に励んだり、部活動で成果を収めたり、ボランティアで社会貢献したりと多方面で力を発揮し、学校に活気をもたらしているのだと思います。どの高校も先輩方から受け継いだ校風のもと、社会に出るための準備期間、つまり、より良く生きるために知恵を磨き、心身を鍛え、自己創造に励んでいるのですが、集団生活である以上、一定のルールは必要になってきます。これは、特定の人にとって都合が良いものであることに留まらず、社会的にも容認され得るものでなければならないと考えます。生徒総会で可決された要望事項への回答は、皆さんの代表である新生徒会長並びに副会長に伝えましたが、詳しくはこの後、生徒指導部よりありますので、正しく理解してください。併せて、皆さんの学校生活が過ごしやすくなるようなアイディアがありましたら、然るべき手順を踏んで教えてください。
身近な話題や多様な価値観と言えば、円安の問題や新紙幣の導入、インバウンドなどが真っ先に頭に浮かびます。国の経済政策や諸外国の日本に対する見方が、私たちの暮らしに大きな影響があるのは否めません。先ごろ2年次生は「県政ミーティング」で、県議会議員の方々と貴重な時間を共有させていただきましたが、全ての生徒に、社会に目を向けるよう願います。
アメリカ合衆国に限ったことではありませんが、多民族国家の代表格として、異文化について学んだことがある人は、「人種のるつぼ」とか「メルティング・ポット」などの言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。しかしこれはひと昔前の学術用語で、様々なルーツやバックグラウンドのある人たちが、独自の文化や習慣を抱きながらアメリカ社会に馴染んでいる様子は、「サラダ・ボウル」と形容される方が今では一般的になっています。個性や考え方を認め合いながら、統率の取れた社会、学校であることは大事なことです。
皆さんは、各国の首脳会談などで、例えば日本の首相とアメリカ大統領が椅子に座って記者会見に臨んでいる映像を目にしたことはありますか?首相は足を揃え、大統領は足を組んだ姿勢が見られます。人前、或いは人に対して足を組むことがどういう価値観で社会に根付いているのかの違いで、非礼にあたるとかといった判断は成立しないのですが、これも時と場合によっては形や解釈が変わってくるものです。
アメリカの話題をもう一つ、最近、日本人の活躍で目にする機会が増えたMLBですが、ベンチの中はひまわりの種や紙屑、場合によっては紙コップまでもが投げ捨てられており、大変汚れています。大谷翔平選手は、グランドのゴミをポケットに拾って入れているようですが、ベンチ内のゴミは選手の誰もが意に介しません。何故かわかりますか?これは、きれいであると、清掃するスタッフの業務、つまり仕事がなくなり賃金の支払いに影響があるからだそうです。日本では、施設を使う前より使った後をきれいにすることが美徳とされています。次に使う人のためを考え、行動することが当然、価値あることとされています。学校生活を送る上で、皆さんはどう振舞えばよいか、考えるきっかけとしてもらいたいと思います。
もう少しで話を閉じますので、最後まで集中して聞いてください。先日、見聞きした2つのエピソードを紹介します。まず1つめは、和歌山県の高校生が、バスケットボールで見事インターハイ出場権を獲得したというニュースです。部員は僅か6名だったそうです。
2つめは、X-JapanのYoshikiさんについてです。3年生の時に、「ロックミュージシャンになること」と書いて進路希望調査を提出したそうです。すると、担任の先生から真面目に答えるようにと言われたそうです。彼は真面目に将来を展望し、努力を重ね、現在、著名なミュージシャンになって活躍しているんですよね。
夢は見るものではなく、叶えるもの。人間は、考え方と行動次第でどうにでもなるということの良き例です。
何かを発見し、暑さにも負けない心身両方の健康維持と増進、そして安全を心掛けて長期休業を有意義に過ごし、第2学期始業式には、より逞しくなった皆さんに会えることを願って式辞とします。
令和6(2024)年度 創立記念式式辞
本日は、栃木県立さくら清修高等学校「創立19年」の記念日です。ここ氏家公民館をお借りして創立記念式並びに記念音楽会が開催できますこと、誠に喜ばしく思います。また、これまで本校を支えてくださった関係者の皆様に深く感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございます。
来年は本校が誕生して20年、「二十歳を祝う日」を迎えることになりますが、この機会に、皆さんにとってやがて母校となる「さくら清修高校」について改めて確認してみましょう。本校は、「氏家高校」と「喜連川高校」の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じて幅広く選択できる科目と主体的な学習が特徴である総合学科の高校として平成18年、西暦2006年に開校しました。
前身の2つの学校について、それぞれ簡単に紹介します。まず「氏家高校」ですが、大正13年4月15日に第1回入学式を挙行、栃木県立氏家高等女学校、つまり女子高として開校しました。男女共学化に伴う校名変更など幾多の変遷を経て、平成6年に全国初の総合学科を設置しています。平成18年に創立80周年記念式典を挙行した後、喜連川高校と統合。平成20年3月3日に閉校式が行われ、卒業生は22,283名を数えています。
次に「喜連川高校」ですが、昭和21年4月1日に喜連川町高等青年学校の校舎を県が引き継ぎ、喜連川農業高等学校が開校しました。「栃木県立喜連川高等学校」としては、昭和26年4月1日が始まりです。数々の変遷を経て、平成18年4月1日に氏家高校と統合。平成18年に創立60周年記念式典を挙行した2年後、氏家高校と同様、平成20年3月3日に閉校式を挙行しました。卒業生数は9,784名です。
この伝統ある2校の歴史を受け継ぎ、旧氏家高校の敷地や校舎を利用して平成18年4月1日に「さくら清修高等学校」が開校したわけです。7月5日が創立記念日であることは、平成20年に決定しました。栃木県の市町村合併に伴い、この地がさくら市となったことから、「氏家」に代わって「さくら」という名を冠した学校がこの地に誕生し、3学年が揃った年でもあります。「清修」は清らかな心とすがすがしい態度で様々なことを学び修める生徒が育ってほしいという願いが込められています。生徒手帳にも記載されていますが、校章は、鬼怒川をイメージした青の緩やかな形から「さくら清修高校」の頭文字のSがすっと立ち上がる様を、また、青の流れが交わる部分は、氏家高校と喜連川高校が統合して一つになることを表現しています。流れに浮かぶ緑色のさくらは、本校のさわやかさと独創性、さらにはスクールカラーであることも示しています。これらの様々な要素が背景の淡いピンクの円形の中に優しく収められている見事なデザインです。平成27年には創立10周年記念式典を挙行していますが、現在まで3,733名の卒業生が皆さんの先輩として各方面でご活躍されていらっしゃいます。本校の歴史について再確認できたでしょうか?
今年は球技大会でも話したように、フランスでオリンピックが開催される年ですね。昨年度は、1992年にオリンピックが開催されたスペインのバルセロナにある、建築家アントニ・ガウディの設計による「サグラダ・ファミリア」について紹介しましたが、近未来を志向し、次年度の「創立20周年記念式典」について触れたいと思います。
長く学校勤務をしている私たち教職員においても、周年事業開催の機会に巡り合うとは限りませんが、1・2年次生は在校生として、3年次生には卒業生として来年の「創立20周年事業」を切り盛りしたり、支援してもらったりすることになります。大人の話題ではありますが、昨年度は「準備委員会」、今年度より「実行委員会」を立ち上げ、同窓会やPTAの皆様とともに、先生方は本校20歳の祝福に向けて通常業務に加えての仕事に組織的に取り組んでいます。これは皆さんが将来、母校となる「さくら清修高校」のこれまでの歩みを確かめ、地域等の関係者に支えられながら信頼と実績を誇る本校の名声をさらに高めていくという決意と、何よりここで学ぶ皆さんが、幾つになっても本校卒業生としての矜持や思い出を語れるような学校にしていきたいという強い想いからに他なりません。主役である皆さんには、一層、愛校心を抱きながら自己の伸長に励んでくれるよう期待し、式辞とします。
この後の創立記念芸術鑑賞会、「音楽鑑賞」も楽んでください。
令和6年度第1学期始業式式辞
皆さん、おはようございます。
ただ今は、昨年度まで2・3年次生をご指導くださった先生方をお送りしました。寂しさを感じている人が多いと思いますが、先週の金曜日、5日には240名の新入生が入学し、全校生徒701名で「さくら清修高校」の新年度が始まりました。賑わいを取り戻し、また春の陽気も相まって、活力や希望が湧いてくるように感じているのは私だけではないはずです。
入学式で布の染色技法の1つ、「桜染め」について式辞で述べました。新入生には記憶に新しく重複した内容になるので、入学者選抜を見事突破し合格発表で自分の受検番号が掲げられた時の歓びや、緊張しながらも高校生としての第一歩を踏み出した入学式、或いは級友との最初の出会いの光景などを思い出しながら聞いてください。2・3年次生にとっては初めての内容なので、よく聴いて参考にしてほしいと思います。
「桜染め」とは、文字どおり布を桜色に染めるものですが、用いられる桜の原料はピンクの花びらではなく、意外にもごつごつとした木の皮なのだそうです。しかも桜が開花する直前の時期、3月頃に採取したものでなければなりません。あの桜の皮を使って桜色に布が染まっていく様を皆さんは想像できますか?桜はきれいな花を咲かせるために、根や幹、枝葉の全体を使って樹液を花弁に送るのだそうです。つまり桜の花の色も桜染めの布の色も当たり前ですが、元は桜の樹液の色なんですね。私たちが自然界で目にする桜の花は、満開になって咲き誇ったかと思うとあっという間に散ってしまいますが、そのわずかの期間だけ適切な時期に花開くために、木全体が見えないところで準備・活動しているんです。
もう皆さんには、なぜ私がこの話をしたのか、意図は掴めましたね。桜は自然環境、気温、土壌などに左右され、若干、開花の時期や色合い、散るまでの日数が異なっても、1年に1度、春先には確実に私たちの目を楽しませてくれます。新入生には期待を込め、桜に例えて「3年後にどんな花を咲かせるか楽しみにしている」と言いました。2・3年次生は、それぞれ2年後、1年後に最大の結果を披露してくれるものと信じています。
私は生物に関する詳しい知識を持ち合わせていませんので、事実を正しく伝えられているか心配もありますが、植物は保持するゲノム、遺伝子情報に基づき個体を維持しており、その成長過程の1サイクルとして桜は、毎年春先に体全体で樹液を送り色鮮やかに花を咲かせるわけです。60兆以上もの細胞からなる私たち人間の体は、もとは1個の細胞からできたものであったり、環境に適応して種を保存してきた点では植物と共通しているかも知れませんが、自らの手で環境を変えることが可能であるし、大地に根を張って移動できない訳ではありませんから、進化の度合いが植物より格段に大きい訳です。何より、人それぞれ意志や目標、思考や行動が異なるため、個体差と言ってよいかは分かりませんが、個性や適性、到達度が大きく違ってくるのだと思います。皆さんは、どのような花を高校生活の集大成として咲かせますか?そのために、どの時期にどう時間と知恵を使いますか?人間は、自ら適切な肥料や水分(知識や経験のことですが)を吸収することができます。時期や量を誤らないよう、正しく見極めてください。もし迷った時には、いつでも先生方に相談してください。一人一人が素晴らしい花を咲かせるよう、応援します。
話は変わりますが、脳科学者で医学博士の中野信子先生を知っている人はいますか?先生は、東京大学大学院の医学系研究科脳神経医学専攻博士課程を修了され、現在、東日本国際大学教授、東京都港区の森美術館の理事などをお務めでいらっしゃいます。
視覚や聴覚の認知、記憶・学習・予測・言語などの高次認知、喜怒哀楽や理性などの情動に関する脳機能について研究するのが脳科学の研究分野であり、私たち人間がよりよい社会生活を送るよう、研究成果が生かされているそうです。
さて、中野先生は、過日、下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の講演会で、人間の体は他の動物と比べて非常に弱く、種として生き延びるために社会的集団をつくってきたとし、「人間は集団を守るためにルールを破りそうな異質な人を排除する、社会という罠の中に生きている」と述べられたと報じられていました。桜はその受け継いだDNAにより1年に1度、きれいな花を咲かせ、我々人間は生きるために集団を形成し、規則を設け異端者を除外するんですね。さらに先生は、「目立つ人や得をしていそうな人が標的になりやすいため、圧倒的な存在になって『あの人には敵わない』と思わせることも重要だ」とも述べられたそうです。経済人に向けた講演だけあって、中々に切り口が鋭いですね。
これは、「出る杭は打たれる」しかし、「出過ぎた杭は打たれない」と言い換えることができるでしょうか。人間の性とも言える、元来、弱い生き物だからこそ群れを成して生きながらえる。その群れ、つまり集団を守るのがルールです。これを今現在の皆さんの状況、高校生活に当てはめれば、学級や授業、部活などそれぞれの部署に所属して、各集団の決まりに従いながら知識や技術、社会性などを身に付け、将来、社会で通用するよう仲間や先生方の協力や指導によって成長していくために、校則があるのだと言えます。不条理・不合理な校則、特に時代にそぐわないものは、どの学校でも改善する方向で検討していると思いますが、本校でも制服やスマートフォンの持ち込みなどについて、一部、改定したところです。校則や社会の規則は、皆さんを不当に拘束するためのものではなく、私たちが安全でより良く生きるためにあるのですから、まず皆さんには「正しく生きること」を強くお願いします。「正しく生きる」とは、堂々と生活することですから、植物と同じで、すくすくと成長することになりますし、そのような人には応援してくれる人が集うものです。
皆さんはこれからも成長し続けます。最もその度合いが高いのが高校時代です。どの分野でどんな才能を花開かせていくのか分かりませんが、無限にある可能性に限界を決めるのは他ならぬ自分自身ですから、悔いが残らないよう、何事にも全力で取り組んでみてください。本校は、学びの形態も個性的、部活動やボランティア活動も多種多様、生徒会活動も活発ですし、読書に励もうとすれば3年間では読み切れない蔵書が図書室にあるなど、教育システムや資源に大変恵まれています。「正しく生きること」の次に、「有効に時間とものを活用すること」をお願いします。ひたむきに努力する姿に異端も何もありませんから、「常識的な範囲で大いに出過ぎて」社会で打たれない力と個性を、これでもかと伸ばしてください。資格取得なら誰にも負けないとか、ボランティア精神に溢れているのが自慢だとか、自信が持てるものに手間暇をかけてください。
新たな年度を迎え程度の差こそあれ、どの生徒も期待と不安が入り交じっているものです。徐々に新たな環境に慣れていくとは思いますが、ここさくら清修高校には、皆さんの悩みや疑問に真摯に対応してくれる先生方やスクールカウンセラーもいらっしゃいますので、
時に信頼できる大人への相談も行いながら、各自の夢の実現に向けて邁進してください。4月1日の職員会議で先生方に、「授業研究」による確かな学力の養成と「生徒一人一人に寄り添った指導」による生活支援の充実の2つを特にお願いしてあります。今年度は、始業時間が5分早まった他、朝の読書や土曜課外など、昨年度とは大きく異なる点がいくつかあります。進路実現等の目標達成のために、1時間1時間の授業に真剣に臨んでください。学習内容を理解し学力が定着するよう、予習・復習を習慣化しましょう。勉強だけでなく、友人との関わり方、高校生としての在り方や人としての生き方など、迷った時には先生方に相談してみてください。さくら清修高校には、皆さんの将来の財産となるような知恵が無尽蔵に備わっていますから、活用しましょう。
最後に、皆さんとさくら清修高校がより素晴らしいものになるよう、3つのことをお願いします。これまで話したことのまとめにもなります。1つ目は、「制服を正しく着用する」こと。2つ目は、「校歌を大きな声で歌う」こと。3つ目は、「気持ちよい挨拶をする」ことです。これらは基本的なものばかりで多くの生徒ができていることですが、皆さんを守るためであり、皆さんが社会を生き抜くために必要な基礎となるものです。併せて、呼名されたら「大きな声で返事をする」ことも2・3年次生は、必要な理由を分かっていると思います。こんな簡単なことで良いのかと思ったでしょうが、これらのことが皆さんと本校の品位、名声を高めてくれます。簡単だから難しいというものも世の中にはありますが、良い生徒・学校の基本ですので、お願いします。
以上で式辞とします。
令和6年度入学式式辞
色とりどりの花々が咲き乱れるこの佳き日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 飯村秀文様をはじめとするご来賓のご臨席を賜り、また保護者のご列席のもと栃木県立さくら清修高等学校 令和六年度入学式が挙行できますこと、誠に嬉しく存じます。教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
ただ今入学を許可した二四〇名の新入生の皆さん、本校への入学、本当におめでとう。私たちはこの日を心待ちにしていました。在校生・教職員一同、皆さんを歓迎いたします。
さて、本校は、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じた幅広い科目選択と主体的な学習が特徴である総合学科の高等学校として、平成十八年に開校しました。「自主自立」「進取創造」「敬愛協働」の校訓を掲げ、生徒たちは学業のみならず、特別活動にも熱心に取り組み成果を上げている活気溢れる学校です。
新入生の皆さんは大きな期待と少しばかりの不安を胸に、今まさに高校生活を開始しました。先輩方が残した確かな実績と地域の支え、先生方の指導の下、この三年間で大きく飛躍することを期待し、次の二つのことをお願いします。
まず一つ目は、「自他ともに大切にする」ということです。人は一人では生きられない。誰もが誰かに支えられ、誰もが誰かを支えながら社会は成り立っています。他者への感謝や思いやりの気持ちを抱き、自他の良さを認められる人になってください。対話力を高め、友人と切磋琢磨することにより達成できると考えます。そのためにも学級活動、生徒会活動、部活動、そして学校行事に一生懸命に取り組むよう、お願いします。
二つめは、「感性を磨き、正しい価値観を身に付ける」ということです。現代は、急激に押し寄せる変化の波に、戸惑うことが多い時代です。皆さんは新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、困難を乗り切ってきた逞しい人たちですから、今後も進んで新たなものを吸収し、鋭い分析力をもって未来を切り開いてください。そのために必要なことは、日々の授業や家庭学習に自主的・主体的に取り組むことと、世の中の出来事に敏感であることです。期待しています。
ここで、植物の桜を用いた染色技法の一つ、「桜染め」について紹介します。淡いピンク色に布を染め上げるために使われるのは、不思議なことに花びらではなく、ごつごつとした木の皮なのだそうです。しかも、花開く直前のものでなければなりません。桜の木は、美しい花を咲かせるために、根や幹、枝全体で桜色に貯えた樹液を花びらに注ぎ込んでいるのです。皆さんは本校でどのような力を蓄積し、三年後にどう披露してくれるのか、楽しみにしています。
結びに保護者の皆様、本日、お子様の姿をご覧になり、お慶びもさぞかしであろうと、心からお祝い申し上げます。本校の教育方針をご理解いただき、お子様の成長を教職員と連携を図りながら、共にご支援くださるようお願い申し上げ、式辞といたします。
学校経営方針
令和5年度修業式式辞
早いもので、本日、令和5年度修業式になりました。新型コロナウイルス感染症が第5類に引き下げられたことにより、様々な制約が解かれ、皆さんが通常の高校生活を送れるようになった最初の年度の節目の日です。
以前と変わらず、適宜、換気をしたり手指消毒に努めるなど、感染症予防対策を講じ、さらには既存の学校生活の見直しをしながらではあったものの、一通り「さくら清修高校」ならではの学校行事や部活動、何より個の興味・関心、進路に応じた系列による学習、つまり総合学科ならではの授業に臨むことができ、全生徒の成長が随所に見られた1年間でした。
先程は皆さんを、卒業した先輩方は卒業式前日の表彰伝達式で称えたことでもわかるとおり、部活動、検定、模範篤行、皆勤など本当に各分野で素晴らしい成果を修めている生徒たちが多く、校長としても自慢です。
『さくら清修高校新聞』でも紹介しましたが、将棋界で前人未踏の全タイトルである8冠達成という偉業を達成した藤井聡太棋士は、AIを活用し棋譜の研究に励まれることもあると聞きました。社会の急速な情報化に伴う物事の分析力や処理能力、活用方法が問われる時代で、新たな課題も生まれているようです。学校も例外ではなく、皆さんには一人1台のタブレットが貸与され、調べ学習や視覚的な情報集約が瞬時にできるようになるなどの利便性が向上した反面、情報への適切な接し方に戸惑う等の負の面も感じているかも知れません。
こうした中、チャットGPT等のAIが、気づけば身近なものになり、世界中で取扱規定策定の賛否などについて、議論が沸き起こっています。特にEUでは、使用には制限が必要であるという意見が強く、商業主義が根強いアメリカとはやや異なる方向に進んでいるように聞いています。規制賛成派(慎重論者とも言えるでしょうか)の中には、いずれ人間がAI制御不能に陥り、人間社会がAIに統治されるようになるのではないか、と危惧する人もいるようですが、皆さんはどう考えますか?エビデンスを提示することはできませんが、私は、そうは思いませんし、そうであってはならないと考えます。なぜなら、AIと言えども人間が作り出したものだからです。私たち人間は、ものを創造する知恵に加え感情や理性があり、そして何より対話による協働ができるからです。情報リテラシーの獲得とともに、会話を超えた対話の意義を深く考えながら、理想の生き方・在り方を人との関わりをとおして模索してください。そうして変化の激しい社会を生き抜く素地を本校で培ってほしいと願います。
自然界の「さくら」も間もなく満開になります。卒業式の式辞でも述べたように、前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には新たなクラスにも慣れ、活気に満ちながらも落ち着いた学校生活を送っている皆さんの姿を見るのが今から楽しみです。卒業生が残した実績を上回り佳き伝統の継承者となるべく、また、4月に迎える新入生の先輩としての自覚を持ち、様々なことへの準備期間である春休みを有意義に過ごすよう期待し、式辞とします。
令和5年度卒業式式辞
柔らかな春の息吹の感じられるこの佳き日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 飯村 秀文様をはじめとするご来賓のご臨席を賜り、栃木県立さくら清修高等学校 令和5年度卒業式をこのように盛大に挙行できますことは誠に光栄であり、大きな喜びとするところです。教職員一同、厚く御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、栄えある卒業、本当におめでとう。また、保護者等の皆様におかれましては、お子様の晴れの姿に感慨ひとしおのものがあるかと存じます。3年間の本校教育活動への深いご理解とご支援に改めて感謝申し上げるとともに、本日、お子様の卒業に当たって心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
卒業生は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けて生活してきました。しかし、様々な制約のもと、不安や困難を克服し逞しく成長してきたのも皆さんです。最上級生となり今日まで、諸活動が漸く従来の形で行われるようになると、進路実現という目標に向かって努力を惜しまず、何事にも率先して取り組む様子や、後輩たちの面倒を見る姿が窺えました。この1年間は真に高校生らしく振る舞い、そして友人や後輩との友情と絆を強固にするなど、青春を謳歌しながら充実した日々を過ごせたものと思います。
本校は、個の興味・関心、進路に応じた幅広い科目選択ができる総合学科であることと、生徒会活動、部活動、ボランティア活動と並んで学校行事が、生徒諸君にとって大きな魅力と特色になっています。卒業生の皆さん、クラスや部活動の仲間と知恵を出し合い運営や発表を行った「桜花祭」や「芸術合同発表会」のような文化的行事と、クラスが団結してプレーした「球技大会」や縦割りのチーム編制で挑んだ「体育祭」の体育的行事は、大いに盛り上がりましたね。それらいずれの場面でも、一人一人が主役として輝いており、これからも本校での佳き思い出として、脳裏に刻まれていくことでしょう。皆さんが築いた伝統は、必ずや在校生がさらに磨きをかけて紡いでいきますので、見守っていてください。
さて、皆さんを待ち受けている社会は、少子高齢化や高度情報化が加速度を増して進んで行き、既存の仕組みや制度が著しい変貌を遂げようとしています。そうした時代を生き抜くためには、多様な価値観を受容し柔軟に振る舞う対応力、先見の明をもってイノベーションを起こす思考力と実践力、そして、他を敬い優れた人格を備えた人間力が、重要であると考えます。皆さんは、地域の方々のご支援や保護者等の皆様の愛情と庇護のもと、3年間の高校生活をとおして、社会で立派に生き抜く素地を培ってきたと確信しています。こうして今、このような素晴らしい卒業生を前に式辞を述べていることに、私は喜びと誇りを感じています。今後進む道は人それぞれですが、さらに磨きをかけてください。期待しています。
ここで、元官僚で栃木県知事も務めた社会評論家・詩人の安積得也氏の『明日』という作品の一節を紹介します。「人に皆美しき種子あり/明日何が咲くか」。繰り返します。「人に皆美しき種子あり/明日何が咲くか」。「桜梅桃李」の如く、一人一人の良さや可能性の花は、似てはいても一つとして同じ形や色のものはなく、花開く時期も異なります。しかし、必ずや花開くのです。自分を信じて個性豊かに開花する日を楽しみにしていてください。
自然界の「さくら」も間もなく満開となります。前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には、新天地での生活にも慣れ、活気に満ちながらも落ち着いた生活を送っていることと思います。卒業生の皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈り、式辞といたします。
令和5年度入学式式辞
百花繚乱。色とりどりの花々が咲き乱れる季節となりました。ただいま入学を許可いたしました新入生の皆さん、私たち栃木県立さくら清修高等学校の教職員一同、皆さんの入学を心より歓迎し、祝福いたします。本当におめでとう。
春の息吹を感じるこの佳き日に、PTA会長 高野朋久 様のご臨席を賜り、そして保護者の皆様のご列席のもと入学式を挙行できますこと、誠に嬉しく存じます。ありがとうございます。
本校は、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じて幅広く選択できる科目と主体的な学習が特徴である総合学科の高等学校として、平成十八年に開校しました。「自主自立」「進取創造」「敬愛協働」の校訓を掲げ、学業のみならず、多くの生徒が部活動やボランティア活動などに熱心に取り組んでおる躍動感あふれる学校として知られています。
さて、新入生の皆さんは大きな期待と少しばかりの不安を胸に、今まさに高校生活を開始しました。先輩方が残した確かな実績と地域の支え、先生方の指導の下、この3年間で飛躍的に成長することを期待しながら、次の二つのことをお願いします。
まず一つ目は、「自他ともに大切にする」ということです。人は一人では生きられない。意識するしないにかかわらず、誰もが誰かに支えられ社会は成り立っています。常に感謝の気持ちを忘れず、自尊心や尊敬の念を抱ける人物になってください。コミュニケーション能力を高め、多くの友をつくりながら切磋琢磨することにより達成できると考えます。学級活動、生徒会活動、部活動や学校行事に一生懸命に取り組むよう、お願いします。
二つめは、「感性を磨き、正しい価値観を身に付ける」ということです。国際化、情報化、温暖化、少子高齢化などのことばが行き交い、急激に押し寄せる変化の波に戸惑いや不安を感じている人が多い時代です。皆さんは、三年間の中学校生活、新型コロナウイルス感染症の影響をまるごと受けた人たちですが、同時に、学校休業や部分登校の実施、授業形態や学校行事の変更などの幾多の変化に対応し、困難を乗り切ってきた逞しい人たちでもあります。デジタル・トランス・フォーメーション、いわゆるDXの推進が学校教育にも求められていますが、進んで新たなものを吸収し、正確な分析力をもって、自らと社会に必要な情報の獲得と価値の創造に努めてください。そのためには、基礎学力はもとより、読解力や対話力、科学的な思考力が必要です。探求心と向上心をもって、日々の授業や家庭学習に臨んでください。学問は誰もが身に付けられる財産です。頑張ってください。
ここで、幕末の思想家、教育者であった吉田松陰の言葉を紹介します。彼は明治維新で活躍した高杉晋作、伊藤博文らを育てた松下村塾の講師として知られていますが、「夢なきものに理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」という有名な言葉を残しています。大きな夢を抱き、高校生活を謳歌してください。そしていくつもの成功という花を咲かせることを期待します。
結びに保護者の皆様、本日、お子様の姿をご覧になり、皆様のお慶びもさぞかしであろうと、心からお祝い申し上げます。本校の教育方針をご理解いただき、お子様の成長をともに連携を図りながらご支援くださるようお願い申し上げ、式辞といたします。
令和5年4月7日
栃木県立さくら清修高等学校 校長 熊田 孝幸
令和7年度さくら清修高校の
スクールミッション・スクールポリシーは以下の通りです。
(拡大してご覧ください)
欠席等連絡フォームはこちら
※電話連絡が必要な場合は、午前8時以降にお願いします。午前8時以前は受信できません。
年間行事予定より
5/1(木)耳鼻科検診 腎臓検診(2)
2(金)PTA総会代休
8(木)⑦生徒総会
9(金)学習時間調査(1) 漢字テスト(2)
10(土)土曜開放 3年看護模試(1)
12(月)生徒会専門委員会(2) 漢テ追試
13(火)①②テスト③~授業 安全点検
14(水)中間テスト~16
16(金)3年就職ガイダンス(2)
19(月)中間テスト追試 教育実習開始日
20(火)中間テスト追試
21(水)英語テスト(2) 台湾国際交流
22(木)耳鼻科検診13:30~
23(金)英テ追試 眼科検診 3年進研共テ模試
24(土)3年進研共通テスト模試
27(火)⑦心理テスト(hyper-Qu)
28(水)球技大会
29(木)球技大会予備日
30(金)腎臓検診(3)
31(土)英語検定(1)