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校長室から

卒業式 校長式辞

柔らかな春の日差しに包まれ、桜の蕾が膨らみ始める季節となりました。

この佳き日に、同窓会会長 和氣久一 様、PTA会長 大野光臣 様をはじめ、ご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、令和7年度栃木県立さくら清修高等学校第18回卒業式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても大きな喜びであり、心より感謝申し上げます。

本校所定の課程を修了し、ただいま卒業証書を授与しました230名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは今、このさくら清修高等学校において学業を成し遂げた喜びと、これから始まる新しい生活への期待に胸を膨らませていることと思います。同時に、本校で過ごした3年間の、かけがえのない高校生活の思い出が脳裏に蘇ってきているのではないでしょうか。

その心情は、私たち教職員も同じです。特に3年次担任の先生方は、一人一人の名前を呼びながら、皆さんと過ごした日々の一コマ一コマを思い返し、無事に皆さんを送り出せる喜びと安堵、そして言い知れぬ寂しさを感じていることと思います。

私が校長として皆さんと過ごしたのは1年間でしたが、皆さんは最上級生として、学業、部活動、生徒会活動、学校行事など、さまざまな場面で大きな存在感とリーダーシップを発揮してくれました。特に今年度は創立20周年の節目の年であり、学校を盛り上げようと、何事にも真摯に、そして前向きに取り組む姿が大変印象的でした。球技大会や体育祭では三年生の団結力と力強さを示し、桜花祭では限られた時間の中で工夫を凝らし、新たな挑戦にも果敢に取り組んでくれました。

部活動においては、陸上競技部の6年ぶりのインターハイ出場、美術部の全国高文祭・マンガ甲子園出場、弓道部の関東大会出場など、上位大会への進出をはじめ、県大会でも多くの部が素晴らしい成果を挙げました。また、本校の特色であるボランティア活動にも積極的に参加し、地域とのつながりを一層深めてくれました。こうした実績は、3年生の確かなリーダーシップの賜物であり、その姿勢は後輩たちにとって良き手本となり、確実に受け継がれています。

しかし、3年間の高校生活では、思うようにいかないことの方が多かったかもしれません。勉強しても成績が伸びず悩んだこと、部活動で努力しても結果が出ずに自信を失いかけたこと、進路選択に迷い、不安や葛藤で涙を流したこともあったでしょう。けれども、そうした苦しさや悔しさを乗り越える経験こそが、人を強くし、成長させてくれるのです。たとえ望む結果に届かなかったとしても、挑戦したこと自体に大きな価値があります。その挑戦は、「経験」というかけがえのない財産となり、これから歩む道のどこかで必ず皆さんを支えてくれるはずです。これまでの努力に自信と誇りを持ち、胸を張って前へ進んでください。

さて、世界に目を向けてみますと、紛争の激化・長期化など不安定な情勢が続き、国内では人口減少、デジタル技術の急速な進展、異常気象や自然災害など、先行きの見えにくい状況が続いています。特に生成AIは近年、想像を超えるスピードで発展を遂げ、社会や産業の在り方を大きく変えつつあります。そのため、あたかもAIが万能であるかのような錯覚に陥りがちですが、AIもあくまで一つの道具、ツールにすぎません。使い方を誤れば、逆に自分や他者を傷つけることにもなり得ます。どれほど科学技術が進歩しても、最終的に問われるのは、それを使う人間の倫理観や人間性です。そうした意味で、AIの進化が進む時代だからこそ、より一層モラルや人としての在り方が大切になっていると言えるでしょう。そのような中、学生として、あるいは社会人として新たな一歩を踏み出す皆さんに、2つのことをお伝えしたいと思います。

第一に、高校3年間で学んだこと、身につけた力を糧として、確固たる自己を確立し、社会の一員として地域に貢献できる人になってほしいということです。若者が都市部へ流れ、地方の力が弱まりつつある今、地域創生は大きな課題となっています。先日閉幕したミラノ・コルティナ冬季オリンピックで活躍した10代・20代の若い選手たちの姿は、私たちに大きな感動と希望を与えてくれました。スポーツに限らず、どの分野においても、若者の柔軟な発想と行動力は社会に新たな力をもたらします。これまで数多くの方から受けてきた恩恵を、今度は与える立場になって、力を発揮してくれることを期待しています。

第二に、常に感謝と思いやりの心を大切にし、誠実に生きてほしいということです。今日この日を迎えるまで、変わらぬ愛情で支え続けてくださったご家族、時に厳しく、時に温かく寄り添ってくださった先生方、そして地域の皆様への感謝の気持ちを忘れずに歩んでください。そして何より、皆さんはこの3年間で、かけがえのない友情と信頼関係を築いてきました。その絆をこれからも大切にし、苦しい時には支え合いながら困難を乗り越えていってほしいと思います。人は一人では生きていけません。これまで育んできた仲間との友情を一生の宝とし、これから出会う多くの人々ともより良い関係を築き、人間性豊かに成長してくれることを願っています。

保護者の皆様、本日、卒業という節目を迎えられたお子様の晴れやかな姿に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。これまで励まし、温かく見守ってこられたご労苦に深く敬意を表しますとともに、教職員一同、心よりお祝い申し上げます。また、本校の教育活動に対し、3年間にわたり多大なるご支援とご協力を賜りましたことに、改めて厚く御礼申し上げます。

結びに、卒業生の皆さんが本校の校訓「自主自立」「進取創造」「敬愛協働」を胸に、自らの可能性を信じ、未来を力強く切り開いていかれることを心から祈念いたします。併せて、本日ご臨席の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、式辞といたします。

第3学期始業式 校長講話

 皆さん、明けましておめでとうございます。

 年末年始は風邪など引かず元気に過ごせたでしょうか。暦の上では、1月5日が二十四節気の「小寒」でした。「寒さが小さい」と書きますが、実際にはこの頃から寒さが厳しくなり、次の節気「大寒」に向けてさらに冷え込んできます。今日から3学期が始まり、寒さも本格化しますので、登下校そして健康には十分注意して過ごすようにしてください。

 さて、昔から「一年の計は元旦にあり」という言葉があります。皆さんは、年の初めにしっかりと「目標」を立てることはできましたか。特に3学期は、1年間の締めくくりであると同時に、次の学年や進路に向けた準備期間でもあります。期間は短いですがとても重要な学期です。勉強や部活など、人によって力の入れどころは違うと思いますが、ぜひ具体的な目標を立ててください。目標は、頭の中で思っているだけではなく、きちんと手帳や紙などに書いて、いつでも見えるようにしておくことが大切です。年の変わり目や学期の変わり目といった節目を利用して、自分を変えるきっかけにして欲しいと思います。今年は午年であり、「スピード」「行動力」「前進」「勢い」を象徴していると言われます。立ち止まらず、自分の目標に向かって力強く走り抜けてくれることを期待します。

 今日は1年の始まりでもあるので、この1年をどう過ごすかということで、「時間」について少し話をします。時間は誰にでも平等に与えられていて、それをどう使うかはその人次第というのはよく言われることです。時間は平等というのはその通りですが、同じ1年でも、不思議なもので年齢を重ねるにつれて時の経つのが早く感じるようになってきます。皆さんの中にも、小中学生の頃より今のほうが時間の経過が早いと感じている人がいると思います。これは、19世紀のフランスの哲学者の名前をとって「ジャネーの法則」と呼ばれています。具体的には、「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」という法則で、例えば、10歳の子どもにとっての1年は人生の10分の1ですが、20歳の大人にとっての1年間は20分の1、50歳の人にとっては50分の1になります。つまり、歳を取るにつれて自分の人生における「1年」の比率が小さくなるため、体感として1年が短く、時間が早く過ぎるように感じるというものです。これは高校の3年間にも言えることで、学年が上がるにつれて少しずつ時間の流れが速く感じるようになり、また、高校卒業後はもっと加速していくということです。ぜひそのことを意識して過ごしてほしいと思います。時間をどう使うかは自分次第なので、時間に流されることなく、この1年、自分のやりたいことに打ち込んで中身の濃い時間を過ごしてほしいと思います。

 さて、3年生はいよいよ共通テストが近くなってきました。まだ時間はありますから、最後まであきらめずにベストを尽くしてください。今年の箱根駅伝で優勝した青山学院大学は、1区の時点では16位でした。予定通り行かないことも出てくると思いますが、大事なのは、周囲に惑わされることなく、常にプラス思考で目標に向かって進んでいくこと、最後まであきらめないこと。これが良い結果を生み出します。進路が決まった人も、残りの高校生活をしっかりやり切ってください。「有終の美」という言葉があります。最後まで最上級生らしく立派に行動してくれることを期待しています。

 1、2年生。令和8年は、さくら清修高校21年目に突入します。新たな歴史を作っていくのは、皆さんです。1年生は2年生0学期、2年生は3年生0学期のつもりで高い意識を持って勉強や部活などに励んでください。大きな目標を掲げて、有言実行で頑張ってくれることを期待しています。

 では、皆さんのますますの活躍を祈念して、3学期始業式の挨拶といたします。

第2学期終業式

皆さん、おはようございます。

長かった2学期も今日で終わりとなります。令和7年ももうすぐ終わるので、まずは今年あった出来事を少し振り返ってみたいと思います。

毎年12月になると、京都の清水寺で「今年の漢字」が発表されますが、今年は「熊」でした。ちなみに、僅差で2位だった漢字は「米」です。

全国的なニュースとしては、大阪万博の開催、初の女性首相誕生やアメリカ大リーグでの日本人選手の活躍、夏の平均気温が統計開始以降最も高かったという報道もありました。その他、新語・流行語大賞では、「戦後80年、昭和100年」、「国宝(観た)」などもありました。

本校にとっては、今年は創立20周年記念の節目の年でした。桜花祭、体育祭は20周年記念の冠行事として実施し、生徒の皆さんも20周年を盛り上げるためにいろいろと工夫を凝らしてくれました。記念式典では20周年のロゴマークを入れた記念品も作成し、来賓の方々からは、式典に臨む態度が素晴らしかったとお褒めの言葉もいただきました。また、昨日まで実施されていた「さくら清修アートフェスタ」も保護者や地域の方に日頃の学習の成果を観ていただく良い機会だったと思います。私も作品を見ましたが、とても素晴らしいものが多く感心しました。その他様々なことがありましたが、各自2学期を振り返ってから、冬休みを迎えてほしいと思います。

 

さて、先ほど賞状伝達で多くの生徒に賞状を渡しましたが、今日は部活動で印象に残ったこととしてダンス部のダンス新人大会での話をしたいと思います。私は高体連のダンス専門部長をしている関係で大会役員として県の新人大会を観ていました。「創作コンクール部門」での本校ダンス部の演技はとても完成度が高く、すべての演技が終わった段階で、優勝を期待できるくらい素晴らしいものでした。しかし結果は、第3位。結果発表の際、私はステージ上から、観客席に座っている生徒の様子を見ていましたが、審査委員長から第3位の発表があっても誰一人喜んでいる生徒はいませんでした。入賞して歓声が上がる学校、嬉しそうに賞状を受け取る学校が多い中で、本校の生徒には笑顔は全くありませんでした。県で3位というのは立派な成績ですが、その結果には全く満足していない、悔しそうな表情に見えました。本気で優勝を目指していたからこそだと思いますが、私には、その様子が強く印象に残りました。

ダンス部だけでなく、この2学期悔しい思いをした人も多いと思います。その悔しさをバネに、次はもっと上を目指して頑張ってくれることを期待しています。

2学期の終わりに当たって皆さんに伝えたいのは、高い目標を持って本気で取り組むと今までと違う世界が見えてくるということです。低い山から見る景色と高い山から見る景色では、見える景色が全然違います。それは、部活でも、勉強も同じです。同じ時間を掛けてやるなら、一生懸命やったほうが達成感もあるし、成長にもつながります。もうすぐ新年を迎えますので、ワンランク上の高い目標を定め、その目標に向かって努力してください。

 

最後に学年毎に一言。

1年生。高校生活にも慣れて多くの人が頑張っている一方で、目的を持たず何となく毎日を過ごしている人もいるようです。やるべきことを後回しにしていると、2、3年生になって取り返すのに何倍もの時間と労力が必要になってきます。今やるべきことにしっかり向き合っていきましょう。

2年生。修学旅行も終わり、意識はもう受験生にならなければいけません。スタートが早ければ早いほど、良い結果につながります。勉強も部活も一生懸命取り組んでください。

3年生。進路実現に向けて努力し、粘り強く頑張った2学期だったと思います。進路が決まった人は、自分を見つめ直し、次に何が必要か考えて冬休みを過ごしてください。これから受験を迎える人は、目標に向かってブレずに進むことが大切です。この時期に不安や焦りを抱くのは皆一緒です。今までやってきたことを信じて、最後まで頑張ってください。

それでは、インフルエンザもまだ流行っているので、健康には十分気をつけて、また事件や事故に巻き込まれないように注意して、充実した冬休みを過ごし、新しい年を迎えてください。3学期の始業式でまた元気に会いましょう。以上で終わります。

創立20周年記念式典式辞

山並みが色づき、菊花の香り漂う今日のよき日に、栃木県教育委員会委員 尾崎宗範 様、さくら市長 中村卓資 様をはじめ、御来賓の皆様の御臨席を賜り、栃木県立さくら清修高等学校創立20周年記念式典が挙行できますことは、大きな喜びであり、学校を代表して心から御礼申し上げます。これもひとえに、本校の歴史と伝統を築いてこられた歴代の校長先生をはじめ、教職員の皆様、そして、保護者、同窓会、地域の皆様の温かい御支援と御尽力の賜であり、関係の皆様に深く感謝の意を表したいと思います。

本校は、平成18年、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、総合学科の高校として開校しました。創立以来、「自主自立 進取創造 敬愛協働」を校訓に掲げ、生徒一人ひとりの興味・関心や進路希望に応じて、幅広い分野から科目を選択できる総合学科の特色を生かし、主体的な学習と進路の探究を重視した教育活動を展開して参りました。

生徒は希望の進路実現に向けて、学習活動や探究活動をはじめ、学校行事や部活動、生徒会活動、ボランティア活動などに積極的に取り組んでいます。

さて、この10年を振り返ってみますと、部活動においては、平成29年のサッカー部関東大会ベスト4、令和元年の陸上競技部110mハードル全国大会3位をはじめとし、多くの輝かしい成績を収めてきました。今年度も陸上競技部が関東・全国大会に、弓道部が関東大会に出場するなど、活発に部活動が行われております。また、文化部では、美術部がこの4年間で3回のマンガ甲子園に出場を果たし、併せて今年度は全国高等学校総合文化祭に作品を出品するなど、着実に実績を重ねております。

ボランティア活動については、平成28年に、本校生の永年にわたる多様なボランティア活動が、さくら市の街づくりに貢献し、その活動する姿が市民に元気と感銘を与えたとして、さくら市から感謝状をいただきました。その後も伝統は受け継がれており、現在も、さくら市内の様々な行事に多くの生徒がボランティアとして参加し、人間的な成長の糧となっています。

地域や大学との連携においては、平成29年に国際医療福祉大学と高大連携協力の覚書を締結し、翌30年にはさくら市と包括連携協定を結ぶなど、相互の連携を強化し、特色ある活動を展開してきました。今年度は新たに学校運営協議会を設置し、小中学校や大学、保護者、地域の方から幅広く意見をいただく機会を設け、本校のさらなる魅力化・特色化に向けて取り組んでいるところです。

これらの成果は、生徒・教職員のたゆまぬ努力、関係各位の御支援の賜でありますが、開校以来の安定した歩みは、氏家高等学校と喜連川高等学校の歴史と伝統の上に成り立っていることを忘れてはなりません。ここに、両校の沿革を紹介したいと思います。

氏家高等学校は、今から101年前の1924年、大正13年に栃木県立氏家高等女学校として開校しました。その後、男女共学化を経て、昭和26年には栃木県立氏家高等学校となり、平成6年には全国初の総合学科を設置し、平成20年3月に閉校となりました。卒業生は22,283名を数えています。

喜連川高等学校は、今から79年前、戦後間もない1946年、昭和21年に栃木県立喜連川農学校として開校しました。昭和26年には栃木県立喜連川高等学校と改称され、その後、時代の要請に応えながら歩みを進めてきましたが、平成20年3月に閉校となりました。卒業生は9,784名を数えています。

このような歴史と伝統を持つ二校が統合され、新しくさくら清修高等学校が誕生して20年目を迎えました。平成21年3月に1期生を送り出して以降、卒業生は3,955名となり、氏家高等学校、喜連川高等学校の卒業生を合わせると卒業生総数は36,022名に達し、同窓生は、県内外の各分野において活躍しています。

在校生の皆さん。皆さんは、さくら清修高等学校の新たな歴史を築く担い手です。これまでの先輩方が築いてきた歴史と伝統を胸に刻み、挑戦する気持ちを忘れず、高い目標をもって頑張ってください。大切なのは、今目の前にあることに真摯に向き合い、集中し、精一杯努力することです。小さなことの積み重ねが大きな結果を生み出します。校歌の歌詞にある「友よ たくましく歩み出そう」、「友よ 未来への道を拓こう」の言葉のとおり、仲間とともに切磋琢磨し、将来、社会で活躍できる有為な人材となることを期待しています。

私たち教職員も、次の10年に向けて、これからも家庭や地域とのつながりを大切にし、生徒一人ひとりが未来を切り拓く力を育む場として、さらなる発展を目指してまいります。

結びに、本日ご臨席賜りました皆様に改めて感謝申し上げますとともに、今後とも本校の教育活動に対し、変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

令和7年11月13日

栃木県立さくら清修高等学校長 

   小 林 克 明

鉛筆 2学期始業式式辞

 皆さん、おはようございます。36日間の夏休みがおわり2学期が始まりました。

 今年の夏は例年以上に暑さが厳しく、記録的な猛暑が続きました。7月には北海道の北見市で39.0℃、8月5日には群馬県の伊勢崎市で過去最高となる41.8℃を記録するなど、全国的に本当に暑い夏でした。そんな中、勉強や部活動、さまざまなボランティア活動など、本当にご苦労様でした。学校が始まりますので、生活のリズムを整えて新たな気持ちで頑張っていきましょう。この暑さはまだ続きそうですので、明日からの桜花祭でも、各自熱中症予防に心がけてください。

 まずは、昨日の新聞で気になったニュースを二つ話します。

 一つ目は、「ゲーム依存」の話です。新聞記事によると、ゲーム依存の疑いがあると判定された県内高校生の割合は、17.3%。5、6人に1人の計算ですから、もしかすると本校にもいるのかもしれませんが、長時間のゲームは心身への悪影響を及ぼします。他県ではスマホの使用を2時間までとする条例ができたところもあるようですが、ゲーム依存症にならないように、自制しながら使うようにしてください。

 もう一つは、クマ出没のニュースです。クマの目撃情報が全国各地で相次いでいますが、さくら市でも目撃情報があったと報道がありました。8月26日午前3時頃、早乙女地内で、体長約1メートルのクマ1頭が目撃されたとのことです。通学で近くを通っている人は、十分注意してください。また、万が一クマを目撃した時には絶対に近づかず、すぐに警察に連絡するようにしてください。

 それでは、今日のメインの話、井村屋グループの代表取締役会長さんの講演を聞く機会がありましたので、そのことを少し話したいと思います。皆さんは井村屋という会社を知っていますか。あずきバー、肉まん・あんまんなどがあり、主力商品のあずきバーは年間3億本も売れているそうです。会長の中島伸子さんは、アルバイトから初の女性社長、そして会長へと抜擢された異色の経歴を持つ方で、これまでの壮絶な人生について話を聞いてきました。

 1972年、中島さんは19歳のときに、福井県で起きた列車火災事故に巻き込まれました。700人以上の死傷者が出た大きな事故ですが、中島さんはその生存者の一人です。列車火災の中で、向かい側に座っていた3人の子どもを連れた母親から「この子だけでも逃して」と託され、5歳の子を連れて逃げようとしましたが、自分自身も煙に巻かれて意識を失い、母子4人とも亡くなったことを後に知らされます。中島さんは火災の影響で喉を傷め、声が出なくなり、それまで教員になる夢をもっていましたが、諦めざるを得なくなりました。そんな絶望の中、父親から手紙が届きました。そこには「『辛』という字に一本足せば『幸』になる。君だけの“プラス1”を探しなさい」と書かれており、それが彼女の人生の支えとなったそうです。

 その後、結婚して、福井営業所で経理事務のアルバイトとして井村屋に入社。アルバイトながら、お客様の声を改善提案として提出したり、自分が作った標語が会社に採用されたりしました。正社員になることを勧められても、声が出るようになったら教員になりたいという思いがまだあったので、断っていたそうですが、次第に誠実な社風に惹かれていき、正社員となることを決意します。正社員になってからも大変なことがたくさんあり、当時は女性ではまだあまりいなかったトラック運転手をしたり、営業職をしていたときには「女のセールスマンなんて」と言われ、まともに取り合ってもらえないこともあったと話していました。それでも負けずに、謙虚さと粘り強さで信頼を築き、支店長になり、副社長、そして社長に就任。70歳を超えた現在も代表取締役会長として活躍し、女性の待遇改善に取り組んでいるとのことでした。

 印象的だった言葉に「自分の人生のハンドルは自分しか握れない」というものがあります。これは、困難な状況に直面した時でも、自らの意思と行動で道を切り拓いていくことが大切だという意味です。さらに、「人生において大きな壁にぶつかったときには、その壁に扉の絵を描き、その扉の鍵は自分自身が持っている、自分の心の中から鍵を引き出して、扉を開けていく力強さがあれば、どんな困難にも立ち向かえる」とも語っていました。

 90分の話のほんの一部だけなので伝わったかどうか分かりませんが、端から見ると、順風満帆に見えても、知らないところでいろんな辛い思いや苦労をされていて、それを乗り越えて今があるんだなと感じた講演でした。

 皆さんも、思わぬことが起きたり、進路のことや人間関係などで悩んだりすることがあると思いますが、悩むというのは一生懸命考えているということだと思うので、決して悪いことではありません。「自分の人生のハンドルは自分しか握れない」という中島さんの言葉どおり、自分で進む道を決め道を切り拓いていく、そんな強い力を身につけてほしいと思い、紹介させていただきました。

 さて、長い2学期が始まります。

 一人一人がさくら清修高校生としても自覚と誇りを持って、充実した学校生活を送ることを期待して式辞といたします。

 まずは、桜花祭頑張っていきましょう。