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2020年8月の記事一覧

校内のエアコンの状況について

昨日公開しました「いじめ・教育相談に関するアンケート」結果の自由記述の中で、「暑い」「教室のクーラーが効かない」という生徒の意見、要望等が多数あり、生徒の皆さんには大変ご不便をおかけしています。このことについて、学校としての対応状況について簡単にご説明いたします。

本校では、毎朝、7時過ぎからエアコンのスイッチを入れ、生徒が登校する前に教室を冷やしています。しかし、今年の酷暑による外気温の上昇、生徒の学習活動による熱気に加え、コロナ対策で、エアコン稼働中も窓の一部を空けておいたり、休み時間に空気の入れ換えをしたりする等の要因もあるため、エアコンの消費電力が想定以上に大きくなり、消費電力の上限値(デマンド値)を超えてしまうと、エアコンの室外機に自動制御がかかり、エアコンが効かない状況(教室の室内機からは風がでてくるだけ)となってしまいます。さらに、マスクをつけていることにより、体に熱がこもりやすく、体感温度が上昇するなど、例年にはないマイナスの要因があります。

そのため、先日、校内の消費電力の上限値(デマンド値)を大幅に上げる工事を行いました。それ以降、通常の授業ではある程度は状況が改善されつつあります。それでも冷房が効かなくなると、教室ごとに冷え具合を教職員が確認しながら、職員室のエアコンや照明を消したり、冷えている教室の温度設定を1~2℃上げる代わりに、冷えていない教室の温度設定を1~2℃下げたりするなど、こまめに対応することで、室外機の能力を最大限に引き出す工夫を行っています。

今年度の旭城祭(8月30日)は校内公開(保護者を含む)という形で実施しますが、教室の人の出入りが多いことが想定されますので、エアコンが効きにくい状況となることが予想されます。基本的には、旭城祭当日も上記のような対応をしたいと考えていますので、ご理解をいただければと思います。

旭城祭の開祭式

本日、11時より、旭城祭の開祭式が行われました。

1 開式の言葉(中学実行委員長 中3-3 若林仁瑛)
2 校長挨拶
3 生徒会長挨拶
4 実行委員長旭城祭開祭宣言(実行委員長 高3-1 熊倉幸寛)
5 表彰
  ・ポスター原画最優秀賞(高2-1 福島陽斗)→ポスター
  ・ポスター原画優秀賞(高3-2 野城杏奈)→リーフレット表紙
  ・テーマ最優秀賞(高1-2 藤原遼太)→「祭生」
  ・キャッチコピー最優秀賞(中3-1 大川隼)→「思い出が密です」
6 閉式の言葉(中学副実行委員長 中3-3 清水健成)
オープニングセレモニー(映像ショー、吹奏楽部演奏)
各会場の準備について(実行委員長 高3-1 熊倉幸寛)



以下は、校長挨拶の全文です。

皆さんこんにちは。
 いよいよ旭城祭が始まります。今年もこうして開祭式を迎えることができました。生徒の皆さんの努力はもちろんですが、企画・運営に携わってくれた旭城祭実行委員および生徒会役員の皆さん、そして多くの先生方の努力に、心から感謝したいと思います。

 今年の旭城祭のテーマは「祭生(さいせい)」です。これを考えてくれた高校1年2組の藤原遼大くんによると、「祭生」には、新型コロナの影響で様々な制約を受けている現在の世の中を、祭からあふれ出る生命力や生きる希望などによって「再生する」、「新しく生まれ変わらせよう」という思いが込められているそうです。実に素晴らしいテーマだと思います。
 また、キャッチコピー「思い出が密です」を考えてくれた中学3年3組の 大川隼くん  は、旭城祭によって、かけがえのない思い出に満たされて欲しい、思い出だけは3密、というストレートな気持ちを表現してくれました。
 
 そして、ポスター原画は、高校2年1組の福島陽斗くんが作成してくれました。このポスターには、青い空とそこに浮かんだ白い雲、それを見上げる人物が描かれています。この人物は私たちだそうです。私たちが空や雲を見る時、顔を上げて見ますよね。今年のテーマ「祭生」を目指すとき、下を向いて、狭い視野で考えるのではなく、大きなもの、広いものを感じることが大切だということを福島君は伝えたかったそうです。青い空と白い雲がその気持ちを表しています。
 また、パンフレット原画を作成してくれたのは、高校3年2組の野城杏奈さんです。「思い出が密です」というキャッチコピーに合わせて、思い出があふれ出てくるような旭城祭にしよう、という気持ちを込めました。

 今、紹介した4人には、おそらく共通する思いがあるのではないかと思います。今日の開祭式を始め、クラス展示や催し物など、様々なパフォーマンスには、皆さんの生命力や生きる希望、そして何よりも「熱い思い」があふれていると思います。そうした思いは、皆さんの「よき思い出」になるばかりでなく、世の中を「祭生」させる力になると、私も信じています。

 最後に、皆さんにお願いがあります。今回は保護者を含む校内公開ということですが、800名程度の保護者が来校される予定です。保護者の皆さんが安心して楽しめるよう、細心の注意を払って、おもてなしをしていただきたいと思います。

 また、皆さんが、この学校に入って良かったと感じることができる旭城祭となることを期待して、校長挨拶とします。




いじめ・教育相談アンケート

8月21日に実施した中高の全生徒を対象に実施した「いじめ・教育相談アンケート」の集計結果について、個人情報に配慮した形で公表いたします。

本アンケートは、いじめをゼロにすることを目指すものではなく、いじめは、いつ、どこでも、だれにでも起こりうるものであることから、その早期発見、早期対応を目的としています。
スクールカウンセラーや教員等との面談の希望がある場合には、即座に対応しています。

R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果(中学).pdf
R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果(高校).pdf
R2.8.21 いじめ・教育相談アンケート結果・自由記述.pdf


今回の調査で、「いじめを受けた」という生徒が中3で1名いましたので、担任等が本人および関係する生徒から聞き取りを行うなどの対応をしています。また、スクールカウンセラーとの面談を希望していた高校生の1名には、面談日時を調整しています。

自由記述欄については、担任だけでなく、生徒指導部長、教頭、校長が全生徒の回答に目を通し、生徒の心身の健康状態の把握に努めています。



*なお、今回のアンケート結果については、本HPのメニューにある「いじめ・教育相談アンケート」に収納しています。

ボルボックスに名前を!

本日、中学1年2組の松葉君による「ミニ授業」の3回目が昼休み(12:40~)に行われました。もちろん、生徒は自由参加ですが、「ミニ授業」の話を聞きつけてきた先生方も数名参加しました。

今回のテーマは、「ボルボックスに名前をつけよう!」でした。



えっ、ボルボックスっていう名前があるじゃない! と思った方も多いと思います。
それも松葉君の想定内で、まずは、そもそも生物の名前には、和名と学名があります、という話から始まりました。



和名は「日本で呼ぶために作られた日本語の名前」、学名は「ラテン語で書かれた世界共通の名前」です。例えば、おなじみの「ゾウリムシ」は、和名で、ぞうり(スリッパ)のような形からきていますが、学名は、簡単に言うとParamecium  パラメシウム」(属名)といいます。


また、「ミドリムシ」も和名で、同様に「Euglena ユーグレナ」が学名(属名)になります。


他にも、和名「ミカヅキモ」→学名「Closterium クロステリウム」(属名)


前回、「微生物のお化け屋敷」で登場した「ロクロクビムシ」(和名)の学名は「Lacrymaria ラクリマリア」(属名)です。



それでは、今回のテーマである「ボルボックス」については、どうなっているのでしょうか。実は、ボルボックスは、学名が「Volvox  ボルボックス」(属名)で、和名は「オオヒゲマワリ」です。松葉君の主張(提案)は、ボルボックスはかなりメジャーな微生物にもかかわらず、和名である「オオヒゲマワリ」はいまいちピンと来ない、「オオヒゲマワリ」といって「ボルボックス」の姿をイメージできる人はあまりいない。それなら、みんなで、よりピッタリな名前をつけてしまおう!ということです。ボルボックス愛に溢れる松葉君の考えはよくわかりました。1年2組のみんなも、いろいろなアイディアを出してくれました。これで盛り上がってしまうところが、附属中は凄いなと思います。

ちなみに、出たアイディアとしては、
クレーターモ、コドモ、コロコロモ、スーモ、タマモ、ナナホシモ、などがありましたが、松葉君としては、まだ、これだ!というものには出会っていなかったようです。他に思いついたら、松葉君に伝える、ということで時間切れとなりました。

「こりゃすごい!」という名前がでてくることを期待しています。後で教えてください。

お疲れさまでした。参加者全員の拍手で終了しました。

注:ここで紹介した微生物の写真は、すべて、技術評論社「ずかん プランクトン」から引用しました。




身近な風景 ~セミの抜け殻調査②

旭城祭の代休である8月25日の朝、暑くなる前に、前庭のセミの抜け殻調査②を行いました。

セミの鳴き声を聞いていると、確かにミンミンゼミは一定数いることは間違いないのですが、ミンミンゼミの抜け殻がアブラゼミに比べて圧倒的に少ないことが謎でした。

その要因として、「ミンミンゼミは、木の高いところで羽化するので、抜け殻が見つかりにくい」という中1の松葉君の仮説が正しいかどうか、確かめてみようと思い立ちました。

その仮説を検証するため、高いところで羽化しているセミの抜け殻を発見・捕獲できるよう、「双眼鏡」と「高枝切りハサミ」を用意しました。

双眼鏡で高さ3~4m程度の高さまで、抜け殻を探してみると、確かにたくさん見つかりました。そこで、高枝切りハサミの出番です。




この日は、高い場所にあったセミの抜け殻38個を採取しました。

ところで、木の根元を見ると、直径2センチくらいの穴ぼこがたくさんあります。これは、おそらく、セミの幼虫が地面から這い出てきた跡ですね。この穴の多さからもセミが大量に羽化していることがわかりますね。




さて、今回、採取した38個のセミの抜け殻から、セミの種類を調べてみました。
はたして、ミンミンゼミは多く見つかるんでしょうか?
これで、ミンミンゼミの比率が高ければ、松葉君の仮説が正しい可能性がでてきます。

結果は、
38個体中、ミンミンゼミ0、アブラゼミ38でした。
残念ながら、仮説は証明できませんでした。ますます、アブラゼミの比率が高まってしまう結果となり、ミンミンゼミの抜け殻が非常に少ないという謎を解明することはできませんでした

さて、これであきらめることなく、さらなる仮説を考えてみましょう。

ボート部の練習見学

今日は、学校祭の代休①でした。
ボート部は午前中、渡良瀬川の練習場で部活動を行っていましたので、見学に行きました。
ボート部は、夏休み中の8月9日に行われたインターハイ県予選の代替大会となる栃木県ボート協会主催の「県大会少年の部」が行われ、女子ダブルスカル(藤倉さん、木村さん)、男子シングルスカル(内田君)、女子舵付きクォドルプル(岡部さん、松浦さん、船渡川さん、生熊さん、川田さん)が、それぞれ優勝し、9月17日からの全国大会へ出場する予定です。


女子ダブルスカル(藤倉さん、木村さん:3年生)



男子シングルスカル(内田君:2年生)


女子舵付きクォドルプル(岡部さん、松浦さん、船渡川さん、生熊さん、川田さん:2年生)

*全国大会にかける意気込み等を聞いてみました。

<女子ダブルスカル>
藤倉さん「全国大会では、決勝進出が目標です。決勝に出るためには、予選で2位以内、準決勝でも2位以内での通過が必要で、埼玉や東京の強豪校に勝ちたいです。7月からの練習で、体力や調子も上がってきています。今、3年生でまだ部活動をやっているのは私たち2人だけになってしまいましたが、みんなの分まで頑張りたいです。」
木村さん「目標は、同じく決勝に出ることです。これは1年生の時から言ってました。コロナで臨時休校中も、毎日、戸田先生が練習メニューを送ってくれていたので、筋トレやランニングを欠かさなかったため、体力が落ちませんでした。7月からの本格的な練習で、記録も伸びてきています。やり切った、と納得できる大会にしたいです。」

<男子シングルスカル>
内田君「全国大会に出る、ということを考えると緊張しています。ハイレベルの人達が集まるので、どこまでやれるか挑戦したいです。県の大会の時より、漕ぎが安定してきたと思います。力が艇に伝わっているのがわかるので、大会に出るのが楽しみです。

<女子舵付きクォドルプル>
岡部さん「初めての全国大会なので、持てる力を出し切って、できることをやるしかない、と思っています。」
松浦さん「自粛で練習できなかった期間がありましたが、そのことで逆にボートで強くなりたいと思うようになりました。もう大会はないと思っていましたが、全国大会に行けることになったので、練習頑張りたいです。」
船渡川さん「みんなでキツイ冬練をやってきたので、去年よりいい雰囲気になっています。さらにいいタイムが出せるよう頑張りたいです。」
生熊さん「自粛期間は、みんなで練習できなかったので、技術や体力が落ちてきてしまいましたが、練習再開後は、目に見えて力が付いてきました。全国大会ではいい結果を残したいです。」
川田さん「コロナの影響で大会に出られないという部活が多かった中、今回、ボート部の全国大会に出られることになったことは、とてもありがたいことと思っています。保護者や先生方、大会関係者など、多くの方々への感謝の気持ちを忘れず、練習してきたことを出し切って、悔いのないようにしたいです。」

*生徒から一人一人話を聞いていると、この与えられたチャンスを生かせるよう精一杯頑張っていることが伝わってきました。心から応援したい気持ちになりました。
頑張ってください! 応援しています!!

身近な風景 ~セミの抜け殻調査

8月3日付けの「身近な風景」では、「ミンミンゼミの謎」を紹介しました。

今年はやけにミンミンゼミの鳴き声が聞こえるのに、採取したセミの抜け殻は、ほとんどがアブラゼミで、ミンミンゼミのものは全くありませんでした。これが「ミンミンゼミの謎」でした。

この謎を解くため、「たまたま採取した抜け殻に、ミンミンゼミが含まれてなかっただけで、探せばミンミンゼミもでてくるのではないか」という仮説を立てました。

そこで、8月17日(始業式)と8月20日に、校庭の前庭から、セミの抜け殻をできるだけたくさん集めました。(掃除中に探索に協力してくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。)

すると、2日間合わせて20分程度で、141個の抜け殻を採取しました。
れをセミの種類ごとに分けると、以下のようになります。




(1)種の構成

①アブラゼミ 113(オス52、メス61)


②ミンミンゼミ 7(オス3、メス4)


③ツクツクホウシ 11(オス7、メス4)


④触覚が取れていて種の判別不能(10)

*これらのことから、佐野高校の校庭でみられるセミの種構成は、やはり、アブラゼミが圧倒的に多いことがわかりました。これは、他の文献を調べてみても同様で、少なくとも関東近県で鳴いているセミは、アブラゼミが主力で、ミンミンゼミの数は非常に少ないようです。

アブラゼミの鳴き声は「ジーッ」と油を揚げているような音がすることから、アブラゼミという名前がついていますが、たくさん鳴いていても、「ジーッ」だけだと何匹ないているのかわからないのに対して、ミンミンゼミは、「ミーンミンミン…」と何匹が鳴いているかわかりやすいので、たとえ数が少なくても、たくさんいるように聞こえてしまうのかもしれません。

(これもあくまで仮説です。8月21日に微生物研究家の松葉君(中学1年2組)に相談したら、「ミンミンゼミの幼虫が、木の高いところで羽化したため、抜け殻が見つかりにくかった、という可能性がありますね。」という指摘がありました。確かにその可能性は否定できませんが、肉眼で確認できる高さ(2m程度)で捕獲できた抜け殻に限定して考えることにしました。)


(2)性比
次に、3種のセミのオスメスの性比に着目してみましょう。
セミのオスメスは、お尻にある突起の形で、簡単に判別できます。

オス(おしりの突起が一つだけ)


メス(おしりの突起が2つある)



採取数では、アブラゼミとミンミンゼミはメスが多く、ツクツクホウシはオスが多い結果です。それはそれでいいのですが、例えば、「アブラゼミは、佐野高校ではメスの方が多くいる」あるいは、「ツクツクホウシは、佐野高校ではオスの方が多くいる」と言い切ってしまっていいのでしょうか。

可能性としては、①本当はオスメス同じくらいいて、たまたまメス(オス)の抜け殻を多く採取した(雌雄同数)、②実際に、メス(オス)の方がオス(メス)よりも多くいる。→性比がメス(オス)に偏っている、の2つが考えられます。

実は、これを証明するのは割と簡単なんです。高校の数学で統計解析について勉強しますが、それを応用すれば、求めることが出来ます。私は、数学が専門ではありませんが、統計というのは、文系理系を問わず、研究する際に必要になってきます。ここでは「性比に有意性があるか」を調べることにします。


例えば、佐野高校の校庭に「アブラゼミはオスメス同数いる」と仮説を立て、そのアブラゼミの集団から、10匹を捕まえた時のオスメスの性比の可能性は、以下の表のようになります。

オスメスの捕獲のしやすさは同じとして、捕まえた10匹中、オスが10匹や9匹というのはめったに起こらない、というのはなんとなくわかりますよね。逆に、メスが9匹や10匹というのもめったに起こりません。といっても、その可能性はゼロではありません。

そこで、100回やって5回以上起こる確率があるか、5回は無理でも1回でも起こる確率があるかで、線引きをして、「オスとメスが同数いる」という仮説が正しいか、間違っているかを判断します。



それには、「カイ2乗値」というのを計算して、その数値で、仮説がどの程度当てはまるかを判断します。計算の仕方は難しくありません。エクセルでもできます。(とりあえず、そういうものがありますということで構いません。)



実際に、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクホウシの「カイ2乗値」を計算すると、アブラゼミは0.72ミンミンゼミは0.14ツクツクホウシは0.82となり、上のグラフの横軸の値でみてみると、5%の値(3.84)以下ですので、「オスメス同数」という仮説が、ある程度「起こりやすい」ことがわかります。

このことから、佐野高校にいる3種は、それぞれ「オスメス同数である」という仮説を否定できないことになります。そのため、「アブラゼミの抜け殻の数はメスの方が多かったが、有意にメスが多いとは言えない」→「(危険率5%レベルで)ほぼ同数である」ということが言えることになります。

*ちょっとメンドクサイ話でしたが、なぜ、こんなことを話したかを補足します。
皆さんは、課題研究で、様々な実験や観察、調査(アンケートなど)を行いますが、その時の結果で、たまたま、こちらの数が多かったから、こういう傾向がある、と判断してしまうことがよくあります。でも、その数値は、誤差を含んでいたり、たまたまそうだったのかもしれません。あるいは、本当にそういう結果だったという可能性もあります。

*そんな時、統計解析(例えば、「有意差の検定」)を使えば、仮説が間違ってないかどうかを数学的に証明することもできます。これは、論文を書く際には、強力な武器になります。なにしろ、数学的に証明されているんですから、説得力が違います。

*こういうこともできる、ということを頭の片隅に置いておいてくださいね。数学って役に立っているんです。
(数学の先生、説明に間違いがあったら教えてください。訂正します。)

納涼・微生物のお化け屋敷

本日、中学1年2組の松葉君による昼休みのミニ授業「納涼・微生物のお化け屋敷」を見学しました。



微生物大好きな松葉君が、昼休みに「ボルボックス」(注:微生物の一種)の話をしていたら、担任の富永先生から、「そんなに微生物が好きなら、授業をやってみたら面白いんじゃない」と言われたことが「微生物のミニ授業」を始めたきっかけだそうです。

そこで、8月19日の昼休み(12時40分から10分間程度)に「微生物の矛盾」というテーマで、1回目のミニ授業を行いました。
→微生物の名前と姿かたちには矛盾しているものがあります。
 例えば、「赤いミドリムシ」、「三日月でない棒状のミカヅキモ」の話です。
 これはかなり受けたそうです。

そして、今日(8月21日)が2回目のミニ授業でした。毎日暑いので、微生物のお化け屋敷で、みんなに涼しくなって欲しい、ということで「納涼・微生物のお化け屋敷」という企画を考えました。微生物をお化けに例えました。

→①ミジンコ:「一つ目小僧」実はミジンコの目は一つだったんです。だから、一つ目小僧!


②クチサケミズケムシ:「口裂け女」ゾウリムシのような体の真ん中に口がぱっくりと開き、えさを飲み込みます。口が開いてえさを取り込む、というのはやはり怖いですね。


③ラクリマリア(=ロクロクビムシ):「ろくろ首」突起がろくろ首のようの長ーく伸びます。これは、お化け屋敷の人気者です。


④バンピレラ:「バンパイア(吸血鬼)」他の微生物の体液を吸血鬼のように吸い取ります。

(赤い部分が、バンピレラです。緑色の藻類から体液を吸い取ります。)

*なるほど、確かに微生物がお化け屋敷の役者に見えてきますね。体感温度が2度くらい下がりました。まさに「納涼・微生物お化け屋敷」です。これを思いついた松葉君はやはり凄いですね。
http://153.127.209.180/ooruri/sano/nc2/index.php?key=joqs7omf8-1210#_1210
*第3回のミニ授業の企画も決まっているそうです。いつやるか決まったら、教えてください。

高1・総合的な探究の時間の授業見学

今日の7限目の高1の総合的な探究の時間に参加しました。

本時は、生徒のテーマによって領域別に分かれ、5~6名のグループの中で、各自のテーマ、リサーチクエスチョン、仮説、研究方法などについて発表し、仲間からアドバイスを受けました。私が参加したのは、領域2(自然・生命)と領域3(食料・エネルギー・水)に関するテーマを設定している生徒たちで、1年4組に集合しました。担当は根岸先生です。


皆さんが考えているテーマやリサーチクエスチョンなどを何人かから聞いて、いいなと思ったことは、皆さんのテーマが自分の興味や実際に体験したこと、将来やってみたい職業などに根差していたことです。「好き」や「興味がある」というのは、最強の武器です。そこから始まる研究は、資料を集めるなどの最初の段階まではスムーズにいくのではないかと思います。


私が話を聞いたグループでは、それぞれ「イノシシなど野生動物の被害を減らす」、「食物アレルギーを減らす」、「猛禽類の減少を止める」、「フードロスを減らす」などのテーマを考えており、個性やバラエティがあって面白かったです。

以下は、私からのアドバイスです。

これらを単なる「調べ学習」から「研究」にするためには、その先には大きな山が待っています。それは、「研究の意義」です。「あなたの研究にはどんな意味がありますか?」、「あなたの研究の良いところは何ですか?」と問われたとき、答えられなければなりません。

それではどうすればいいのでしょうか?
皆さんは、研究の初心者ですから、ためしに走ってみて、うまくいきそうもなかったら引き返しても構わないのです。失敗してもいいから、とにかく、やってみる、調べてみる、それがないと先へ進めません。やってみて、テーマを変えても構いません。むしろ、最初に考えたテーマがそのまま論文のテーマになることの方が珍しい、とも思います。テーマを変えて、別の視点から取り組みたい、と思うようになったら、それは自分が真剣に研究に取り組んでいる証拠かもしれません。

今、皆さんにお勧めするのは、今考えているテーマに関することをまず、徹底的に調べてみることです。最初はネットでも構いませんが、関連する本を一冊は読んでみましょう。

半年くらい後、それまでの成果を論文にまとめることが出来た時、あの時はあんなことを考えていたんだなと思い返すことができたなら、それは、間違いなくあなたの「成長」と言えると思います。 頑張ってください。

中1・音楽の授業見学

本日の5限目に、中学1年3組の「音楽」の授業(小林先生)を見学しました。

音楽の授業では、合唱コンクールの練習をしていました。1年3組は「COSMOS」を歌います。

音楽室は、1学期中にエアコンが入りましたので、さすがに涼しいですね。


合唱曲「COSMOS」をCDで聞いた後、3つのパートに分かれて、パート練習を行いました。

「ソプラノ」パートです。


「アルト」パートです。


「男声」パートです。

そして、指揮の大洲さんは、曲のCDにあわせて、小林先生から直接、指揮の仕方を教えていただいてました。


今はまだ、パート練習の段階ですが、どんな風に仕上がっていくのか楽しみです。
授業の最後には、全員が、振り返りシート「素敵な合唱にするための自分シート」で、「つまづき・工夫した点」「改善できた点」をまとめています。これを見ると、自分たちがどのようにうまく歌えるようになったのか(=成長したのか)がよくわかりますね。

高1・美術Ⅰの授業見学

本日、1・2限目に、高校1年1組の「美術Ⅰ」の授業(梅澤先生)が、2時間連続でありました。1クラスの中で、美術選択者と音楽選択者に分れますので、少人数での授業です。

授業は「自画像」の製作でした。1学期中に、鏡で自分の顔を見ながら、鉛筆で自画像の下書きをしていましたので、今日から、約5時間かけて、絵の具で色をつけていきます。
絵の具は、「水彩絵の具」ではなく、「アクリル絵の具」を使います。「水彩絵の具」だと、重ね塗りをすると、下の色がにじんできてしまいますが、「アクリル絵の具」だと、にじまないので、重ね塗りが可能です。また、発色も鮮やかできれいです。



生徒たちは、顔の輪郭から書いていますが、梅澤先生からアドバイスがありました。

「アクリル絵の具は重ね塗りしてもにじまないから、まず顔全体を塗り、その上で鼻とか出っ張っているところを濃く塗っていくといいよ。」なるほど、そういうことかと、生徒の色の塗り方が、ガラッと変わりました。


この後、自画像がどんな風にできあがってくるのか、とても楽しみです。


美術室前の廊下には、こんな作品も展示されていました。こういうのも授業で作るそうです。

高3・フードデザインの授業見学

毎週火曜の3・4限目は、高3理系の「フードデザイン」の授業(森戸先生)があります。
森戸先生が、業者から食材の入った発砲スチロールの箱を受け取り、調理室へ向かう姿を発見すると、ついつい「今日は何を作るんですか?」と聞いてしまいます。

今日は、「コーヒーゼリーとキーマカレーですよ」ということを聞くと、仕事の合間を縫ってでも、ちょっと見学させてもらおうかな、と思ってしまいます。
フードデザインは、自分で料理を作る際に、何人分だったら、どのくらいの材料が必要かを考えながら、調理をします。そして、授業で覚えたレシピは、家でも家族の人数に応じて材料を揃え、実際につくってみます。そこには、おいしいものを作って食べる、または誰かに喜んでもらえる、といった生きることの楽しさにつながる「学び」が凝縮されています。

さて、まずは、コーヒーゼリーとキーマカレーのレシピです。2人1組で作ります。



コーヒーゼリーは、インスタントコーヒーとゼラチンを使って作ります。
コーヒーゼリーは、器にコーヒーゼリー液を流し込んだ後、バットに氷と水を張って冷やすと、すぐに固まるそうです。(冷蔵庫で冷やすより早いですね。)

次は、キーマカレーですが、森戸先生の話によると、「キーマ」とは、ヒンディー語で、「ひき肉」を意味しており、ひき肉でつくるカレー料理を「キーマカレー」と呼んでいるそうです。まずは、森戸先生から、調理の流れについて、説明を受けます。



生徒たちは、食材(玉ねぎ、ニンジン、しょうが)をみじん切りにし、ジャガイモは1センチ大の角切りにしています。



次に、フライパンでよく炒めます。



水を入れて沸騰したら、カレールウを4分の3カケラ入れ、10分間煮込みます。
(2人分のルウの分量は4分の3というところがポイントのようです。これが、作る量が変わった時の分量の目安になります。カレールウは、ジャワカレーの中辛でした。)



後は煮込めば出来上がりです。おいしそうなカレーの匂いがあたり一面に漂っています。




最後は、試食です。味は食べる前から保証付きでしたね。

生徒たちに、今日の感想を聞いてみました。
「とてもおいしいです。」
「調理室はエアコンがないので、炒めながら混ぜる時が暑かったです。」
「やはり、10分間煮込むところが大変でした。」
「以外に簡単に出来たのでびっくりです。」
「辛いのは苦手でしたが、辛さはちょうどよかったです。」
「家でも作ってみます。」
*この瞬間の生徒の笑顔が見たくて、最後まで見学しています。

*また、調理実習はどうしても火を使うので、特に夏場は暑さとの戦いです。
森戸先生は、暑さ対策として、クーラーがついている被服室を冷やして置き、調理で暑くなると2人が交代で、被服室でクールダウンできるようにしたり、麦茶を用意したりするなど、常に生徒の健康に配慮しながら実習を行っていました。

*調理室にもエアコンが入る予定ですが、残念ながら、今年の夏には間に合わなかったようです。まだまだ暑い日は続きますが、熱中症には気を付けてくださいね。

2学期がスタートしました!

本日から、2学期がスタートしました。

例年ですと、午前中はまず全員で校庭の除草作業を行い、その後、大掃除を行ってから始業式という流れでした。しかし、本日は朝から猛暑のため、校庭の除草作業は中止しました。そのため、大掃除の後、放送で始業式を行いました。

また、通常は夏休み中の部活動関係の表彰などがあるのですが、今年はそれもなく、放送は、校長式辞だけで10分ほどで終了しました。

以下に、始業式の式辞の全文を掲載します。


令和2年度2学期始業式 式辞      R2.8.17

 皆さんおはようございます。大掃除お疲れ様でした。
 約2週間の短い夏休みでしたが、皆さんにとって、どんな夏休みでしたか。今年は、新型コロナの影響だけでなく、連日35度を超える「命にかかわる危険な暑さ」で、外出するのがためらわれる毎日でした。「こんなに暑いんじゃ、もっと夏休みを長くして欲しいです。」大掃除に来てくれた生徒からはそんな声も聞こえてきました。そうした気持ちもわかりますが、今日から2学期はスタートします。夏休み中の大きな事故等の報告もなく、今日、皆さんの元気な姿をみることができて、ホッとするとともに、私も、よし、頑張ろう!という気持ちになりました。


 さて、例年、始業式では、中高の運動部、文化部の皆さんが、全国大会や関東大会等、現地で活躍した様子などを紹介していますが、今年はそれができません。その代わりに、夏休み中の皆さんの「学び」について、いくつか紹介します。ここでは、「学び」という言葉を使いますが、同じような意味の「勉強」とはどう違うのでしょうか。「勉強」には、なんとなく、上から押しつけて無理やりやらされるイメージがありますが、「学び」には、もっと自発的な、やりたいからやる、というスタンスがあるように思います。

 本校のHPの校長室便りでも、「夏休みでも学びを止めるな!」というタイトルで、「夏休みだからこそ、深められる学び」を紹介してきました。

 例えば、中学校では、8月6日に、日本語ディベートの大会(通称、石塚杯)が、本校の選択3、4教室で行われました。「附属中学校では昼食を学校給食に切り替えるべきである 是か非か」というお題で、それぞれの立場で根拠を集め、立論し、初めての試合を行っていました。私も見学しましたが、学ぶことにこんなに夢中になれるのは素晴らしいと思いました。

 一方、高校では、科学部が、8月6日、7日の2日間、宇都宮大学から運び込んだPCR装置などを使って、トウキョウサンショウウオのDNAの抽出や増幅を行っていました。宇都宮大学の飯郷先生の指導の下、単なる技術的な作業だけでなく、研究するとはどういうことなのかを、しっかりと学んでいました。新しい知識を実際に体験することで、より理解するとともに、好奇心に火が付いた生徒もいたようです。なお、科学部は、7月31日から高知県で開催されている全国高等学校総合文化祭にWEBで参加しており、研究発表の動画を大会のHPから見ることが出来ます。

 また、SGHクラブのディベート班は、8月8日、9日の2日間、「全国高校 即興型英語ディベート合宿・大会2020」にリモートで参加しました。本校からは、3チーム参加し、それぞれ、全国の強豪チームと7試合戦いました。大会に参加したメンバーの一人はこんな感想を述べています。「最初はとても不安でした。でも、大会が終わった今は、自分の成長を感じられたし、『楽しかった』という感想しかありません。それも、支えてくれた部員のおかげです。」これこそ、主体的な「学び」そのものではないかと思います。

 ボート部は、8月9日に行われた「栃木県ボート大会少年の部」で優勝した、男子シングルスカルの内田君、女子舵つきクォドルプルの岡部さん、松浦さん、船渡川さん、生熊さん、川田さん、そして、女子ダブルスカルの藤倉さん、木村さんは、9月17日からの全国高等学校ボート特別大会への出場が決まりました。おめでとうございます。

 これ以外にも、8月2日の「野球部の交流試合3回戦」、8月3日から6日までの「ラグビー部の菅平合宿」なども見学させてもらいました。中高の部活動では、新チームによる練習試合なども行われていました。また、課題研究のためのフィールドワークを実施した生徒も多かったのではないかと思います。8月5日には、SGHクラブ海外班が、独立行政法人国際協力機構、通称JICAを訪問し、海外青年協力隊の参加者などから、お話を伺っています。中学3年生の「シンカゼミ」でも多くのフィールドワークが行われました。
こうした活動も全て主体的な「学び」です。


  ところで、皆さんは「セレンディピティ」という言葉を聞いたことがありますか。私は、池上彰さんの『なんのために学ぶのか』という本の中で、この言葉を初めて知りました。「学び」とも関係がありますので、以下、池上さんの著書から、この「セレンディピティ」について紹介します。

 研究者が、一生懸命に研究していると、突如として新たな発見につながるようなチャンスに巡り合うことがあるそうです。これを科学者の間では「セレンディピティ」という言葉で表しているそうです。例えば、ニュートンが、リンゴが木から落ちるのを見て、「なぜ落ちるんだろう?」と研究し、万有引力の発見につながった、という逸話があります。この場合、リンゴが落ちるところに出くわしたのが、「セレンディピティ」なのです。たまたま出会ったことから研究が大きく進んでいくことから、「思わぬ発展につながる偶然」を「セレンディピティ」と呼んでいます。

 実は、この「セレンディピティ」は、多くの人に当てはまると思います。勉強嫌いだったのに、ちょっとしたきっかけで勉強が好きになったということがありますよね。そのちょっとしたきっかけとは、例えば、教え方が自分にぴったりあった先生に出会ったとか、いやいや始めた受験勉強だったのに、いつの間にか、その科目の魅力にとりつかれたとか、あるいは、課題研究をやっていくうちに、自分が将来やってみたいことを見つけたとか、往々にして、それは「本人が予想していなかった偶然」であることが多いのです。

   「学び」の楽しさを知るきっかけは人それぞれですが、そのきっかけに出会うチャンス、つまりは「セレンディピティ」は、おそらく何かに必死になって、もがいたり、頑張っている時に、訪れるものではないかと思います。もしかしたら、夏休み中の学びの中で、「セレンディピティ」が起こった人もいるかもしれません。それがわかるのは、もちろん「あなた」だけです。


 今日から、2学期がスタートしますが、2学期は皆さんにとって、様々な「学び」の場面があります。8月30日に開催される「旭城祭」もその一つです。夏休み中も生徒会や旭城祭実行委員の皆さんは、準備を進めてきました。2学期からは、各クラスや団体の準備がいよいよ本格化します。
 今回は、保護者を含む校内公開のみとなりますが、保護者だけでも千人を超える来校者が想定されます。当然、新型コロナ感染症への不安もありますが、来校者に、ここまでやってくれているなら安心だ、と思っていただけるよう、知恵を絞り、準備を尽くしてほしいと思います。「感染症予防と学びの保障の両立」が今回の大きなテーマだと思っています。

 また、2学期は中学生の合唱コンクールや修学旅行、マラソンウォーキング大会など、大きな行事もあります。そして、高校3年生はいよいよ入試が始まります。学校推薦型選抜、総合型選抜に始まり、大学入学共通テスト等、今年度からの新たな入試制度に挑戦します。自分がこれまでにやってきたことを信じて、頑張ってほしいと思います。でもつらくなったら遠慮せずに先生方を頼ってください。また、家族への感謝を忘れずに、日々の生活を送って欲しいと思います。
この2学期、「セレンディピティ」が突然、あなたに訪れることを期待しています。



最後に、1学期の終業式でも言いましたが、全てのことに優先されるのはここにいる皆さんの健康であり、皆さんの命です。体を大切に、命を大切に2学期を過ごしてください。

 中学生、高校生の皆さんが、実り多い日々を送り、さらに一歩、成長する2学期となることを祈って、校長式辞とします。

ボート高校総体県予選代替大会

夏休み中の8月9日、全国高校総体(インターハイ)県予選の代替大会となる県ボート協会主催の「県大会少年の部」が、渡良瀬川特設ボートコースで行われました。

結果は以下の通りです。
*男子シングルスカル    優勝:内田絃心(2年)
*女子舵手つきクォドルプル 優勝:岡部華林、松浦はるか、船渡川優衣、生熊里彩、川田有紗(全員2年)
*女子ダブルスカル     優勝:藤倉伶衣(3年)、木村陽与里(3年)

おめでとうございます!
優勝した選手たちは、9月17日から開催される全国大会に出場できることとなりました。

(8月10日付け 下野新聞12面より、著作物利用許諾済み)

夏休みでも学びを止めるな!⑧

夏休み最後の更新になりました。
今日(8月16日)は、栃木県立博物館で、学芸員とっておき講座「奥日光の沢と両生類」(講師:林光武さん)に参加してきました。
林さんとは、栃木両生爬虫類の会の仲間で、30年来の付き合いになります。


「奥日光は数多くの滝で有名ですが、沢にすむ生きものについての情報はあ
まり多くありません。県立博物館の調査でわかった奥日光の沢の特徴と、そこに暮らす両生類の生活について紹介します。」という内容でした。


奥日光には、サンショウウオの仲間で、ハコネサンショウウオやクロサンショウウオ、トウホクサンショウウオが生息していますが、渓流などの流水に生息しているのは、ハコネサンショウウオだけです。奥日光の両生類を調査した林さんたちは、ハコネサンショウウオの幼生の奇妙な行動を目撃したそうです。数十匹の幼生が、渓流の岩場などを上流を目指してひたすら移動しているのです。いったい何のために? 調べてみると、渓流の水は目に見えて干上がりつつあり、もしかすると、水が干上がってしまうと死んでしまうので、それを避けるために、水のある上流を目指して移動していたのではないか、という仮説を立てたそうです。確かに、逃げ遅れたサンショウウオの幼生はすでに干からびていたものもありました。それでは、なぜ、サンショウウオの幼生は、水が干上がりつつあるのを知り、上流に移動する行動をとったのか? そのきっかけは、水温の変化? それとも水位? あるいは流速? 謎が謎を呼びます。

実際の講話では、写真や水温のグラフ、上流に移動した幼生と下流にいる幼生、そして逃げ遅れて干からびている幼生の体長のグラフ、などを使って、なぞ解きをしていきました。結局、謎は謎のままでしたが、新しい発見に出会ったワクワク感、それを解明しようとするときの楽しさ、などが伝わってきました。(当日のスライドは、写真には撮りましたが、著作権などがあるのでお見せできないのが残念です。)


ハコネサンショウウオの幼生の標本です。


ハコネサンショウウオの成体の標本です。

林さんのハコネサンショウウオの幼生の奇妙な行動の話を聞き、私が見た「ミシシッピアカミミガメ」の奇妙な行動を思い出しました。台風で水量が増加した三杉川を見に行った時のことです(良い子は絶対にマネしないでくださいね!)。増水したことで下流に流されたであろうミシシッピアカミミガメが、隊列を為して、上流へとひたすら泳いでいる現場を目撃しました。おそらく、もといた場所まで、泳いでもどろうとしていたのではないでしょうか。
(幸いにも、記録に残しておいてよかったです。佐高ミュージアムNo.48です。)
佐高ミュージアムNo48 「ミシシッピアカミミガメ」その2.pdf

講話の最後に、林さんはこんな話をしてくれました。
「子供の頃、勉強するってことは、例えば、真白な紙に、端っこから黒く塗りつぶし、全部真っ黒になったら、疑問もなくなり、全部分かった、という状態になるものと思ってました。ところが、大人になり、この年になってくると、逆に、知りたいことがどんどん増えてくる。そこで、こんな風なんじゃないかと考えるようになりました。例えば、小さい頃は、知っていることをビー玉に例えると、知らないこと(知りたいこと)はビー玉の表面積に相当する部分だとします。だんだんと勉強して知識が増えてくると、知っていることは、ゴルフボールくらいになる、さらに勉強すると、知っていることはテニスボール、バレーボール、そしてバスケットボールのようにどんどん大きくなる。それに伴って、知らないこと(知りたいこと)は、それぞれのボールの表面積のように、どんどん増えていく。だから、ますます知りたくなるんです。」(大体、こういったお話でした)

私は、前にも林さんから聞いたことがあったかもしれないなと思いつつ、林さんの考えをイメージ化してみました。名付けて「林モデル」です。


*勉強すればするほど、知らないこと、わからないことが増えてくる。「学ぶ」ということの一面をよく表しているなと思いました。そして、生徒だけでなく、教員、そして大人も、学び続けなければ、いけないなと思いました。

*生徒に「勉強しなさい」というだけで勉強したら、こんな簡単なことはありません。もともと、勉強は「強いて勉める」ですから、いやいややらされて楽しいはずもありません。それよりも、大人が様々な生き方に挑戦したり、試行錯誤する姿を見せることだけでも、りっぱな教材です。学び続ける大人が、学ぶって楽しいよと「背中で語る」ことが必要なのではないかと思います。(以上、独り言でした)

これで、「夏休みでも学びを止めるな!」シリーズを終わりにします。
(ここまで、読んでくださり、ありがとうございました。)

佐高ミュージアム㉝

佐高ミュージアム 番外編 No.11~14(最終回)を公開します。

1995年に発行した「すっかんぽ」を「佐高ミュージアム番外編」として公開します。

佐高ミュージアム 番外編 N0.11 「ホウネンエビとカブトエビ」.pdf
佐高ミュージアム 番外編 N0.12 「夏の夜に咲く花~ネムノキ~」.pdf
佐高ミュージアム 番外編 N0.13 「セイタカアワダチソウ」.pdf
佐高ミュージアム 番外編 N0.14 「いなごの佃煮」.pdf

とりあえず、「佐高ミュージアム」の過去の記録の公開はここまでとします。
お忙しい中、読んでくださった皆様、ありがとうございました。
今後は、随時紹介している「身近な風景」シリーズを新たな「佐高ミュージアム」として再編集して公開できれば、と考えています。

夏休みでも学びを止めるな!⑦

現在、校内では「様々な学び」が進められています。

夏休みだからこそ、深められる学びがあります
そんな学びのいくつかを紹介します。

今日(8月9日)は、「PDA全国高校 即興型英語ディベート合宿・大会2020」の2日目が開催されました。

今日は、予選ラウンド2,3と準決勝、決勝です。
<佐野Aチーム>

<佐野Bチーム>

<佐野Cチーム>



予選ラウンド3の論題は「ペット税を導入すべきである。」
ドイツでは、すでにペット税が導入されており、犬1頭あたり年間1万6000円程度収めているそうです。そういったレクチャーを10分ほど受けた後、論題が発表になりました。




画面には、このように、左上がジャッジ、右上が佐高Bチーム、下が対戦相手、というように映っています。


思わず立ち上がってスピーチすることもあります。(佐野B)


相手がスピーチしている途中で、POI(ポイ)と言って、相手の矛盾点や弱点を攻撃することもありますが、相手が受け付けないと発言できません。POIはうまくいけば効果的に加点することもできますが、逆に、頓珍漢な発言だったりすると、墓穴を掘ることもあり、諸刃の剣です。(佐野A)


1年生の佐野Cは素晴らしいチームワークを見せ、練習ラウンドと予選ラウンドを7戦6勝の好成績を残しました。

*3チームとも、よく頑張って善戦しました。しかしながら、準決勝進出のベスト4には残れませんでした。

*最後に各チームから1人ずつ、今日のコメントをもらいました。

新井優平(A)「準決勝に進むような強豪校に勝ててうれしかった。でも、今回の大会全体を通して、勝てた試合はもちろん嬉しかったが、負けた試合も、悔しさだけではなくて楽しさや『全国レベルでも戦える』という自信を持つことができた。こうやって戦えたのも、今まで一緒に練習してきたチームのメンバーや部員のおかげなので、感謝したい。」

小林杏珠(B)「今回は、強豪校ばかりが揃う部門への出場に加えて、初めてのオンライン大会で、最初はとても不安だった。でも、大会が終わった今は、自分の成長を感じられたし、『楽しかった』という感想しかない。それも、支えてくれた部員のおかげ。」

片柳賀那(C)「今回自分たちのチームは7戦中6勝したり、機材トラブルがあったときも相手の論を予想しながら試合ができた。応援に来てくれた部員がリラックスさせてくれたおかげ。先輩とのアドバイスのおかげで今回褒められた箇所もあったので、感謝したい。」

部長の江部青飛は、部長として各チームに向けてコメントをくれました。
「Aは強豪校ばかりと対戦していたのに、あそこまで勝ったり推し負けたのはすごい。一緒に戦ってくれたBのメンバーにはとても助けられた。いつも以上に丁寧にスピーチできていて、見習いたい。Cは期待通りの結果で、後輩のおかげで『自分たちも頑張らなきゃ』と思える。見学組の力ももらいながら試合ができて、『周りの人に支えられているんだ』と感じることができた。」

*多くのことを学んだ熱い2日間でした。皆さん、お疲れさまでした!

夏休みでも学びを止めるな!⑥

現在、校内では「様々な学び」が進められています。

夏休みだからこそ、深められる学びがあります
そんな学びのいくつかを紹介します。


今日(8月8日)は、「PDA全国高校 即興型英語ディベート合宿・大会2020」の1日目が開催されました。
PDAとは、本大会を主催している「パーラメンタリーディベート人材育成協会(PDA)」のことです。

今回の大会は、お題が前もって公表されている「準備型」とは異なり、お題が発表されてから、短い準備時間でディベートを開始する「即興型」です。準備時間がほとんどない分、難易度は高いと言われています。これまでは、大阪などに全国から高校生が集まり、合宿形式で2日間かけて行いますが、今回はコロナの影響で、オンライン開催となりました。

授業外のクラブ活動などで即興型英語ディベートを行っている生徒(課外活動の部)では、初心者と一般の2つのコースに分かれています。

課外活動の部(初心者)には29チームがエントリーしています。佐高からは1年生1チーム(佐高C)が参加しています。
課外活動の部(一般)には同じく29チームがエントリーしています。佐高からは2年生2チーム(佐高A、佐高B、ABは均等です)が参加しています。



1日目の今日は、練習ラウンドを3回やってから、予選ラウンドの1回目を行います。明日は予選ラウンドを2回行い、3回分の成績で、決勝進出チームが決定します。

まずは、腕試しで「練習ラウンド」を行いました。

ラウンド1の論題は以下の通りです。

何やら難しそうですね。論題が発表されると、各チームは動き出します。

<Aチーム:図書室>(新井優平君、岡部豪太君、兵藤かほるさん)


<Bチーム:英語演習室>(江部青飛君、小林杏珠さん、山﨑理紗子さん)


<Cチーム:選択2教室>(石塚凜花さん、大川優貴君、片柳賀那さん、横塚功樹君)


ラウンド2の論題は以下の通りです。

脂肪税を導入すべきだ」脂肪分の高い食品を摂取しすぎると、健康被害をもたらすことから、脂肪分の高い食品には税金を課すべきだ、というようなお題です。
荒唐無稽な感じもしますが、肯定、否定それぞれに根拠をもって論破するのは大変そうですね。



そして、ラウンド3の論題です。

これはかなりタイムリーなお題ですね。確かに、(コロナ)ウイルスを故意に拡散すれば犯罪と言えますが、死刑とするかどうかは、腕の見せ所でしょうか。

<Aチーム>


<Bチーム>


<Cチーム>


それぞれ対戦が終わると、ジャッジがそれぞれのチームの良いところや改善した方がよいところなどを丁寧に説明してくれます。解説だけ聞いていても、なるほどと思ってしまいます。


この後、予選ラウンド1回戦となりました。(→私は、ここで退出しました)
お題は、「Japan  should accept  more foreign  refugees. 日本はもっと難民を受け入れるべきである。」でした。

結果は、佐野Aは市立浦和に惜敗佐野Bは平塚江南に勝ち佐野Cは一関第一に勝ちました。皆さん、相当頑張りましたね。

明日の予選2試合も頑張ってください。決勝まで行けるといいですね。
応援しています。









夏休みでも学びを止めるな!⑤

現在、校内では「様々な学び」が進められています。

夏休みだからこそ、深められる学びがあります
そんな学びのいくつかを紹介します。


8月7日(金)13時から「卒業生との懇談会」が行われました。

例年は、3月中に、すでに大学合格が決まっている3年生から「合格体験談」を聞いていましたが、コロナの影響で、この時期の実施となりました。また、全員が同じ話を聞くのではなく、話を聞きたい先輩からじっくり聞き、自由に質問もできるようなスタイルで実施しました。

参加してくれたこの春の卒業生は、
安城君 (東北大・医学部・医学科)
渋江さん(名古屋大・文学部)
新井さん(東北大・教育学部)  Zoomでの参加
荒井さん(大阪大学・外国語学科)Zoomでの参加
荻野君 (名古屋大・理学部)  Zoomでの参加
小野田さん(群馬大・医学部・保健学科)
松澤さん(埼玉大・理学部)
宋さん (聖マリアンナ医大・医学部・医学科)
以上の8名です。

文系と理系の2会場に分かれ、聞きたい先輩の回りに車座になってじっくり話を聞きました。
<文系>
<理系>


*3学年主任の松井先生からは「卒業生から、とてもいい話を聞けました。通常は3月に実施していましたが、今この時期にどんなことをすればいいのか、という視点から話を聞けたことは、逆に良かったのではないか。」ということでした。
*当初は1時間程度の予定でしたが、予定をオーバーしても気にする必要はなかったので、本当にじっくりとお話を聞くことができました。勉強のモチベーションがあがったのではないでしょうか。

*卒業生の皆さんも、久しぶりの佐高を楽しんでいたようです。
本当にありがとうございました。

夏休みでも学びを止めるな!④

現在、校内では「様々な学び」が進められています。

夏休みだからこそ、深められる学びがあります
そんな学びのいくつかを紹介します。


科学部」のDNA抽出実験の2日目の紹介です。

今日(8月7日)は、昨日セットしたPCRで増幅したDNAを電気泳動にかけて、DNAが増幅されているかどうかをチェックしました。写真撮影の際、DNAのバンドが出なかったため、大学で染め直して確認する、ということになりました。


ここまでで、午前中の実験は終了ということになりました。

この後、飯郷先生と部員たちによる質問タイムとなりました。
今回の作業をしたグループごとに、順番に質問をしました。


今回の実験の操作に関する疑問や、大学の研究室で行っている研究(内容、経費等)に関する質問などについて、飯郷先生や大学生から、わかりやすく説明していただきました。また、将来、自分がやってみたい研究などについて、アドバイスをいただいた部員もいました。


時間はあっという間に過ぎ、気がつくと1時半近くになっていました。(約2時間)
最後は、部長の戸室さんに締めてもらいました。

戸室部長「大学の機器を使わせていただき、とても貴重な経験ができました。机上で教えてもらったことを、実際に自分の手で実験することで研究内容の理解がより深まったと思います。細かい作業でしたが、先生や大学生の先輩方に手伝っていただきながら、実験を行うことが出来ました。最終的な結果はまだ出ていませんが、結果が出るのが楽しみです。」

*飯郷先生と3名の大学4年生には、2日間にわたり、宇都宮から佐野まできていただき、本当にありがとうございました。実験はこの後も続いていきますが、まずは、今年度、新たに採取したサンプルから、DNAを抽出することができたのは良かったと思います。
また、飯郷先生には、実験を行う上で大切なことや、これからの人生にとっても大切なことなどを、ご自身の体験談などを交えながら、生徒の目線に合わせてお話いただきました。この2日間で学んだことは、とてつもなく大きかったと思います。部員たちは、研究ということに一歩踏み出せたのではないでしょうか。


*部員たちは、昼食をとった後、午後の活動として、これまでに撮りためてきたトウキョウサンショウウオの幼体の写真から、体長を計測する作業などを行っていました。充実した活動(学び)ができていたようです。