日誌

 「フラクタル形状」との出会い


 先日、スーパーの野菜売り場で、不思議な野菜を見つけて、そのまましばらく見入ってしまいました。ロマネスコという野菜です。私はお料理では食べたことがあるのですが、野菜としての実物を見るのは初めてでした。ブロッコリーの白っぽいものといった感じで、カリフラワーに似ていますが、これが実に見事な「フラクタル形状」をしているのです。こんなに理想的なフラクタル形状を見たことはありません。ロマネスコを持ったまま野菜売り場に立ち尽くしていると変なおじさんだと思われかねませんので、買って帰り、家で茹でて食べました。
 さて、その「フラクタル形状」とは、部分と全体が相似形になっている形状を言います。部分と全体が相似形になっている、つまり、拡大しても縮小しても同じ形に見えるということです。
 ロマネスコの場合、白い小さな花が無数に集まって円錐状の突起になっていて、枝のようにくっついてできている野菜なのですが、そのひとつの円錐の枝をよく見ると、そこには、さらに小さな円錐状の突起が無数に付いているのです。
 では、どうしてロマネスコはそんな形をしているのでしょうか?・・・  <中略>
 螺旋と言えば、実はロマネスコの大きな円錐にも、小さな円錐もにも螺旋が隠されています。花が円錐状の枝になっていると言いましたが、その円錐を上から、(つまり頂点の方から)見ると、渦巻きが見えます。
 この、渦巻は、自然界にはたくさん発見することができます。例えば、・・・・   <中略>
 言いたかったのは、自然の中には、普段は気付かない不思議な現象や、目に見えない原理がたくさん隠れているということ、そして、意識を高くしていれば、そうした不思議に気付くことができるということです。
 <中略>
 平成の時代が終わるのも、もう間もなくです。平成の時代は大きな災害の多い時代でもありましたが、急速に人工知能や情報機器の発達した時代でもありました。IPS細胞の医療現場への実用化など生命科学も大きく発展しようとしています。平成の次の時代はどのような時代となるのでしょうか。
 その時代を担う皆さんが、新年度に向けて、そして次の新たな時代に向けて力強い一歩を踏み出せるように、一人一人が心を新たにして、意識を高く保ち、春休みを迎えてください。
                                              (修業式 講話より)


その一部(渦巻きを持つ円錐状の突起)を切り取っても同じ形

そのまた一部も同じ形。さらに同じ渦巻きを持つ円錐状の小さな突起が見える